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古事記まめちしき
投稿日:2022/06/12 最終編集日:2022/06/03
今回は私の推し謎の星神カカセオについてお話させて頂きます。
私がカカセオに惹かれた経緯なのですが、まだ日本神話について興味を持ったばかりのころにたまたま手に取った本の小さなスペースにコラムのような感じでカカセオについて紹介されていました。
残念ながら本のタイトルは覚えてないのですが、ただ星神であることと神名だけが載っていたのに妙に気になってインターネットで調べ居るうちに推しになりました。
どんな神様かはこれからご紹介させて頂くのですが、歴史上の人物でも最後まで時の権力に屈しない系の人が推しなのでまさにという感じでした。
▼もくじ
カカセオってどんな神様
カカセオこと「天香香背男(あめのかがせお)」は別名「天津甕星(あまつみかぼし)」という日本書紀にだけ登場する星の神様です。
他にも星神香香背男(ほしがみかがせお)、香香背男(かがせお)、天背男(あめのせお)、天村雲命(あめのむらくものみこと)という別名があります。
『日本書紀』巻第二 神代下 第九段本文にはこのように記されています。
一説によれば「二神(タケミカヅチとフツヌシ)は、ついに邪神や草木・石の類を誅伐し、皆すでに平定した。唯一従わぬ者は、星の神・カガセオのみとなった。 そこで倭文神・タケハヅチを派遣し、服従させた。そして、二神は天に登っていかれた。倭文神、これをシトリガミと読む。
葦原中津国の平定を拒んだ「まつろわぬ神様」なのです。
このような素性から古事記の出雲の国譲り神話に登場する建御名方神(たけみなかたのかみ)と同一視されることもあるようです。
また『日本書紀』巻第二 神代下 第九段一書(二)にはこんな記述もあります。
ある書によれば、天津神はフツヌシとタケミカヅチを派遣し、葦原中国を平定させようとした。 その時、二神は「天に悪い神がいます。名をアマツミカボシ、またの名をアメノカガセオといいます。どうか、まずこの神を誅伐し、その後に降って葦原中国を治めさせていただきたい。」と言った。
「天に悪い神がいます。」とあることから元々は天津神だったようです。
神名にも「天」や「天津」と付くので国津神ではなさそうな雰囲気です。
もし元は天津神だったとしたらどのような経緯で敵方になったのかが気になるところではあります。
カカセオを御祭神とする茨城県日立市の大甕(おおみか)神社の社伝では下記のように伝わっているそうです。
甕星香々背男(天津甕星)は常陸国の大甕山に居を構えて東国を支配していたとしている。大甕神社の神域を成している宿魂石は、甕星香々背男が化したものと伝えられている。
カカセオは常陸国を治めていた首長のような存在だったようです。
「宿魂石」は九尾の狐の伝説に出てくる「殺生石」に似ていて興味深いです。
カカセオは大甕神社だけではなく全国にある「星宮神社」などによく祀られているようです。
知名度は低いかも知れませんが、実は身近な神様かもしれませんね。
参考サイト:http://kamnavi.jp/jm/kakaseo.htm
象徴される惑星
江戸時代後期の国学者・神道家・思想家・医者の平田 篤胤(ひらた あつたね)は神名の「ミカ」を「厳(いか)」の意であるとし、天津甕星は金星のことであるとしている。
マヤの創世神話では金星と太陽は双子の英雄とされています。
キリスト教では最高位の天使ルシフェルはラテン語で「光をもたらす者」と呼ばれ、こちらも金星(明けの明星)を表すという考え方もあるようです。
ルシフェルは最高神(太陽と解釈できる)に謀反を起こし堕天使ともなります。
金星はその光の明るさから太陽に並びたてる、もしくは脅かす存在として描かれることがあるようです。
天からの統治に従わなかったカカセオも太陽に並びたち、脅かす金星に例えられたのかもしれません。
参考:Wikipedia
カカセオのライバル達
「カカセオってどんな神様」でも述べましたがカカセオと敵対した神々が3柱います。
この3柱についても触れてみたいと思います。
まずは天で敵対していたタケミカヅチとフツヌシです。
タケミカヅチといえばその圧倒的強さで出雲の国譲りの際に大活躍した神様です。
古事記ではタケミカヅチとフツヌシは同一神とされていたりするようです。
日本書紀では二柱で東方の制圧をしたと記されています。
タケミカヅチは雷を司る神様として有名です。
一方、フツヌシは刀剣を司る神様です。
どちらも武神としてこの上ない神格に感じます。
次にカカセオを直接倒したシトリガミです。
シトリガミは建葉槌命(たけはずちのみこと)・天羽雷命(あめのはづちのみこと)・天羽雷命(あめのはづちのみこと)とも呼ばれます。
余談ですが大ヒット映画「君の名は。」で登場する宮水神社はこの神様を祀っているという設定があったりします。
どのような神格かと調べてみますと、
なんと機織を司る神様です。
機織の神様が星の神様に勝つというすごいパワーバランスが起きています。
どんな闘いだったのか気になりますね。
死闘を繰り広げた(かもしれない)カカセオとシトリガミですが、今では二柱とも大甕神社に祀らています。
謎の呼び名「カウラザメ」
カカセオのことを常陸地方では「カウラザメ」という名前で伝わっているそうです。
残念ながら「カウラザメ」が何を意味する言葉なのか解っていないようです。
言語学に詳しい方なら似てる言語が思いつくのかもしれませんが、今のところ私は日琉祖語や日朝祖語もしくは古いアイヌ語にヒントがあるのではと考えています。
もし、言語学に詳しい方がいらっしゃいましたら情報提供お願いしたいです。
参考動画
まとめ
ここまでカカセオについてご紹介させて頂きましたが、簡単にまとめてみようと思います。
星神カカセオは東国(常陸国)を治めていた首長であり、天の神々に名を連ねていた。
だが、時の権力に従わなかった為タケミカヅチとフツヌシと敵対し機織りの神シトリガミによって制圧された。
紹介は以上になります。少しでも星神カカセオにご興味を持っていただけたら嬉しく思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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