天皇記『オオクニヌシの呪い』

垂仁天皇、ヒバスヒメ

オオクニヌシの呪い

ヒバスヒメとの残念な初夜以来、垂仁天皇すいにんてんのう徐々じょじょに元気を取り戻し、やがて彼女は垂仁すいにんの皇后となった。

垂仁すいにんはサホビメの忘れ形見である、ホムチワケを大切に育てた。もちろん、ヒバスヒメとの間にも子供が産まれたが、彼女も分け隔てなくホムチワケに接してくれた。

 

「ホムチワケ~♥ 今日もお前は可愛いなぁ♥♥♥」

 

ホムチワケの成長と共に、垂仁すいにんのユルイ性格も完全復活していた。

『へらっ』っとホムチワケもユルイ笑顔を返す。

 

「今日もヒゲが伸びたんじゃないかぁ?ついに乳首まで到達したなっ!!」

 

『にへらっ』っとホムチワケは恥ずかしそうに笑顔を向けた。

そう、垂仁すいにんは小さな子供と喋っているわけでは無かった。
ホムチワケは、ヒゲがもしゃもしゃになる大人になっても、言葉を発することが無かったのだ。

もちろん垂仁すいにんは言葉を話さない彼のことをとても心配していた。

 

ホムチワケがもっと幼かった頃の話だ。垂仁すいにんは、彼が白鳥を見て何かモゴモゴと口を動かしたのを見て、その白鳥を家臣総出で大和から新潟まで追わせて、朝廷に連れて来させたこともあった。しかし、ホムチワケが何か言おうとしたのはその一回だけで、その白鳥を見せたところで彼が言葉を発することは無かった。そのままホムチワケは大人になってしまったので、垂仁すいにんは彼の声をあきらめていた。

 

そんなある日。

 

垂仁すいにん神床かむとこ神託しんたくを仰ごうと、部屋の扉を開けると、無駄にイケメンの不審者が待ち構えていた。

 

「 ・ ・ ・ やぁ、遅かったね。君がてんてるちゃんの子孫か。僕はオオクニヌシだ。」

 

わっ、驚いた!てんてるちゃんって??アマテラスのこと??てか、神様っ??マジでっ??やばい!!ツッコミどころが満載すぎて対応しきれないっっ!!!しかもオオクニヌシってまさか出雲いずもの ・ ・ ・ 」

「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうだよ。君がなかなか来ないからこっちから出向いちゃったじゃないか。全く。感謝してよね?」

「うおぉぉ~!オオクニヌシさまぁ~~!!オレ、超、憧れだったんすけどぉ!!ファンなんです!うわぁ~!ホンモノに会えるなんて!!天皇やっててマジ良かったぁ~!!」

 

オオクニヌシは彼の予想外の反応に驚いた様子だ。

 

「えっ?うそ?そうなの??僕、絶対、男には嫌われるタイプだと思ってたけど ・ ・ ・ 」

え~!だって、伝説の種馬じゃないですかっ!!!男に生まれたからには誰しも一度は夢見ますって!!」

「そぉ??そぉかな??いやぁ、別に男に褒められたところで僕には何のメリットも無いけど、そう言われると悪い気はしないな ・ ・ ・ ・ ・ ・ ありがと。

でも、そっか ・ ・ ・ それならなんか悪いことしちゃったかな ・ ・ ・ 。」

 

オオクニヌシは、申し訳なさそうに頭を掻いた。

 

「え?悪いことって??」

「あぁ ・ ・ ・ 君の溺愛してる息子のことだよ。実は、僕の呪いなんだ。」

「そんな ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうだったんですか?なんか、オレ、マズイことやっちゃいました??」

「いや、君ってゆーか、天つ神ってゆーか、てんてるちゃん??あの子さぁ ・ ・ ・ 人に国、譲らせておいて感謝の気持ちとか無いわけ??

 

垂仁すいにんそう言われ、ドキッとした。確かにあの子、人に"ありがとう"とか言えなさそうだ。

 

「えっ ・ ・ ・ あぁ~〜いやぁ~ ・ ・ ・ 彼女に関しては ・ ・ ・ どうなんだろう ・ ・ ・ ・ ・ ・ えっとぉ ・ ・ スミマセン。。。ウチの娘が何か失礼を??」

「うぅん、失礼っていうかさ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 君の代までちゃんと、神殿の約束の話しは伝わってるの?」

神殿の約束と言えば、オオクニヌシが国譲りの際に天照大神アマテラスに出したあの条件だ。

もちろん!高天原たかまがはらに届くくらい大きな神殿を建ててあなたを祀ったって。小さい頃から聞かされてきた神話ですもん。」

「うん ・ ・ ・ そりゃそうなんだけどさ。それ、何千年前の話だと思ってる?とっくの昔に朽ち果てるんだけど。」

「へ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうなんすか??」

「いやいや、君が後継者なんだからさ、君が管理して無いなら誰もやってないってことでしょ??」

「そ ・ ・ ・ そっか。」

「だってあれ、木造だからね??もう、完全に自然に返っちゃってるよ。一応、地元の有志でちっこいお社はあるけどさぁ。地方の力でできることなんて、限りがあるからね??そこは税金集めてる国が責任を持ってさぁ ・ ・ ・ ちゃんと仕事しようよ??

