古事記の原文『朝鮮出兵』

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『朝鮮出兵』の原文

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原文の概要

天武天皇

天武天皇

仲哀の突然の死を恐れ、国中のあらゆる罪を調べ上げて、全ての穢れを祓う。再び神功と武内は神託を聞く。神の正体が住吉三神とわかる。神託に従い、神功は新羅の国へ行く。神功は新羅と百済の二国を平定する。その間、神功は出産を遅らせるために、石を腰に巻く。

安万侶

安万侶

日本を飛び出して、海外へ進出したんですね。

天武天皇

天武天皇

新羅征伐が史実かどうかは議論があるんだが、朝鮮や中国にも関係しそうな記録が残っているんだ。

原文&読み下し文

朝鮮出兵

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾驚惧而、坐殯宮、更取国の大奴佐而、種種求生剥、逆剥、阿離、溝埋、屎戸、上通下通婚、馬婚、牛婚、鶏婚、犬婚之罪類、為国之大祓而、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに驚き ぢて、 殯宮 あらきのみや せて、更に国の 大幣 おほぬさ を取りて、 生剥 いきはぎ 逆剥 さかはぎ 阿離 あはなち 溝埋 みぞうめ 屎戸 くそへ 上通下通婚 おやこたはけ 馬婚 うまたはけ 牛婚 うしたはけ 鶏婚 とりたはけ 犬婚 いぬたはけ の罪の たぐひ 種種 くさぐさ ぎて、国の 大祓 おほはらへ をして、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

亦建内宿祢居沙庭、請神之命。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

また建内宿祢 沙庭 さには て、神の みこと を請ひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是教覚之状、具如先日、凡此国者、坐汝命御腹之御子、所知国者也。爾建内宿祢、白恐我大神、坐其神腹之御子、何子歟。答詔男子也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに教へ覚したまふ さま つぶ さに さき の日の如くにして、「凡そこの国は、 汝命 いましみこと の御腹に坐す御子の知らさむ国なり」とさとしたまひき。ここに建内宿祢、「 かしこ し、我が大神、そのの腹に坐す御子は、 いづ れの子ぞや」と白せば、「 男子 をのこご ぞ」と答へて詔りたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾具請之、今如此言教之大神者、欲知其御名、即答詔、是天照大神之御心者。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに つぶ さに請ひけらく、「今かく こと 教へたまふ大神は、その御名を知らまく し」とこへば、すなはち答へて詔りたまひしく、「こは天照大神の御心ぞ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

亦底筒男、中筒男、上筒男、三柱大神者也。(此時其三柱大神之御名者顕也。)

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

また 底筒男 そこつつのを 、中筒男、上筒男の三柱の大神ぞ。(この時にその三柱の大神の御名は顕はれき。)

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

今寔思求其国者、於天神地祇、亦山神及河海之諸神、悉奉幣帛、我之御魂、坐于船上而、真木灰納瓠、亦箸及比羅伝多作、皆皆散浮大海以可度。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

まこと にその国を求めむと思ほさば、 天神地祇 あまつかみくにつかみ 、また山神また河海の もろもろ の神に、悉に 幣帛 みてぐら を奉り、我が 御魂 みたま を船の上に せて、 真木 まき の灰を ひさご れ、また はし また 葉盤 ひらで さは に作りて、皆皆大海に散らし浮かべて わた りますべし」とのりたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、備如教覚、整軍双船、度幸之時、海原之魚、不問大小、悉負御船而渡。爾順風大起、御船従浪。故、其御船之波瀾、押騰新羅之国而、既到半国。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故、 つぶ さに教へ覚したまひし如くにして、 いくさ を整へ船 めて わた でましし時、海原の魚、大き小さきを問はず、悉に御船を負ひて渡りき。ここに 順風 おひかぜ いた く起こりて、御船浪の まにま にゆきき。故、その御船の 波瀾 なみ 新羅 しらぎ の国に押し あが りて、既に国 なから に到りき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是其国王畏惶奉言、自今以後、随天皇命而、為御馬甘、毎年双船、不乾船腹、不乾柂楫、供与天地、無退仕奉。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここにその 国王 こにきし 畏惶 かしこ みて 奉言 まを しけらく、「今より 以後 のち は、天皇の みこと まにま に、 御馬甘 みまかひ として、年毎に船 めて、 船腹 ふなばら さず 柂楫 さをかぢ さず、 天地 あめつち 供与 むた 退 むこと無く仕え奉らむ」とまをしき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故是以新羅国者、定御馬甘、百済国者、定渡屯家。爾以其御杖、衝立新羅国主之門、即以墨江大神之荒御魂、為国守神而祭鎮、還渡也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

