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神世七代の第六代。身体の完成と満ち足りた美しさを象徴し、世界のデザインが整った歓喜を司る神様。
古事記と日本書紀での描かれ方
まずは、典籍によるお名前の表記の違いを見てみましょう。呼び方は同じでも、漢字の当て方に当時の人々の感動が詰まっています。
『古事記』では音を重視した「於母陀流」、『日本書紀』では意味を重視した「面足」と表記されます。どちらも「すべてが満ち足りた」という最高級の賛辞が含まれています。
まさに、「顔がいい」の元祖です。
| 典籍・出典 | 表記 | 主な読み方 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 古事記 | 於母陀流神 | オモダルノカミ | 神世七代の第6代。身体が整った喜びを象徴。 |
| 日本書紀 (本書) |
面足尊 | オモダルノミコト | 「面(顔)」が「足(満ち足りる)」という意味を強調。 |
| 日本書紀 (一書) |
面足見尊 | オモダルミノミコト | 「見(みる)」が加わり、その美しさを眺めるニュアンス。 |
| 先代旧事本紀 | 面足尊 | オモダルノミコト | 身体の完成と、外見の充足を司ります。 |
於母陀流神(オモダル)とは?
「ついに完璧な形になった!」という、創造のクライマックスを象徴する神様です。
神世七代の物語は、混沌から少しずつ「形」を作っていくプロセスでした。第5代で「内側の機能(家や身体の構造)」が整い、この第6代・於母陀流神の段階で、ついに「外見・容貌」が完璧に仕上がりました。
これまでの神様が「泥」や「杭」といった無機的なイメージだったのに対し、於母陀流神は初めて「人間のような整った美しい姿」として描かれます。
まさに、世界という作品の「デザインが完成した瞬間」を司る神様なのです。
また、中世の神仏習合では、「第六天魔王」として信仰を集めます。魔王としてのハードな側面と、神話の「美の完成」というキラキラした側面。魅力しかありません!!
名前の由来・意味
「オモダル」という響きには、不足が何一つない「100点満点」の美しさが込められています。
面(オモ): 顔、容姿、あるいは大地の表面を指します。
足(ダル): 「足りる」、つまり十分である、不足がないという意味です。
つまり、「顔が完璧に整っている」、あるいは「大地の表面が平坦に美しく整った」という、内側も外側も満たされた状態を表しています。
パートナーである阿夜訶志古泥神(アヤカシコネ)の名が「ああ、なんて畏れ多い(ほど美しい)のか」という感動の言葉であることからも、その美しさが尋常ではなかったことがわかります!!
登場する神話
完成された「身体」というバトン
次の世代であるイザナギ・イザナミが「国産み」を行うための、完璧なプロトタイプとしての役割です。
於母陀流神は、神話の中で戦ったり冒険したりすることはありません。しかし、彼らが「完璧な身体」として完成したことで、次の第7代イザナギ・イザナミは、迷うことなくその身体を使い、新しい国土や神々を産み出すことができました。
「道具」が完璧に使いやすく、美しく整ったからこそ、最高の「クリエイティブ」に進むことができた。神世七代における、非常に重要な「準備完了」の合図を鳴らした神様と言えるでしょう。
伝承の地
魔王から神へ!? 激動の歴史
中世の日本では、神様と仏様をセットで考える「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という考え方が一般的でした。
於母陀流神は「神世七代の6番目」であったことから、仏教の世界で、欲のある世界の頂点に立つ「第六天魔王(他化自在天)」の化身であると考えられるようになったのです。
そのため、於母陀流神は一時期「第六天魔王」として恐れられ、崇められた不思議な歴史を持っています。
武蔵国(埼玉・東京)
荒川沿いを中心に「第六天神社」が多く点在します。疫病が流行った際、川から流れてきた御神体を祀ったところ病が治まったという伝説があり、強い守護の力を持つと信じられています。
相模国(神奈川・茅ヶ崎)
茅ヶ崎の第六天神社には、神様が「身の丈約8km」もの巨神だったというユニークな伝承があります。巨大であることは、そのまま「生命力が強大であること」の象徴でした。
富士山の倍くらいなので、遠目からの方が、お顔が綺麗に拝めそうです!
御利益(神徳)
「整った身体」と「魔王の法力」の両方を併せ持つため、健康から美、厄除けまで幅広いパワーを授けてくれます。
身体壮健・無病息災
完璧に整った身体の象徴として、病を寄せ付けず、健康な体を守ります。
美容・技芸上達
「面(顔)」が満ち足りる神様として、美しさの向上や、クリエイティブなスキルの完成を助けます。
疫病退散・魔除け
第六天魔王としての強大な力で、ウイルスや悪霊などの邪気をシャットアウトします。
耳の病気・頭痛平癒
武蔵地方では「神錐(かみきり)」という独特の信仰があり、耳や頭の病を治す神様としても有名です。
祀られている主な神社
武蔵第六天神社(埼玉県さいたま市)
疫病除けや耳病平癒で知られる名社。「向かい天狗」が神の使いとして守護しています。
第六天神社(神奈川県茅ヶ崎市)
鎌倉時代からの歴史を持つ古社。身体壮健の巨神伝説が伝わり、旅人の安全も見守ってきました。
穏田神社(東京都渋谷区)
原宿・表参道の鎮守。「美の神」「技芸の神」として、現代のクリエイターからも人気です。
第六天神社(宮城県名取市)
東北地方でも数少ない第六天神社。疫病を鎮めるための強い霊験で信仰されています。
など
執筆のためのリサーチノート・参考文献
Writer’s Note:
本記事は、國學院大學の公開資料をはじめとする古典文献の厳密な記述を参考にしつつ、作家・クリエイターである小野寺 優(ラノベ古事記 著者)の視点から、独自の解釈で構成しています。

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