「ゴメンナサイ ・ ・ ・ 全然気にしてませんでした ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

 

垂仁すいにんは申し訳無さそうに頭を下げた。

 

「まぁ、君に悪気が無かった事は分かったからさ。とりあえず君の息子にうちの神殿参拝させてよ。そしたら喋れるようにしてあげるから。」

「おぉー!よかった!!ありがとうございますっ!!!」

「だから喋れるようになったら、ちゃんとした神殿建ててよね?それと、本当に感謝の気持ちがあるんなら、60年に一回くらいでいいから建て替えてもらえる??別に僕は、20年に一回とかいうワガママ言わないからさぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

了解っす!どんな女の子を連れ込んでも恥ずかしくないように、ちょ~デカくてカッコイイ神殿作ります!!」

「あ、そぉ? ・ ・ ・ なら、期待して待ってるよ。バブル臭漂う高層マンションの最上階のイメージでよろしく。

「うっす!任してくださいっ!!」

「くすくすっ、なんだ。こんなことなら、もっと早く顔出せばよかったな。
・ ・ ・ 君とお話しできてよかった。それじゃ、要件だけで申し訳ないけど、僕はこれで失礼するよ。」

 

オオクニヌシはにっこり笑ってヒラヒラ手を振ると、すっと消えてしまった。

部屋の外はとっくに朝になっており、垂仁すいにんは全く寝た気がしなかったが、すぐにホムチワケを出雲いずもに向かわせた。

垂仁天皇、オオクニヌシ

ホムチワケの初恋

ここから少しの間、主人公はホムチワケに移る。

ホムチワケは、父親に言われたとおり出雲いずもの神殿を参拝した。
お供としてホムチワケに付き添った数人は、参拝の後、彼が喋り出すのを今か今かとソワソワして待ったが、特に変わった様子は無い。
まぁ、そんなすぐに話せるものでもないのだろうととりあえず、小高い丘の上でランチを取った。すると丘の下の方に不自然な形をした山が見えた。

 

「なぁ ・ ・ ・ 何かあの山、おかしくないか?オオクニヌシを祀ってる祭場かな??」

 

実際、その山は偽物で、ホムチワケを迎えようと出雲いずもの神主がわざわざ用意してくれたものだったのだが、ホムチワケのお供にとってそんなことどうでも良くなってしまった。だってホムチワケがイキナリすげーナチュラルに喋り出したのだ。お供は大喜びし、これを垂仁すいにんに伝えるため、早馬でさっさと先に大和へ帰ってしまった。

 

「 ・ ・ ・ えっ?うそ?俺、置いてきぼりっ??」

 

一人残されたホムチワケは、とりあえずは出雲いずもに泊まることにした。
そして、言葉を手に入れて急に色気付いたのか、その日のうちに出雲いずものヒナガヒメと結婚することになった。

トントン拍子で初夜を迎え、まじ、言葉の力ぱねぇ。と、彼はオオクニヌシに心から感謝をした。

『まさかこんなすぐに、こんな可愛い子と結婚できるなんてなぁ~。』

ホムチワケは幸せそうに、隣で寝ているヒナガヒメの頭を撫でた。 ・ ・ ・ しかし、何か様子がおかしい。撫でた頭がツルツルしてなんだか冷たい。不思議に思い、ホムチワケは彼女の顔を覗き込んだ。

 

するとそこには、ヒナガヒメではなく巨大な蛇が横たわっていた。

 

「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ うわぁっ!!!」

 

ホムチワケの驚いた声で、その蛇はビクっと起きた。

 

「ホムチワケ様っ!!ご ・ ・ ・ ごめんなさい、私 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

 

その蛇からヒナガヒメの声が流れてくる。なんと、彼女の正体は蛇神だったのだ。巨大な蛇はソロソロとホムチワケにに近づいてきた。

 

「うわあぁぁぁぁーーー!!!こっち来んなああぁぁぁぁ!!!」

 

ホムチワケは恐ろしくなって裸足のままそこから逃げ出した。

しかし、彼女も「待ってください!」と悲しい声を上げながら必死に追いかけてくる。ホムチワケは、海まで走ると手漕ぎ船に乗り込み全力で漕いだ。

この暗闇の中を船で逃げれば追って来れないだろうと気を抜いたのも束の間。ヒナガヒメも手漕ぎ船に乗り、魔法で灯りを照らしながら付いてきた。さすが神。何でもできる。

 

