天皇記『仁徳天皇とクロヒメ』

仁徳天皇とクロヒメ

仁徳天皇とクロヒメ

聖帝ひじりのみかどと呼ばれるようになってからも、仁徳にんとくはバンバン天皇として仕事をこなしていくのだが ・ ・ ・ 優しくって、仕事ができて、国民に人気があって、かっこ良くて、モテて ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ なんてリア充の極みのような彼でも、人生そんなに全てが上手くいく訳ではなかった。

『天性の女好き』の仁徳の皇后こうごうである『イワノヒメ』が、『天性のヤキモチ焼き』だったのだ。

イワノヒメ

イワノヒメ

・ ・ ・ ・ いや、ウチは普通だし。どう考えたってアイツの方がおかしいだろ。

彼女はあの、執事みたいな大臣、武内たけしうちの孫娘だった。

イワノは、一部の男性オタクから絶大な支持を得そうなショタ系のペチャパイツンツン娘で、仁徳がちょろっとでも他の女の話しを持ち出そうもんなら、足をバタつかせて駄々をこねるほど嫉妬深かった。

イワノヒメ

イワノヒメ

乳か??乳なのかっ!?今回もまた巨乳と浮気したってコトは、所詮女は乳だと貴様は主張したいのかっ!?

仁徳天皇

仁徳天皇

いや、べつに、んなことゆーとらんやろ。たまたまやん ・ ・ ・ ・

イワノヒメ

イワノヒメ

うっさい!Dカップ以上の女は全員詰めてんだよっ!!気付け!この変態オッパイ星人っっ!!!

仁徳天皇

仁徳天皇

痛って!!ちゃうちゃう!!あれはちゃうって!!!あの子のはちゃんと柔らかかっっ ・ ・ ・

イワノヒメ

イワノヒメ

戯言は黄泉で言えっっ!!!

仁徳天皇

仁徳天皇

あででででっ!!!!

 

正直、結婚前から不安はあった。

 

しかし、イワノの実家の葛城かつらぎは大和にとって重要な要塞拠点ようさいきょてんにあり、しかも彼女の父は百済外交くだらがいこうの責任者だ。今後の大和の発展には葛城の協力が必要不可欠だと考えた仁徳は、彼女を皇后に立てることを決意した。

なんて ・ ・ ・ そんなことを言うと、国のために好きでもないヤツと結婚したみたいに聞こえるが、ヤキモチさえ無ければ、イワノはとてもかわいらしい女性で、仁徳もイワノのことは、ちゃんと愛していた ・ ・ ・ の、だが ・ ・ ・ ・ ・ ・ まぁ、そうは言ってもそれで彼の女好きの性格が治るわけもない。

仁徳天皇

仁徳天皇

にしても、なんであんな妬くんやろ??イワノも変わっとるよなぁ ・ ・ ・

ていうか、この時代の男性に『浮気が悪いこと』と言う感覚がそもそも無かった。

そんな女性関係にルーズな仁徳なので、今まで何人の女の子と付き合ってきたかなんてもう覚えていなかったが、古事記にはその中で3人とのエピソードが残っている。

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1人目は、クロヒメという可愛らしい姫だ。

ある日、吉備きびの国(岡山県)に可愛い子がいると聞きつけ、仁徳は宮中に呼んだ。彼女は噂通りの可愛らしさで、気に入って妻に迎えたが、そんなことをイワノが許す訳が無い。

イワノヒメ

イワノヒメ

・ ・ ・ ・ ほほぅ。皇后のウチの前でイチャつくとは。なかなか根性据わってんだな??

クロヒメ

クロヒメ

(ゾクッ ・ ・ ・ !!)

イワノは仁徳のいないところで、クロヒメを虐めて虐めて虐め抜いて、さっさと実家に追い返してしまった。

 

仁徳天皇

仁徳天皇

お?クロヒメは??クロヒメはどないしたん??

彼女がいないことに気付いた仁徳は、海の見える崖の上まで駆け登る。

そしてクロヒメが乗った小舟が連なっているの見つけると、オーバーリアクションで膝を付き頭を抱えた。そして、

仁徳天皇

仁徳天皇

んがああぁぁぁ~~~!!!!

