オノゴロ島の誕生と、新たな拠点
イザナキとイザナミ、二柱による初めての国づくり。


さて。イザナキとイザナミは、天つ神から国づくりを任された

天浮橋に立った2柱は、天沼矛を使って淤能碁呂島を作り、その島に降りて新たな拠点を築く

おお! 神様も、サバイバルモードは建築からなんですね!!

ああ、マイクラでも神話でも、「家」は生きるための基本ってことだ!
故、二柱神立(訓立云多々志)天浮橋而、指下其沼矛以画者、塩許々袁々呂々邇(此七字以音)画鳴(訓鳴云那志)而、引上時、自其矛末垂落塩之累積、成島。是淤能碁呂島(自淤以下四字以音)。於其島天降坐而、見立天之御柱、見立八尋殿。
故、二柱の神、天の浮橋に立たして、その沼矛を指し下ろして画きたまへば

そこで、二柱の神は天の浮橋に立ち、その沼矛を下に差し入れて、海をかき回したところ

塩こをろこをろに画き鳴して、引き上げたまふ時、その矛の末より垂り落つる塩、累なり積もりて島と成りき

塩水をコオロコオロとかき鳴らし、矛を引き上げると、その矛の先から滴り落ちた塩が積もり重なって、島になった

これ淤能碁呂島なり

これが、オノゴロ島である

その島に天降りまして、天の御柱を見立て、八尋殿を見立てたまひき

二柱はその島へ降り立ち、天の御柱を立て、大きな御殿を建てた

む? イザナキとイザナミって、天浮橋の上から天沼矛を海に差してます……?

ああ、なんか気になる?

いや、えっと……天浮橋って、天の国に繋がっている橋だから、高いところにあるのかと思ってたから……

海まで、矛、届くのかなって

ああー。まぁ、ここも書いてないから、想像するしかないけど……

この頃は、天と海が今よりずっと近かったか、橋が斜めにかかっていて、海の近くまで降りてきていたか……

あるいは天沼矛がめっちゃ長かったのかもしれないな? 如意棒みたいに伸びても面白い

なるー。それなら差せるか

ちなみに『丹後国風土記』の逸文には、イザナキが天へ通うために立てた『梯子』が、京都の天橋立になったっていう話もあるぞ!

えっ!? 梯子の上に立って矛を差すの、大変じゃないですか?

あ、いや、こっちはイザナキの手作りだから、別の梯子だと思うけど……

ま、名前が似ているから、後世には天浮橋と関連づけて語られることも多いやつだな

あ、橋立って、「橋」を「立」てたら梯子ってことか!

くくっ! しかもこれ、イザナキが寝ている間に倒れちゃったんだってさ

え、なにその伝承。めちゃくちゃかわいい!

イザナミに怒られてそうだよな?

ふふっ! イザナキ、かわいそうです


そういえば、「天沼矛」の表記が「沼矛」になってますね?

「天」は、天上や高天原に関わるものにつく美称だ。「御」の天界バージョンって感じかな?

天沼矛は前述があるから、略して「その沼矛」と呼んだんだ

天沼矛の名前の本体は、「ぬ」ってことかな?

ぬ!

「こおろこおろ」は?

海水をコロコロとかき鳴らしている音。可愛い表現だろ?

塩づくりの工程と似ているから、「こおろこおろ」は、塩が結晶化していくときの音とも考えられる

これからも『古事記』には、印象的な擬音語がたくさん出てくるから、お楽しみに

はーい!

あとは、この一連の行動を男女の営みになぞらえる説があるけど……

む?

そっちはいいや

次の質問は?

おのごろ島は、なんて意味ですか?

自ずと……つまり、「自ずから凝り固まった島」という意味だと考えられている

淡路島周辺に、オノゴロ島の伝承地とされる場所がいくつかあるよ

天の御柱は?

2柱の新しい拠点の中心に立てられた、神聖な柱だ

八尋殿は?

大きな御殿って意味

ちなみに、「尋」は、両手を広げた長さをもとにした単位だ。1尋は、およそ1.5~1.8メートル

八尋だと、12~14メートルほどなるけど、ここでの「八尋」は厳密な寸法というより、「とても広くて大きな御殿」という意味に取るのが自然だな

『古事記』では「八」が、大きいことや数が多いことを表す例がたくさん出てくるよ

見立てたってどういう意味?

ここでは、柱を立て、御殿を建てたという意味で大丈夫だ

塩の島で? 材料ないのに?

ははっ、そこは神様だから!

神力使って、なんか、いい感じにあれして、これしたんだろう

見せ場が適当……

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