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ゆかりの地巡り
投稿日:2022/08/11 最終編集日:2022/08/08
▼もくじ
裂田溝(さくたのうなで)とは
那珂川市山田の一ノ井堰から取水し、山田をはじめ、流域の六集落の田地を潤してきた重要な人工の用水路。
日本書紀には「田を潤す為の溝を掘っていると岩に阻まれたが、落雷が岩を裂いて田に水が通った」と書かれており、それが名前の由来になっている。
既而皇后、則識神教有驗、更祭祀神祗、躬欲西征。爰定神田而佃之、時引儺河水、欲潤神田而掘溝。及于迹驚岡、大磐塞之、不得穿溝。皇后、召武内宿禰、捧劒鏡令禱祈神祗而求通溝、則當時、雷電霹靂、蹴裂其磐、令通水、故時人號其溝曰裂田溝也。
〈現代語訳〉
神功皇后は、神託は霊験あらたかであると認識し、より一層天神地祇祀り、自ら西征しようとした。そこで、神田を定めて儺河の水を引き、神田を潤そうと溝を掘った。迹驚の岡に至るが、大磐が塞ぎ、溝を穿つことができなかった。皇后は、武内宿禰を呼び、武内宿禰は剣鏡を捧げて天神地祇に溝を通すことを祈った。すると、突然落雷があり、その磐を裂き、水が通った。それ故、人々はこの溝を裂田溝と呼ぶ。(『日本書紀』)
現在の那珂川市に流れる那珂川(なかがわ)のこと。
「儺(な)」は、『魏志倭人伝』や金印で知られる「奴国(なこく)」もしくは「奴国の流れを受けたクニ」と考えられている。
「が」は「の」を意味する格助詞。儺にある河。
那珂川町北部中央にある台地のこと。現在は安徳台と呼ばれる。
(ちなみに安徳台の名前の由来は、平安時代に81代安徳天皇が都を逃れてきてここに仮御所を構えたという伝承から。)
武内宿禰が祈って落雷が轟いた為に「とどろきのおか」と呼ぶらしい。
(が、迹驚岡で「とどろきのおか」と読むのか疑問。驚きの岡の迹(あと)?)
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で安徳天皇が注目されることを見越してなのか、ここ数年前に「国史跡 安徳台展望所」と書かれた黄色い旗が設置された。
裂田溝周辺の様子
現人神社の近くには田んぼが広がっています。
裂田溝が続いており、途中にはウッドデッキの遊歩道のある「カワセミ公園」があります。
教育委員会が実施した地質的な調査では、ここより上・下流は軟らかい地盤であるのに対し、この場所だけ硬い岩盤が東側の丘陵から細長く張り出していることが分かりました。
また発掘調査でも、裂田神社の裏手から溝の底を経て、対岸まで広がる花崗岩の硬い岩盤を確認しています。
つまり、ここまで掘り進んできた水路を北側へ通す為にはどうしても水路の開削を遮っている硬い岩盤を突破しなければならなかったということです。
その工事はとてもとても大変で、当時としては大変大掛かりなものになったのでしょう。
「雷電霹靂」というのは、雷のようなものすごく大きな工事音が鳴り響いていた様子を表しているのではないでしょうか。
そんな風に、古代の様子をリアルに身近に感じました。
裂田の溝を記念して、裂田神社には神功皇后が祀ってあります。
小さな神社ですが、沢山の絵馬が奉納されており、地元の人たちの信仰を集めていた様子が伺えます。
裂田神社内に書かれていた物語をそのまま掲載します。
私は、ここに書かれた物語を読んだ時、なんだかちょっとうるっとしてしまいました。
神功皇后が指揮して作られた裂田溝という用水路は、ここに住んでいた人達にとって心から望まれたものであり、大変大変喜ばれたんだろうなぁって。
ここ住む人達はここに水を引く事が出来たら良いのにってずっとずっと思いながらどうにも出来ずにいたところ、神功皇后がやってきて、岩をも砕く力でもって水を引いた。
ここに住む人々の生活が豊かになった。
そりゃあもう、神功皇后を崇めるよねー。
人々の暮らしに直結する、こういう事業って大事。
ありがとう神功皇后、大好き!
裂田神社からまたさらに裂田溝に沿って進んで行くと、一の井出公園があります。
子供たちが水に入って遊んでいる様子も見られました。
ここには、神功皇后が立って「無事に水を通させ給え」と祈ったと伝わる石がありました。
説明書きがあったのはこの石だけですが、似たような形の石が裂田神社など他の場所にもあったので、その場所その場所で神功皇后が工事現場の人たちを鼓舞して回っていたのではないかと思われて、私はキュンキュンしてしまいました。
皇后が側で祈って応援してくれたらさ、そりゃあ頑張っちゃうでしょ?
しかも、「自分の為に城を作れ」とか「国の為に命がけで戦え」とかそんなんじゃなくて、生活に直結する治水工事の為に!皇后御自ら!
こんなん、神功皇后のこと好きになるにきまってるじゃん!大好き!!
神功皇后は古事記や日本書紀の記述だけでも好きになるに足る人物だったのですが、那珂川に伝わる神功皇后の話によって更に更に愛が深まったのでした。
関連情報
●裂田神社
福岡県那珂川市安徳11
● 天皇・人物 一覧
↑↓私がアメブロに書いた記事です。
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