古事記の原文『ワカヒコの裏切り』

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『ワカヒコの裏切り』の原文

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古事記の原文をそのまま載せても眠くなってしまうので、天武天皇の時代の人たちのセリフと合わせてお届けしています。

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原文の概要

天武天皇

天武天皇

天つ神は、アメノワカヒコを問い詰めるために鳴女を派遣する。ワカヒコは鳴女を射殺する。タカミムスヒは、ワカヒコが裏切っているなら矢が当たるようにと誓約をして矢を放つ。ワカヒコは射られて死ぬ。シタテルヒメたちはワカヒコの死を悲しむ。

安万侶

安万侶

ワカヒコ、報告に戻らなかったからってだけで死んじゃって、かわいそう ・ ・ ・

天武天皇

天武天皇

恋に溺れて使命を放棄したために死ぬっていう悲劇だからな。

天武天皇

天武天皇

そんなワカヒコの生き方は後世の人々に愛されたみたいでな、七夕の彦星としておとぎ話になったりしているんだ。

原文&読み下し文

アメノワカヒコ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故爾天照大御神、高御産巣日神、亦問諸神等、天若日子、久不復奏。又遣曷神以問天若日子之淹留所由。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

かれ ここに天照大御神、高御産巣日神、また諸の神 たち に問ひたまひしく、「天若日子久しく復奏せず。また いづ れの神を遣はしてか、天若日子が ひさしく とど まる 所由 ゆゑ を問はむ」ととひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是諸神及思金神、答白可遣雉名鳴女時、詔之、汝行問天若日子状者、汝所以使葦原中国者、言趣和其国之荒振神等之者也。何至于八年、不復奏。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに諸の神また思金神、「 きざし 、名は 鳴女 なきめ を遣はすべし」と答へ白しし時に、 りたまひしく、「 なれ 行きて天若日子に問はむ さま は、『 いまし を葦原中国に使はせる 所以 ゆゑ は、その国の 荒振 あらぶ る神 ども を、 言趣 ことむ やは となり。 いか にか 八年 やとせ に至るまで復奏さざる』ととへ」とのりたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故爾鳴女、自天降到、居天若日子之門湯津楓上而、言委曲如天神之詔命。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故ここに 鳴女 なきめ あめ より降り到りて、天若日子の かど なる 湯津楓 ゆつかつら の上に て、 委曲 まつぶさ に天つ神の詔りたまひし みこと ごと 言ひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾天佐具売、聞此鳥言而、語天若日子言、此鳥者、其鳴音甚悪。故、可射殺云進、即天若日子、持天神所賜天之波士弓、天之加久矢、射殺其雉。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに 天佐具売 あめのさぐめ 、この鳥の言ふことを聞きて、天若日子に語りて言ひしく、「この鳥は、その鳴く こゑ いと し。 かれ 射殺 いころ すべし」と云ひ進むる即ち、天若日子、天つ神の賜へりし 天之波士 あめのはじ 天之加久 あめのかく 矢を持ちて、その きざし を射殺しき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾其矢、自雉胸通而、逆射上、逮坐天安河之河原、天照大御神、高木神之御所。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここにその矢、雉の胸より通りて、 さかしま 射上 いあ げらえて、天の安の河の河原に す天照大御神、 高木 たかぎの 御所 みもと いた りき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

是高木神者、高御産巣日神之別名。故、高木神、取其矢見者、血著其矢羽。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この高木神は、高御産巣日神の また の名ぞ。 かれ 、高木神、その矢を取りて見たまへば、血、その矢の羽に けり。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是高木神、告之此矢者、所賜天若日子之矢、即示諸神等詔者、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに高木神、「この矢は、天若日子に賜へりし矢ぞ」と りたまひて、すなはち諸の神 たち せて詔りたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

或天若日子、不誤命、為射悪神之矢之至者、不中天若日子。或有邪心者、天若日子、於此矢麻賀礼。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

し天若日子、 みこと あやま たず、悪しき神を射つる矢の いた りしならば、天若日子に あた らざれ。 きたな き心有らば、天若日子この矢に まが

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

云而、取其矢、自其矢穴衝返下者、中天若日子寝朝床之高胸坂以死。(此還矢之本也)

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

と云ひて、その矢を取りて、その矢の穴より かへ くだ したまへば、天若日子が 朝床 あさとこ いね 高胸坂 たかむなさか あた りて死にき。(これ還矢の本なり)

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

亦其雉不還。故於今諺曰雉之頓使本是也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

またその雉還らざりき。 かれ 今に ことわざ に、「 きざし 頓使 ひたづかひ 」と ふ本これなり。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、天若日子之妻、下照比売之哭声、与風響到天。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

かれ 天若日子の つま 、下照比売の く声、風の むた 響きて あめ に到りき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是在天、天若日子之父、天津国玉神、及其妻子聞而、降来哭悲、乃於其処作喪屋而、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに あめ なる天若日子の父、天津国玉神またその 妻子 めこ 聞きて、 くだ り来て き悲しみて、すなはち 其処 そこ 喪屋 もや を作りて、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

河雁為岐佐理持、鷺為掃持、翠鳥為御食人、雀為碓女、雉為哭女、如此行定而、日八日夜八夜遊也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

河雁 かはがり 岐佐理持 きさりもち とし、 さぎ 掃持 ははきもち とし、 翠鳥 そにどり 御食人 みけびと とし、 すずめ 碓女 うすめ とし、 きざし 哭女 なきめ とし、かく行なひ定めて 日八日夜八夜 ひやかよやよ 遊びき

