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ゆかりの地巡り
投稿日:2022/06/06 最終編集日:2022/06/03
はじめまして。宮崎県在住のにわか古事記ファンのふじまると申します。
宮崎県といえば、高千穂や海幸山幸伝説など古事記の天孫降臨以降のゆかりの場所がたくさんあります。
さらに宮崎県内には、神武天皇を祀る「宮崎神宮」と、神武の父・ウガヤフキアエズを祀る「鵜戸(うど)神宮」の2箇所の「神宮」があり、大和と並んで古事記ファンの注目スポットだと思います。
第一回目の神社レポートは、そんな日向三代よりずっと昔の時代、古事記神代のイザナギとアマテラスにまつわる「江田神社」と「御池」をご紹介したいと思います。
▼もくじ
まずは江田神社へ
宮崎で有名なリゾート施設・シーガイヤフェニックスリゾートから歩いていける距離に、市民の森と呼ばれる阿波岐原森林公園の端に「江田神社」と「御池(みそぎ池)」はあります。
ちょうど新緑の若葉が出てくる散歩日和の4月上旬、久しぶりにお詣りに行きました(宮崎はあっという間に暑くなるので、5月以降は日傘がいると思います)。
まずは江田神社(宮崎市阿波岐原町字産母127)です。
御祭神は日本最初の夫婦であるイザナギノミコトとイザナミノミコトです。
この2柱は、国生みの神として知られていて「産母(やぼ)二柱大明神」とも呼ばれています。このことから江田神社は、地元の人たちから「産母様」とも言われているそうです。
黄泉の国へ逝ってしまった妻イザナミに会いに行ったイザナギですが、イザナミの変わり果てた姿に恐れ、黄泉の国から戻って江田神社にある「御池」で身を清めたという神話が残されています。
夫婦神をお祭りしているので、「縁結び」「安産」などのご利益があるそうですが、黄泉の国でケンカ別れしてしまったイザナギとイザナミの、仲良かった頃を思い出してちょっと切なくなります。
「安産」もヒノカグクチを産んだことがきっかけで命を落としたイザナミの願いが込められているような気がします。
禊祓の地ですから、もちろん「厄払い」のご利益もあるそうです。
入り口の一の鳥居の横には「古事記の神系譜」の立て看板があり、まずはここでしっかり復習&予習します。
江田神社と御池に関係が深いのは、この系譜の右上のイザナギ、イザナミ、アマテラス、ツクヨミ、スサノオですね。
一の鳥居を過ぎると・・・
一の鳥居を過ぎると参道では気持ちいい風が吹いています。短い参道で、奥に二の鳥居が見えますね。
左手には駐車場がありますが、ここに「みそぎの碑」というものがありました。
後ろの赤茶色がイザナギで、前のグレーが左からスサノオ、アマテラス、ツクヨミを表しているそうです。
芸術的ですね~!
イザナギが三人を見守っているようにも見えますね。
二の鳥居です
二の鳥居です。
この左手に社務所があり、お守り等もここで購入できます。
「宮崎の古社めぐり」という張り紙がありました。
これによると平安時代中期に成立した「延喜式神名帳」に選定された神社を延喜式内社といい、
宮崎県では
都農(つの)神社、
都萬(つま)神社、
江田神社、
霧島岑(きりしまみね)神社
以上の4つだけだそうです。
さらには江田神社は続日本後紀にも記されているそうです。
江田神社、すごい由緒のある神社なのですね‼
祝詞発祥の地・みそぎ発祥の地と言われる所以は?
江田神社と御池は「祝詞発祥の地」「みそぎ発祥の地」とも言われています。
祝詞は神社で神主さんが神様に唱える言葉ですが、私は厄払いをしてもらったときなどに聞いても正直何を言っているのかわかりませんでした?
今回お守りと一緒に購入した江田神社の湯呑みに、「祓詞(はらえことば)」が載っていました。
日本一有名な祝詞、祓詞の冒頭ですね♬
「・・・・伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘 小戸の阿波岐原に 御禊祓へ給ひし時に・・・」
何がなんやらわからないので、単語で見てみます?
「筑紫(つくし)」は九州のこと。
「日向(ひむか)」は宮崎らへんのこと。
宮崎には「橘」という地名があります(宮崎市の中心街は「橘通り」といいます)。
江田神社と御池の住所は「宮崎市阿波岐原」です。
つまり祝詞の中の「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」は九州の宮崎の江田神社と御池周辺のことです!
全国で使われている祝詞に、もろに江田神社と御池のことが出てきて、ここでイザナギがみそぎをしたよ、と!!
