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伊岐島 / 天比登都柱いきのしま / あめのひとつばしら
伊岐洲 / 壱岐洲いきのしま / いきのしま

日本の島々を生み出していく「国生み」の神話。九州(筑紫島)の次に、5番目に誕生したのが「伊岐(いき)」、現在の長崎県にある「壱岐島(いきのしま)」です。

この島には、他の島たちにはない特別な別名がありました。それは「天比登都柱(あめのひとつばしら)」。 四国などが「美しい女神」や「勇ましい男神」として描かれたのに対し、伊岐は人間のような姿ではなく、天と地をガッチリと繋ぐ「一本の柱」として描かれているのです。

ここでは、不思議な「柱」の島である伊岐の秘密と、そこに眠る数々のドラマを分かりやすくお話しします。

文献にみる「伊岐」の書かれ方

歴史書によって、この島の漢字の当て方には少しずつ違いがあります。

文献名 主な表記 読み方 登場する場面や特徴
古事記 伊岐島 /
天比登都柱
いきのしま /
あめのひとつばしら
国生みで5番目に誕生。天地を繋ぐ「柱」という特別な名前を持っています。
日本書紀 伊岐洲 / 壱岐洲 いきのしま 歴史書らしく「洲」と書かれますが、物語によっては省略されていることもあります。
延喜式 壱岐郡 いきぐん 古い神社のリスト(神名帳)に載っている地名です。
万葉集 壱岐の島 いきのしま 遣新羅使などの歌(外交の場面)に登場します。

なぜ「いき」という名前なの?

「いき」という名前のルーツには、こんな面白い説があります。

生きている島(生き)
壱岐島は海流に乗ってプカプカと動く「生きている島」だったという伝説から。

往き来する島(往き)
日本と大陸(朝鮮半島)を行き来する船が必ず立ち寄る、交通の要衝だったから。

柱の島
別名の「柱」のイメージから、神聖な空間を指す言葉として生まれたという説。

「天比登都柱」と8本の巨大な柱の伝説

「天比登都柱(あめのひとつばしら)」とは、神様たちが天上界と地上を行き来するための「架け橋」であり、世界の中心となる宇宙の軸のことです。

玄界灘の荒波の中に、ポツンと独立して浮かぶ壱岐島の姿が、まるで海から突き出た一本の柱のように見えたのでしょう。

壱岐には、この「柱」にまつわる大迫力の伝説が残っています。

昔、壱岐島は海の上を自由に動き回る「生き島」でした。

神様たちは「このままでは島がどこかへ流されてしまう!」と困り果て、島が動かないように8本の巨大な柱を打ち込んで、海に縫い留めました。

その柱のひとつが、現在も壱岐の観光名所になっている「猿岩(さるいわ)」だと言われています。高さ45メートルの巨大な岩は、本当に天を支える柱のような迫力を持っています。

月の神様「ツクヨミ」と占いのプロフェッショナル

神話の中で伊岐島は、夜の世界を治める美しい月の神様、「月読命(ツクヨミ)」が地上に降り立った場所とされています。

月の満ち欠けは、海の満ち引き(潮の干満)をコントロールします。そのため、海を渡って生活する壱岐の人々にとって、ツクヨミは航海を守る最も大切な神様でした。

のちの時代(487年)、天皇の命令によって壱岐のツクヨミの神様が京都へお引っ越し(分霊)をして、都でお祀りされることになります。

これが今の京都にある月読神社の始まりです。地方の島から日本の中心へ神様が招かれたため、壱岐の月讀神社は「神道発祥の地」と誇り高く呼ばれています。

また、この時に神様のお世話をした「壱岐氏(いきうじ)」という一族は、亀の甲羅を焼いてひび割れで未来を占う「亀卜(きぼく)」のプロフェッショナルとして、日本の政治の中枢で大活躍することになります。

胸を打つ身代わり伝説と、ヒロインの足跡

壱岐には、神様だけでなく、歴史上の英雄たちのドラマチックな伝説も残っています。

忠義の身代わり(壱岐直真根子)
昔、武内宿禰(たけのうちのすくね)という偉い大臣が、無実の罪で殺されそうになりました。

その時、彼と顔がそっくりだった壱岐の豪族「壱岐直真根子(いきのあたひまねこ)」が、「あなたのような立派な人を死なせるわけにはいかない」と、自ら身代わりになって命を落としました。

その熱い忠義心は、今も壱岐神社などで大切に語り継がれています。

神功皇后の伝説
海を渡って大活躍したヒロイン・神功皇后が、壱岐の「錦浜」に美しい着物を干したという伝説や、神様たちから歓迎を受けたというお話も島中に残っています。

神々がひしめく壱岐のパワースポット神社

壱岐島は、小さな島の中に神社が150以上も密集している、島全体が「神域」のような場所です。

神社名 場所 お祀りしている神様 特徴やご利益
男嶽神社
(おんだけじんじゃ)
男岳の山頂 猿田彦大神 磁石の針が狂う不思議なパワースポット。200体以上の石猿が並び、人々を良い方向へ「導く」ご利益があります。
女嶽神社
(めだけじんじゃ)
女岳 天鈿女命 男嶽神社の奥様。縁結びや夫婦円満の神様で、セットでお参りするとさらに良いとされます。
月讀神社
(つきよみじんじゃ)
壱岐市 月読命 など 全国の月読神社のルーツ。航海安全や、月の満ち欠けに関わる願い事を叶えてくれます。
小島神社
(こじまじんじゃ)
海上の小島 須佐之男命・伊邪那美命 潮が引いた時だけ海から参道が現れる「壱岐のモンサンミッシェル」。縁結びの聖地です。
壱岐神社
(いきじんじゃ)
壱岐市 少弐資時 など 元寇(鎌倉時代の外国からの攻撃)で島を守って戦死した若い武将を祀る、勝負運の神様です。

おわりに

「天と地を繋ぐ柱」として生み出された伊岐島。

ただの土地ではなく、月読命という神秘的な神様を地上へ迎え入れ、さらには亀の甲羅を使った占いで「天の意思を人間に伝える」という、まさに柱のような大役を果たしてきました。

動いてしまう島を巨大な柱で縫い留めた伝説や、コンパスが狂う山の頂など、壱岐島には古代の人々が感じた「大自然のエネルギー」がそのまま残っています。