と大声を上げて歌を詠い出す。

 

・ ・ ・ いや、叫び出す。

 

仁徳天皇

仁徳天皇

沖に小舟がめっちゃ連なっとる ・ ・ ・

どこやっ!?どこにおるんや、オレのかわいい嫁っ!!

仁徳天皇

仁徳天皇

悲しすぎるやろっっっ!!!

こんなに愛しく想ぉとる人が国に帰ってまうやなんてっっっっ!!!!

うおぉ!

イワノヒメ

イワノヒメ

・ ・ ・ ・ ・ あぁん??

そんな彼の悲痛な叫びを聞いたイワノはさらに怒り狂った。そして、イワノは遣いを出して最寄りの港にクロヒメの船を追い込むと、彼女を船から引き摺り下ろし、『吉備まで歩いて帰れ』と放り出してしまったのだ。

 

超怖えぇ。

 

こうしてクロヒメを失い、ぶっちゃけ仕事どころではなくなってしまった仁徳は

仁徳天皇

仁徳天皇

オレ、淡路島が見たい。

と突然、訳の分からない言い訳をついて行幸ぎょうこう(天皇の出張)に出た。

そして淡路島まで船を出し、吉備に続く海を見ると、

仁徳天皇

仁徳天皇

『難波の岬を越えてオレが治める海を眺めると、淡島に、オノゴロ島に、いろんな島が見えるんやなぁ〜。

仁徳天皇

仁徳天皇

ヤシの木の生えた南の島とか遠くの島々まで見えてまうわぁ〜♪♪』

なんて、ご機嫌な歌を詠い出す。もちろん、彼の目的は淡路島への行幸なんかではない。

一休みすると、さらに船を進めてクロヒメのいる吉備へ向かった。

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仁徳天皇

仁徳天皇

クロヒメぇ〜!会いたかったで〜〜♡♡♡

クロヒメ

クロヒメ

えっ ・ ・ ・ 仁徳さまっ??

突然、仁徳が訪れると、クロヒメはとても喜んだ。そして

クロヒメ

クロヒメ

私、今夜はご馳走を作りますねっ!!夜は冷えるし、仁徳さまに暖かいスープを飲んでもらいたいから、青菜を摘んでこなくっちゃ!!

と言って意気揚々と青菜摘みに出かけた。だが仁徳にとっては、そんなご馳走どうだっていい。

仁徳天皇

仁徳天皇

・ ・ ・ はよイチャこきたいんやけど。

彼はしばらく彼女の実家のリビングでそわそわしていたが、居ても立っても居られず

仁徳天皇

仁徳天皇

オレ、青菜が摘みたい。

と、バレバレの言い訳をかますと、女中にクロヒメの居場所を聞き出し、後を追った。

 

そして彼女を見つけると、後ろから抱き込むように彼女が摘んでいた青菜に手を添え、

仁徳天皇

仁徳天皇

『 ・ ・ ・ オレ、こーいうのやったことないんやけど 、山の畑の青菜摘みも、あんたとやったら楽しいもんなんやな。』

と詠い、完全に口説きモードに入る。

さらに彼女の実家に帰ると、家族もいる中でイチャイチャイチャイチャ2人の世界に浸り、さっさと夕食を済ませると、待ちに待ったメインイベントの夜を楽しんだ。

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しかし『淡路島が見たい』なんてわけのわからない言い訳をついて出てきてしまった手前、長居をすることはできない。別れを惜しみながらも仁徳は翌朝、大和に帰ることにした。

クロヒメは別れ際、

クロヒメ

クロヒメ

『大和の方に向かって西風が吹いていますね。

この風は雲を散り散りに離れさせてしまうけれど、その雲みたいに私とあなたが離れ離れになっても、私のことは忘れないでくださいね ・ ・ ・ ・ 』

なんて、切ない歌を詠った。そして仁徳の乗った船を眺めながら、

クロヒメ

クロヒメ

『大和の国へいそいそと向かって行くのは誰の夫なんでしょうね。

地下を潜るように人目を盗んで私と密かに心を通わせたあの人は、一体、誰の夫なのかしら?』

と、皇后のイワノにささやかなお返しの歌を詠った。

しかし、クロヒメに関するその後の記録は残っていない。

仁徳天皇とクロヒメ

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