へ~!改めてすごい場所なのですね‼再度驚きです。
二の鳥居をすすみ、いよいよ拝殿です
二の鳥居をすすむと、右手に注連縄のまかれた御神木・大きなクスノキがあります。
某有名スピリチュアルの方曰く、超パワースポットとのことです。
このクスノキの下の方にはコブがあり、触ると強力なパワーが得られるそうで、さっそく触ってきました‼
そのまま参道をすすむと「江田神社由緒記」があります。
江田神社は創建が古すぎてわからないくらいだけど、この地はイザナギがみそぎをしたところだと。
仁明天皇のときに官社に列せられたり、醍醐天皇のときに延喜式内社として神名帳に載ったり、などと説明されています。ふむふむ。
拝殿に近づくと参道左手に、注連縄のまかれた2つ目の御神木「オガタマノキ」(招霊木)があります。
根っこがすごいので、転ばないように注意です。
日本神話でアマテラスが天岩屋戸にこもってしまった時に、アメノウズメがこの「オガタマノキの赤い実」を持って踊ったそうですよ!
残念ながら今回は赤い実はなってなかったです(秋に見られるそうですよ)。
江田神社拝殿です。
現在の社殿は昭和8年(1933年)に再建されたものだそうです。
天気がよくて青空と新緑が映えて、本当に清々しく気持ちよかったです。
神社は意外とシンプルで、だからこそ威厳を感じました。
由緒ある神社にも関わらず江田神社の規模が小さいのは、寛文二年(1662年)の大地震の津波によって壊滅的な被害を受けてしまったことと、後西天皇の神社制度変革によって村落の産土神と同様の取扱を受けるようになったことが原因だそうです。
また、江戸時代の国学者・本居宣長が著書『古事記伝』で「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」が日向の国には見つからないと言ってこの地の伝承的な由緒を否定したことも、江田神社の権威を失落させる原因になったそうです。
本居宣長先生~、ここに「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」がありますよ~?
現代では本居宣長の説は見直され、江田神社は復権しているそうです。
よかった‼
普通のおみくじの横に、「日本の神話おみくじ」がありました。
さっそく日本の神話おみくじをひくと・・・
「イザナギノミコト」でした!ご祭神様!
「良い縁に恵まれる時です」だそうです。ラノベ古事記と出会えたのが良い縁だな?
続いて、御池(みそぎ池)へ向かいます
無事に参拝を終え、次は御池(みそぎ池)に向かいます。
江田神社からは、御池への近道があります。
舗装されてない道なので、雨の日や雨上がりの日は歩きにくいかもしれないのでご注意を(その場合は少しだけ遠回りになりますが舗装されている遊歩道をおすすめします)。
ドングリも落ちている道をすすむと、
「古代の江田駅跡」の案内がありました。
律令時代、中央と地方を結ぶ官道と駅が作られたそうですよ。
日向の国では16の駅が作られ、その一つが江田駅とのこと。
駅には駅馬が置かれ「はゆま」と呼ばれたそう。なんか可愛い。
律令時代の妄想が膨らみますね~‼
2~3分で舗装された遊歩道に合流しました。
御池に到着。出迎えてくれたのは…!?
そのまま舗装道を5分ほど歩きすすめると、御池(みそぎ池)に到着です!
御池は黄泉の国から帰ったイザナギがみそぎをしたといわれる場所です。
みそぎ発祥の地☆
「古事記」によると、川でみそぎをしたというように書いていたのですが、実際の御池はちょっとイメージ違いました?
意外と小さい&植物いっぱい(笑)
みそぎをしたからこうなったのかなと思っていたら、どうやら大昔はこの辺りは入り江(小戸)にそそぐ小川の河口があったそうですよ。
なるほどです!
イザナギが右目を洗ったときにツクヨミが、左目を洗ったときにアマテラスが、鼻を洗ったときにスサノオが誕生しました♬
また、住吉三神もこの契池で生まれた神さまです。
瀬の流れの深いところで下筒男命が、中間で中筒男命が、浅いところで上筒男命が生まれたとされます。
他にも綿津見三神などたくさんの有名な神様たちが誕生しました。
皆ここから生まれたんだ~‼‼ここが皆の故郷なんだと感動ですね。
グルっと池の周りをまわってみることに。
途中でやけに水が澄んでる場所がありました。
よく見るとここから水が湧いているようです!
入口側からちょうど対面にある浅いところでは、小魚が!動物がいるんだ。
トンボもいる~‼それで、お守りが「禊祓とんぼ玉守」だったのかな~
…と思っていたら、カメを発見‼
しかも5匹も。
イザナギイザナミの夫婦神と三貴子みたいと勝手に妄想。
泳いでいるカメもいました。
はるか昔にイザナギが禊をした場所、ここには今はいろんな動物の住処になっているのだろうなと感慨深いものがありますね。
江田神社周辺は阿波岐原森林公園で市民の森となっていて訪れる人の憩いの場です。犬の散歩をしたり、ジョギングを楽しむ人の姿も見られました。
舗装された遊歩道の両脇の樹木林と木漏れ日がとても清々しい気持ちになれる場所です。
以上で第一回神社レポート「江田神社と御池」はおしまいです。
宮崎に来られた際には、ぜひ江田神社と御池にいらっしゃってください。
またそのあとに森の中でゆっくり過ごしてみてくださいね☆
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