天皇記『応神天皇と朝鮮半島』

応神天皇と朝鮮半島

応神天皇と朝鮮半島

応神の母親、神功皇后が新羅に渡ってから、朝鮮半島との交流が一気に盛んになっていた。

約束通り、新羅の人たちは渡って来るたびに、いろいろな貢ぎ物や、技術者を送ってきてくれた。

応神天皇

応神天皇

わぁ!

今回もこんなに貢ぎ物持って来てくれたのー?ありがとう!!

新羅の使者

新羅の使者

違げーよ、この倭人が。貢ぎ物じゃねぇよ。施しだよ。

クソ。無理矢理に契約結びやがって。

応神天皇

応神天皇

え?そうだったの??母上からは、新羅王って何でも言う事聞いてくれる、めっちゃ寛大で優しい人だったって聞いてたのに。

新羅の使者

新羅の使者

そりゃ、てめーらみたいな下等民族に施しを与えるくらいなんだから、寛大に決まってるだろうが。バカ。

応神天皇

応神天皇

ふーん。そっか。じゃあ、やっぱ、いい人なんだ。

新羅の使者

新羅の使者

そうだよ!!ウチの国王はいい人なんだよっ!!!

応神天皇

応神天皇

よかった!

新羅の使者

新羅の使者

・ ・ ・ はぁ。ったく、この平和ボケ国家が。調子狂うわ。

応神天皇

応神天皇

ん?そぉ??

新羅の使者

新羅の使者

コッチは陸続きだから、外交は常に緊迫状態だっつーのに。

てめーらときたら、勝手に来て、『朝貢してね☆じゃ!』だもんなぁ!!

応神天皇

応神天皇

あぁ ・ ・ ・ まぁ、島国だからしょうがないよね??

新羅の使者

新羅の使者

ふんっ!!

応神天皇

応神天皇

でも、確かに、日本からのお返しは、伝統工芸品くらいしかないから、なんか申し訳ないな。

新羅の使者

新羅の使者

本当だよっ!!中華に朝貢すりゃ、超いろいろもらえんのによ!!

応神天皇

応神天皇

そうそう。なんか、中華のどっかの国に行くと、いっぱいお返しが貰えるらしいね。

新羅の使者

新羅の使者

そうだよ。中華は、てめーらみたいな田舎国家とは格が違ぇんだよ。格が。

応神天皇

応神天皇

へぇ〜いつか行ってみたいなぁ〜。遠くて行ったことないから。

新羅の使者

新羅の使者

ったく、のーてんきだな。脳みそ湧きすぎて逆に羨ましいわ。

応神天皇

応神天皇

ははっ。なんか、ごめんね?

新羅の使者

新羅の使者

チッ!倭人め。思ってもいないくせにすぐ謝りやがって。

ごめんっつーなら、自分が加害者だって認めんだな!!なら、金出せコラッ!!

応神天皇

応神天皇

えぇ!?急になんでっ!?ちゃんと正式に約束したでしょう??

新羅の使者

新羅の使者

知るかよっ!そっちが謝ったんだから、契約無効だっ!!

応神天皇

応神天皇

えぇー。そーゆうの困る ・ ・ ・

応神天皇

応神天皇

あ、そうだ!

そしたらお返しに、進撃の巨人のDVD特典付き最新巻と、柏崎星奈ちゃんの限定フィギュアも付けてあげるよ!!それならどう??

新羅の使者

新羅の使者

なんだと!?クソッ!!

しょーがねぇな、このオタク倭人!!仕方なしにまた来てやるよっ!!

応神天皇

応神天皇

本当っ!?よかったー!!

新羅の使者

新羅の使者

次回はキングダム全巻と、とらぶるのララちゃんのフィギュアも用意しとけよなっ!!!

