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ゆかりの地巡り
投稿日:2022/07/21 最終編集日:2022/07/19
神奈川県二宮神奈町の町中にこんもりとある吾妻山(あづまやま)。 周辺の小学校の遠足の定番地でもあるこの山の中腹部には、ヤマトタケルの妻、オトタチバナヒメの櫛と袖が近くの海岸に漂着し、山の頂上に埋めてありし日を偲んだという言い伝えがあるらしい。 長年神奈川に住んでいるのに、全く吾妻山の歴史を知らなかったちょんまげネコは「面白そうだし行くしかないぜ!」 と、吾妻神社へと向かうのだった。
ちなみにヤマトタケルとオトタチバナヒメ、その他一行を知らない人にざっくり説明すると、大昔関東の治安が悪かったのでそれをどうにかしろと当時の天皇に命じられ、関東をぐるっと旅をした者達である。 その道中、神奈川と千葉の間にある走水の海を渡る際、海の神を怒らせたヤマトタケルの身を守るために自ら生贄として海に飛び込み、命を絶ったのがオトタチバナヒメだ。
駅に降りるとすぐに吾妻山はすぐにその姿を現す。
JR二宮駅北口を出て大通りを左折、道路をなぞるように歩いて行くと右手側に突然山へと続く道が現れる。 入口からして「ここから先は異界に続く山登りです!」 と言わんばかりの道。
頭からつま先まで浴びるように虫除けスプレーをかけて挑む。日差しが強く焼けるような夏日といえど山道は木陰で涼しくて助かった。 しかし、思ったより神社への道のりは長く、気がつけば虫除けスプレーも汗でどんどん流れてく。小学生の遠足で行く山だからと楽観視していたが、かなり体力を削られた。 なんとか山を登っていくと、突然神社が現れた。
今回お目当ての吾妻神社である。 神社自体はこじんまりとしているが、ゴールに辿り着いた達成感が強く感じられたのもあって、ほっとする場所だった。
参拝と撮影だけして帰るつもりだったが、運良く清掃中の係員さんと鉢合わせ、お話する事が出来た。快く取材に応じてくださり、本来拝殿の前までしか行けない所をなんと本殿の前まで案内して頂きました。
本殿の中にはオトタチバナヒメノミコトとヤマトタケルノミコトの名前が書かれた御札があるとのこと。 今の本殿と拝殿が築70年程(神社自体は景行天皇の時代に創建)とだいぶ古いものの、今年4月に大掃除を行ったばかりということもありとても綺麗な状態で撮影出来た。ナイスタイミングである。 依り代の鏡の前に立つのはとても恐れ多いなどと感じつつ、一礼出来たのはとても喜ばしい。
櫛は昔頭に挿して髪留めにしたり身なりを整えることから女性の象徴として、持ち主の魂が宿りやすいと信じられてきた。つまり、オトタチバナヒメの遺品の中でも1番貴重なものと考えてもいい。 吾妻神社の係員さん曰く、オトタチバナヒメの出身は神奈川西部辺りの説も存在するそう。もしこれが本当ならば櫛に魂を乗せて故郷に帰ってきたとかなと話を聞いていて思った。 そして、オトタチバナヒメの櫛と袖を山に埋めたことから、この吾妻山一帯の地域のことを「埋沢(うめざわ)」と呼び始めたのだと。 現在は漢字が「梅沢」になっているが、呼び名の響きは一緒だ。
ちなみに、オトタチバナヒメの櫛の行方については、ヤマトタケルが海辺で拾って墓を建てた説、浜辺に落ちていた櫛をどこからか来た馬が咥えて山の中の神社に運んだ説等があるので、今回の吾妻山に埋めた説はあくまで候補のうちの一つとして思ってもらいたい。
ここの神社のご利益は縁結び。 なるほど、ちょんまげネコが清掃中の係員さんとお会いしてお話出来たのもご利益の効果か。 祭礼日は毎年1月第三日曜と8月15日。この日は良縁を求めて多くの方が訪れるのだそう。 良縁を求めている方は是非一度訪れてみてはいかがだろう。
せっかくここまで足を伸ばしたのだからもう少し町を歩こうと探索を続ける。
駅中の町の地図とにらめっこ。どうやら海も近いらしい。
二宮駅南口から約徒歩5 分。 オトタチバナヒメの袖と櫛が流れ着いたとされる場所、袖ヶ浦海岸に辿り着いた。
この海岸の名前の「袖」も、勿論オトタチバナヒメ由来である。 思ったより海岸は広く、天気のいい休日に波打ち際でボーッとしていたいような心落ち着く海だった。 昔、袖が発見された日の海はどんな人がどんな会話をしたのだろう。やっぱり漁師とか、海で仕事をする人が見つけたんだろうか。
「あれぇ、なんか高貴な布が打ちあがってらぁ」
「これ、ヤマトタケルの奥さんの着物の袖にそっくりたべ! ほら、前にここにも来とったじゃんか!」
「もしかして海にのまれたんか?」
「そこの山に埋めてあげるべ!」
「みんなぁ! てぇへんだ! ヤマトタケルの奥さんの袖が、浦の海岸に漂着しとるよー!」
…みたいな。 ゆかりの地巡りは実際に行って当時のことを考えるのも楽しいなと思う。 また、お昼頃になると駅周りの喫茶店や名物のしらすを使ったご飯屋さんがオープンするので二宮を訪れた際には立ち寄るのもおすすめ
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