かれ ここをもちて新羅国は御馬甘と定め、 百済 くだらの わたり 屯家 みやけ と定めたまひき。ここにその御杖を、新羅の 国主 こにきし かど き立てて、すなはち 墨江 すみのえの 大神の 荒御魂 あらみたま を、国守ります神として祭り鎮めて還り渡りたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、其政未竟之間、其懐妊臨産。即為鎮御腹、取石以纏御裳之腰而、渡筑紫国、其御子者阿礼坐。故、号其御子生地謂宇美也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故、その まつりごと 未だ へざりし間に、その 懐妊 はら みたまふが れまさむとしき。すなはち御腹を しづ めたまはむとして、石を取りて御裳の腰に かして、筑紫国に渡りまして、その御子は れましつ。故、その御子の れましし ところ を号けて 宇美 うみ と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

亦所纏其御裳之石者、在筑紫国之伊斗村也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

またその御裳に纏きたまひし石は、筑紫国の 伊斗 いとの にあり。

仲哀天皇&神功皇后

用語解説

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

正式に葬るまでの間、遺体を安置する所のこと。

天武天皇

天武天皇

「もがり」ともいって、復活や鎮魂の儀礼をするんだ。

天武天皇

天武天皇

今でも、通夜とか喪に服したりって形で残っているな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

罪や穢れを祓うための物のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

獣の皮を生きたまま剥ぐこと。

天武天皇

天武天皇

生剥・逆剥さかはぎ阿離あはなち溝埋みぞうめ屎戸くそへは、どれもスサノオが高天原でやらかした悪事と同じだよな。

天武天皇

天武天皇

これらは天津罪あまつつみといって、大祓詞おおはらえのことばにも出てくるんだ。

安万侶

安万侶

農作業に関係する妨害が多いですね。

天武天皇

天武天皇

農耕を中心に集団生活していた古代では、代表的な犯罪だったんだろうな。

天武天皇

天武天皇

親子で性行為をすること。

天武天皇

天武天皇

それから、馬・牛・鶏・犬などとの性行為も、人の道に外れた行いだってこと。

安万侶

安万侶

の腹に坐すって??

天武天皇

天武天皇

ああ、ここの神は、神功皇后に神がかりしているから、皇后のことを神と言ったんだよ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

スギとかヒノキとか、立派な木のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

ヒョウタン、あるいはその実をくりぬいて作った容器のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

柏の葉で作った皿のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

古代の朝鮮半島東部にあった国のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

古代朝鮮語で王のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

天皇に仕えて馬を飼育する部民のこと。

天武天皇

天武天皇

船の水が浸かる部分を乾かさないでってこと。

天武天皇

天武天皇

つまり、ずっと船を浮かべてって意味だろうな。

天武天皇

天武天皇

天地のある限りってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

絶えることなくってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

古代の朝鮮半島南西部にあった国のこと。

天武天皇

天武天皇

海を渡った向こうにある屯家のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

荒々しく勇猛な神霊のこと。

天武天皇

天武天皇

温和な徳を備えた神霊という意味の和御魂にぎみたまと対になっていて、神には二つの面のはたらきがあると考えられていたんだ。

安万侶

安万侶

人間にも、荒々しい一面や穏やかな一面がありますよね。

天武天皇

天武天皇

そうだな。

天武天皇

天武天皇

神はそれらが分離して、単独の神として扱われることもあるってわけさ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

新羅平定の仕事のことを指しているんだろうな。

天武天皇

天武天皇

石を腰に巻くっていう、出産を延期するためのおまじないだな。

天武天皇

天武天皇

鎮懐石ちんかいせきの名で筑紫周辺では信仰されていて、子宝や安産を祈ったんだ。

天武天皇

天武天皇

万葉集にも、石の具体的な寸法などが載っているしな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の福岡県糟屋郡宇美町宇美あたりかな。

天武天皇

天武天皇

応神天皇などを祀る宇美八幡宮うみはちまんぐうがあるぞ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の福岡県糸島市あたりかな。

天武天皇

天武天皇

この石を祀っているという鎮懐石八幡宮があるな。

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監修:春比等 Site:いまどき風土記
イラスト:駒碧 Site:わたり雪

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