日本神話『五穀の起源』

スサノオ、オオゲツヒメ

五穀の起源

アマテラスが戻り、再び平和になった高天原たかまがはらだったが、八百万の神々は、そもそも事の発端となった、スサノオに3つの罰を下すことを決めた。

まずは、彼の所有する品々を高天原に全て献上させた。今でいう罰金だ。

次に、髪とヒゲを切り、手と足の爪をすべて剥がした。また生えてくるものを無くすことは、心を入れ替えるという意味があった。

そして最後に、高天原から追放した。

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・ ・ ・ ・ こうして文無しになったスサノオは葦原の中つ国あしわらのなかつくにに降りることになった。

スサノオ

スサノオ

あぁ、やっちまった ・ ・ ・

イタズラ好きのガキ大将のような性格だったスサノオは、あの事件を期に猛反省し、落ち着きを見せはじめていた。

スサノオ

スサノオ

つーか、腹減った。

そういえば、アマテラスの引きこもり事件から罪悪感もあって、ろくなご飯も食べていない。

空腹に限界を感じたスサノオは、トボトボとオオゲツヒメの神殿へ向かった。

オオゲツヒメは食物の神だ。彼女なら何か食べ物を譲ってくれるだろうと考えたのだ。

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神殿に着くと、彼女は快く迎えてくれた。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

あんらぁ~スサノオ様でらっしゃいますね??

スサノオ

スサノオ

へ??あ、あぁ。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

わらわの神殿に向かっていると風の噂で聞いたものですから、お待ちしておりましたのぉ!!

スサノオ

スサノオ

はぁ ・ ・ ・

スサノオ

スサノオ

なんか、気色悪ぃ女だな ・ ・ ・でもまぁ、そんなことも言ってらんないか。

そう思いながらも、スサノオが『食べ物を譲って欲しい』と頼むと、オオゲツヒメは『よろこんで!』と言って、嬉しそうに神殿へと招き入れてくれた。

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オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

ただいまお作りしますから、少々お待ちくださいねん♪♪

オオゲツヒメはスサノオを客間に通すと、そそくさと台所に駆け込んだ。台所はかなり奥にあるらしく、こちらからは見えない。

しかし、しばらくの間おとなしく待っていると、台所の方から美味しそうな匂いが漂ってきた。

スサノオ

スサノオ

やべー。ちょー腹減ったぁぁ ・ ・ ・

すると、すぐにオオゲツヒメがご馳走をたくさん持ってきてくれた。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

お待たせしましたぁ〜!!

スサノオ

スサノオ

うおぉーちょー美味そー!!いただきますっっ!!!

スサノオが彼女の用意してくれた料理を早々にバクリと口に含むと、衝撃が走った。

スサノオ

スサノオ

うぉー!!めっちゃ美味ぇぇー!!!

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

あんらぁ〜とても嬉しいですわぁ!!うちの食材はみんな出たてで新鮮ですのぉ〜♪♪

スサノオ

スサノオ

おぉー!!!これもうめぇぇ!!!

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

ふふっ!まだまだたくさん出ますからぁ〜。おかわりをお持ちしますわねん♪♪

食いっぷりの良いスサノオを気に入ったのか、オオゲツヒメは上機嫌でまた台所へと向かった。

スサノオ

スサノオ

はぁ ・ ・ ・ ぶっちゃけ最初は、気色悪ぃ女だなんて思っちまったけど ・ ・ ・ ・ ・

スサノオ

スサノオ

めっちゃイイヤツじゃねぇかっっ!!!!

自分のせいとは言え、高天原を追い出され、若干人間不信になっていたスサノオは、オオゲツヒメに、心から感謝をした。

スサノオ

スサノオ

つーか、食ってばっかってのも、なんか悪りぃな。礼でもしに行くか。

スサノオは席を立ち、オオゲツヒメのいる台所に向かった。

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そして廊下を進んでいると、どこからか、嗚咽のような声が聞こえて来た。

スサノオ

スサノオ

・ ・ ・ ・ ・ ん??誰か泣いてんのか???

「うっっっうっっっっ ・ ・ ・ ・ ・ 」

うおぇぇ
ビチャビチャビチャ

スサノオ

スサノオ

っっっ!?いや、誰か吐いてんのかっっっ!?!?

廊下の先に、のれんが見える。

きっとあそこが台所だ。

うおぇぇ
ビチャビチャビチャ

のれんの奥で、誰かが桶に向かって吐いている姿が見えた。

しかし、不思議なことに、ゲロリンチョではなく、米やら小豆やらがボトボトと落ちてゆく。

スサノオ

スサノオ

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ??

誰かが吐く音が止んだ。

スサノオは恐る恐る、のれんの奥の台所を覗き込む。

するとそこには、桶の淵にしゃがみ込み、

ウンチング体勢で踏ん張っているオオゲツヒメの姿があった。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

ふぬぬぬぬ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ぷりぷりぷり♡

スサノオは、オオゲツヒメのケツの穴から大豆がモリモリと出てくる現場を目撃してしまった。

スサノオ

スサノオ

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ う”っ。

思わず漏れてしまったスサノオの声に、オオゲツヒメが振り返る。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

はっ!!
あら、やっだぁ〜ん!スサノオさまったら、えっちぃ〜!!

そういう彼女の鼻の穴からは小豆がポロポロとこぼれ落ちた。

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

いまから、こちらも調理してお持ちしますからねん!お席でお待ちくださいなっっ!!!

オオゲツヒメがスサノオに向かって恥ずかしそうに笑顔を向けた瞬間。

彼の中で何かが『ブチン』とキレた。

スサノオ

スサノオ

っって、ソレ、食っちまったじゃねぇかああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

ザクッ!!!

オオゲツヒメ

オオゲツヒメ

ギャァァァ!!!!!

スサノオは半泣きでオオゲツヒメを斬りつけた。そして、怒り狂い、その場で彼女をバラバラに切り刻んでしまった。

スサノオ

スサノオ

ヒドイっっ!!!酷すぎるっっ!!!俺を侮辱するにも程があるっっっ!!

スサノオ

スサノオ

あぁ ・ ・ ・ ・ 食っちまったじゃんか ・ ・ ・ ・ ・ あれっ ・ ・ ・ アレ ・ ・ ・ おれ ・ ・ ・ 食っちまったじゃねーかよ ・ ・ ・ ・ ・

スサノオは、もう取り返しのつかないこの絶望的な現状に泣きそうになりながら、トボトボとその場を立ち去った。

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しかし、オオゲツヒメにとってこれは最高の"おもてなし"のつもりだった。

スサノオに切られてしまったオオゲツヒメの体はサラサラと形を崩し、頭は蚕に、目は稲に、耳はあわに、鼻は小豆に、陰部は麦に、尻は大豆へと変わった。

この喜劇とも悲劇とも何とも言えない事件を高天原から覗いていたカムムスビは、彼女のサラサラになった遺体を天に上げ、その種を葦原の中つ国に蒔いた。

神産巣日神

カムムスビ

んもぉ。スサノオくんったら、やんちゃさんなんだから ・ ・ ・

すると土地は潤い、食物がどんどん実っていった。

結果的にはこの事件のお陰で、人々の間に五穀が広まることとなった。

 

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