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此時阿遅志貴高日子根神到而、弔天若日子之喪時、自天降到、天若日子之父、亦其妻、皆哭云、我子者不死有祁理。我君不死坐祁理云、取懸手足而哭悲也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この時、 阿遅志貴高日子根 あぢしきたかひこねの て、天若日子の とぶら ひたまふ時に、天より降り つる天若日子の父、またその妻、皆哭きて云ひしく、「我が子は死なずてありけり。我が君は死なずてましけり」と云ひて、手足に取り かか りて哭き悲しみき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

其過所以者、此二柱神之容姿、甚能相似。故是以過也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

その あやま ちし 所以 ゆゑ は、この二柱の神の 容姿 かたち いと よく相似たり。 かれ ここをもちて あやま ちき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是阿遅志貴高日子根神、大怒曰、我者愛友故弔来耳。何吾比穢死人云而、抜所御佩之十掬剣、切伏其喪屋、以足蹶離遣。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに阿遅志貴高日子根神、 いた く怒りて ひしく、「 うるは しき友なれこそ弔ひ来つれ。 なに とかも きたな 死人 しにびと くら ぶる」と云ひて、 御佩 はか せる 十掬剣 とつかつるぎ を抜きて、その 喪屋 もや を切り伏せ、足もちて はな りき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此者在美濃国藍見河之河上、喪山之者也。其持所切大刀名、謂大量、亦名謂神度剣。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

こは 美濃 みのの 国の 藍見 あゐみ の河上の 喪山 もやま ぞ。その持ちて切れる 大刀 たち の名は、 大量 おほはかり と謂ひ、亦の名は 神度剣 かむどのつるぎ と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、阿治志貴高日子根神者、忿而飛去之時、其伊呂妹高比売命、思顕其御名。故、歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故、阿治志貴高日子根神は、 忿 いか りて飛び去りし時、その 同母妹 いろも 、高比売命、その 御名 みな あら はさむと思ひき。 かれ 、歌ひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿米那流夜 淤登多那婆多能
宇那賀世流 多麻能美須麻流

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

美須麻流迩 阿那陀麻波夜
美多迩 布多和多良須
阿治志貴多迦 比古泥能迦微曽也

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

御統に 穴玉はや
み谷 ふた 渡らす
阿治志貴高 あぢしきたか 日子根 ひこね の神ぞ
とうたひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此歌者、夷振也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この歌は 夷振 ひなぶり なり。

『系図』天つ神:タカミムスビ、アマテラス、オモヒカネ、千々姫、ワカヒコ、ホヒ、国つ神:スサノオ、オオクニヌシ

用語解説

安万侶

安万侶

やはって??

天武天皇

天武天皇

平和にしろとか、服従させろってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

枝葉の茂ったカツラもしくはモクセイのこと。

安万侶

安万侶

楓なのにカエデじゃないんですか?

天武天皇

天武天皇

そう、楓でカツラと読ませてるんだよ。

天武天皇

天武天皇

だからカツラといいたいところなんだが、木犀モクセイの中国名が桂花でな。

天武天皇

天武天皇

鳴女が止まった木がどちらなのか、わからないわ。

天武天皇

天武天皇

隠れたものを探る女とかスパイとか干渉好きとか、色々言われていて定説がないな。

安万侶

安万侶

天之波士あめのはじ天之加久あめのかく矢ってなってるけど、天之麻迦古弓あめのまかこゆみ天之波波矢あめのははやだったはずじゃ??

天武天皇

天武天皇

おっ、スルドイね。書き写すときに、違う資料を見てしまったのかもな。

天武天皇

天武天皇

天之波士弓はハジの木で作った弓で、天之加久矢は鹿を射る矢のこと。

安万侶

安万侶

高御産巣日神の別名が高木たかぎの??

天武天皇

天武天皇

ああ。高くそびえる木は神の依り代と考えられていてな、太陽神とも雷神ともいわれているのよ。

天武天皇

天武天皇

太陽神といえばアマテラスなんだが、そんなわけで高天原の本来の最高神はタカミムスヒなんて説もあるのさ。

安万侶

安万侶

まがって??

天武天皇

天武天皇

災難あれってこと。平たくいえば、死んでしまえってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

朝寝の床のこと。

天武天皇

天武天皇

胸のこと。仰向けに寝たときの胸が坂のようになっているからだな。

安万侶

安万侶

還矢の本って??

天武天皇

天武天皇

いわゆる返し矢型説話ってやつな。

天武天皇

天武天皇

メソポタミアにもニムロドの矢っていう、天に放った矢が返ってきて射た本人を射殺す話があるのさ。

天武天皇

天武天皇

行ったきり戻らない使者って意味。現代では梨のつぶてともいうな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

風と一緒にってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

遺体を安置するための建物。

天武天皇

天武天皇

死者に供える食べ物を持つ者のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

掃き清める者のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

死者に供える食べ物を作る人のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

米をつく女のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

泣く女のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

このように役割を決めてってこと。

安万侶

安万侶

遊びきって、人が亡くなったのに遊ぶんですか??

天武天皇

天武天皇

違う違う。音楽を奏でたり舞を舞うこと。死者復活の儀式よ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

蹴飛ばしてってこと。

天武天皇

天武天皇

岐阜県の長良川かな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

岐阜県美濃市大矢田の喪山とか、岐阜県不破郡垂井町の喪山古墳とか、どこなのかはっきりしないな。

天武天皇

天武天皇

美濃市大矢田には喪山天神社もあるぞ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

天にいるってこと。

天武天皇

天武天皇

若い機織り女のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

首にかけているってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

谷二つにも渡ってってこと。

天武天皇

天武天皇

アヂスキタカヒコネは雷神だからな、谷を渡り、玉のように光り輝く雷を讃えているんだ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

古代歌謡の曲名よ。

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