応神天皇

応神天皇

オッケー☆

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また、百済くだらの国王からは、馬をオスメス一頭づつと、太刀や大鏡などいろんなものが献上された。

百済の人のほうが、新羅の人よりもなんだか優しい雰囲気だ。

アチキシ

アチキシ

この太刀、うちの国王の、近肖古王きんしょうこおうから天皇陛下へのプレゼントですっ!

百済の使者、アチキシがかしこまって太刀を応神に献上すると、ヨコからオオサザキが声を上げる。

オオサザキ

オオサザキ

うぉぉーー!!何やコレ!!めっちゃカッコエェ!!!

オオサザキ

オオサザキ

おやじぃぃ!!これ、めっちゃ、かっこえぇぇやぁぁぁん!!!

そして目を輝かせながら、父親の肩をガクンガクン揺らした。

ウジノワキ

ウジノワキ

サザキ兄!恥ずかしいっ!!恥ずかしいから止めてっ!!

と、使者の前で興奮しているところを、皇太子こと、弟のウジノワキに必死に止められる。

応神天皇

応神天皇

サザキ、わかった、わかったってば。あとで太刀はあげるから、お前、ちょっと黙ってて?

オオサザキ

オオサザキ

うわぁーい!おおきにぃ〜♡

ウジノワキ

ウジノワキ

はぁ ・ ・ ・ すみません。

アチキシ

アチキシ

いえいえ、喜んでいただけて嬉しいです!

応神天皇

応神天皇

まったく。ウジィのがよっぽど大人だよ。

これが、今でも石上神宮いそのがみじんぐうに保管されている七支刀しちしとうらしい。

応神天皇

応神天皇

いつも、ありがとね。

アチキシ

アチキシ

いえ!

応神天皇

応神天皇

あと、ついでと言ったら申し訳ないんだけど、お願いがあって ・ ・ ・

アチキシ

アチキシ

はい、何でしょう?

応神天皇

応神天皇

いやーね、イマドキ恥ずかしいんだけどさ、日本って元々文字が無かったでしょう??

アチキシ

アチキシ

はぁ ・ ・ ・

応神天皇

応神天皇

だから、漢字が苦手な人が多くて。

貿易が盛んになって、これからもっと漢字の需要が増えるだろうからさ。

応神天皇

応神天皇

もし、百済に頭のいい人がいたら、日本に来て教えて貰いたいんだよね。

アチキシ

アチキシ

なるほど〜。

応神天皇

応神天皇

誰かいい人いないかな??

アチキシ

アチキシ

うーん。そうですね ・ ・ ・

文官のワニキシなら日本語も中国語もできるトリリンガルなんで、適任かもです。

アチキシ

アチキシ

帰ったら聞いてみますね!

応神天皇

応神天皇

本当??ありがと!!

すると後日、そのワニキシが孔子の言葉を残したと言われる「論語」10巻と、今で言う漢字の練習テキストの「千字文せんじもん」を1冊持って来日。漢字のスペシャリストとして、講義をしてくれた。

また、鍛治師や、織物師、酒の醸造家など、いろいろな技術者が大陸から訪れた。中でも三国志にも出てくる『呉』出身の織物師の技術は素晴らしかった。

余談だけど、今でも『呉服』って言葉にその名残がある。

やがて、新羅や百済から日本に来た技術者も増えて来たので、応神は武内に命じて溜池を作らせることにした。

その池は『百済の池』と呼ばれて、夏場など水の減る時期にはとても重宝した。

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そんなある日。

朝鮮から来たお酒のスペシャリスト、ススコリという男が、日本で酒を醸して応神に献上した。

そのお酒はとっても美味しく、応神はついつい飲みすぎてしまい、上機嫌で歌いだす。

応神天皇

応神天皇

ひゃはぁー☆

俺ってば、ススコリが造ってくれたお酒で酔っちょったよーん♡

応神天皇

応神天皇

これって無事息災のめっちゃめでたいお酒だよねっ☆

応神天皇

応神天皇

へへっ!!お酒に笑いを誘われて、いま、おれ、すっごく酔っちゃってまぁ〜しゅ♡♡♡

そして、歌い終わるとダッシュで皇居を抜け出す。

ウジノワキ

ウジノワキ

えぇっ!?父上っ!?

オオサザキ

オオサザキ

親父ぃ!?どこ行きはるんっっ??

ウジノワキとオオサザキたちが慌てて追いかけると、応神は坂の上まで来たところでやっと立ち止まった。足下にあった大きめの石が邪魔だったのか、ふらふらしながらその石に絡み出す。

応神天皇

応神天皇

んもぉー!!そんなところにいたら邪魔でしょぉ??

天皇のくせに、言動がもはやただの酔ったオッサンだ。

しかし、応神が石を杖で叩こうとすると、なんと、その石がひょひょいと動いて逃げ出したではないか。

オオサザキ

オオサザキ

え?今、あの石、動かへんかった??

ウジノワキ

ウジノワキ

僕にもそう見えました ・ ・ ・

応神天皇

応神天皇

おぉ??ウジぃ?サザキぃ!?いま、見た??動いたよねぇ??

応神天皇

応神天皇

いま、石、動いたよねぇぇ????

オオサザキ

オオサザキ

落ち着けぇ、親父ぃぃ!!!

この事件をキッカケに、「硬い石も酔っ払いは避ける」ということわざが流行ったらしい。

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そんな事件からしばらくして、吉野の国主たちが大贄をするために朝廷に足を運んできた。応神の元へ案内するために、ウジノワキとオオサザキが国主を迎えに行く。

ウジノワキ

ウジノワキ

こんにちは、遠くから御足労いただき、ありがとうございました。

吉野の国主

吉野の国主

ウジノワキさま!わざわざお出迎え、ありがとうございます。

オオサザキ

オオサザキ

いらっしゃぁ〜い☆

ウジノワキが頭を下げている横で、オオサザキが百済の王様からもらった、あの七支刀しちしとうをブラブラと、これ見よがしに腰から下げて、国主たちの前で見せつける。

すると、彼らは気をつかって「わぁ!」と声を上げ歌を詠ってくれた。

吉野の国主

吉野の国主

応神陛下の御子のオオサザキさま、オオサザキさま!!

吉野の国主

吉野の国主

その腰に吊られた太刀はゆらゆらと揺れて冬の落葉樹の枝がサヤサヤと鳴っているようで、なんて素敵な太刀なんでしょう!!

オオサザキ

オオサザキ

へへ〜っ!カッコエエやろぉ??

オオサザキが上機嫌でドヤ顔を返す。

ウジノワキ

ウジノワキ

さっ!!サザキ兄!!何やってんのっ!?恥ずかしいから、そうやって見せびらかさないでっっ!!

ウジノワキが真っ赤になりながら、オオサザキの袖を引っ張ると、国主たちにホッコリと笑われてしまった。

彼らはそれから、吉野から持ってきた木で楕円形の平たいウスを作り、そこで酒を醸して応神に献上をする。

吉野の国主は、楽しげにワハハと笑い声を上げて舌鼓を打つと、歌を詠い出した。

吉野の国主

吉野の国主

樫の木の下で横臼を作り、そこで醸したこのお酒!

吉野の国主

吉野の国主

陛下、どうぞ美味しく召し上がってくださいな!国民みんなのお父さんっ!!

そして、盃を渡された応神は嬉しそうに飲み干す。

応神天皇

応神天皇

くはぁー!!やっぱ、なんだかんだで日本酒うまし☆

ちなみにこの歌は、それ以降、各地の国主たちが大贄おおにえ(名産品)を献上する時に歌う定番ソングになった。国主たちも、酒を献上する度にわざわざ歌を考えるのは面倒だったんだろう。

その他にも応神は、海の幸、山の幸を献上する部署や、密猟の取り締まりをする部署を定めるなど、いろいろな功績を残し、110歳で亡くなった。

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