だが、追われる身としては余計に怖い。

 

ホムチワケは半泣きで船を漕ぎまくり何とか陸地に着くと、その重い船を担いで山をけ登った。もちろんヒナガヒメも付いてくる。すると山道の先に小さな谷があった。

ホムチワケは、頑張って担いできた船を谷の向こう側に渡し、橋のようにして、その上を全力疾走した。

 

「ホムチワケ様っ!!行かないでくださいっ!!」

 

ヒナガヒメの声だ。すぐ後ろまで来ている。ホムチワケが谷を渡り切り、後ろを振り返ると彼女と目が合った。

 

人の姿だとやっぱ可愛い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

けど、やっぱ蛇は無理っっっ!!!!!

 

「 ・ ・ ・ それで、俺、谷に架けた船を『ガンッッ!!』って蹴り上げて谷底に落としたんだ。あとはもう振り返らずにひたすら大和に向かって走って帰ってきたから ・ ・ ・ もうフラフラで。はぁ ・ ・ ・ もぉ、すんげぇ怖かった ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

 

「うんうん、そっかそっか、それはよかったね♥」

 

垂仁すいにんは、出雲いずもから帰って来たばかりの我が子の話をヘラヘラしながらうれしそうに聞いていた。

 

「はぁ??親父何言ってだよ。マジすげー怖かったんだから ・ ・ ・ ・ ・ っっ!?」

垂仁すいにんはぎゅーっとホムチワケに抱きついた。

「本当、よかった ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

言葉を手に入れ、急に大人びたホムチワケは、

「 ・ ・ ・ ったく、止めてくださいよ。もう、ガキじゃないんだから。」

と言って恥ずかしそうに笑った。

 

こうして、また主人公は垂仁すいにんへと戻る。

 

垂仁すいにんはホムチワケの無事を確認すると、すぐに出雲いずもに遣いを送り、立派な大社を建てて、オオクニヌシを祀った。これが今も続いている出雲大社いづもおおやしろだ。

オオクニヌシの希望通り、バブル臭漂う高層マンションのイメージで建設され、太古にも関わらず、96m(30階建てのマンションくらい。)もあったなんて記述が残っている。
しかしその後、何度も倒壊とうかいし、8世紀頃には48m(15階建てのマンションくらい。)の高さになっていたが、それでも11世紀から13世紀の間だけで11回も倒壊とうかいしたらしい。

そんな長い時間の中で日本人は木造の限界を学び、最終的には現在の出雲大社のフォルムで収まっている。

そして、出雲大社が出てきたとなれば、そろそろ伊勢神宮にも登場してもらいたいところだ。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ が、しかし。

 

実はまだ天照大神アマテラスの引っ越し先が決まっていなかった。

 

垂仁すいにんの父、崇神天皇が神床で天照大神アマテラスにビンタされてから数十年。崇神天皇の娘、つまり垂仁すいにんの妹が、八咫鏡を持って散々日本全国を歩き回ったのだが、天照大神アマテラスのOKがなかなか出ず ・ ・ ・ ・ ・ ・

ついに妹はリタイヤし、現在は垂仁すいにんの娘の倭姫やまとひめが八咫鏡と旅をしていた。

『今回もダメでした。マジ、あのワガママ娘どうにかしてください。』といった内容の伝言が届くたびに、垂仁すいにんは本当ごめん。と思ったが、倭姫やまとひめに頑張ってもらう他ない。

最終的には現在の伊勢神宮が天照大神アマテラスの引越先となるのだが、そこに決まるまで、崇神天皇の神託から90年も掛かったそうだ。とんでもないワガママ娘だ。また、伊勢に決まるまで引越し先の候補地になった土地は、今でも元伊勢と呼ばれている。

その他にも、垂仁すいにんはネタの豊富な天皇で、あと3つのエピソードが残っている。

1.相撲の起源きげん

大和に"蹴速けはや"という力自慢の男がいたので、垂仁すいにんが「だれかさ、こいつに勝てる奴、いないの??」と煽ったところ、出雲いずもから"宿禰すくね"という男が名乗りを上げた。そこで垂仁すいにんは2人を勝負させることにした。

天つ神のタケミカヅチと国つ神のタケミナカタの勝負も相撲の起源きげんとされているが、人間同士での勝負はこれが初めてというわけだ。

と言っても今の相撲とは違い、足技がメインで、ムエタイか何かですか??って程、激しい戦いだったらしい。この久しぶりの出雲いずもVS大和対決は、出雲いずも宿禰すくねが勝ったのだが、蹴速けはやが絶命するまで勝負は続けられたという。

そんな戦いが今も続けられていたら、N●Kでは絶対に流せない。負けた蹴速けはやの土地や財産などは宿禰に寄与された。

ちなみに、実はこの宿禰すくね。ホヒの子孫だった。ホヒってのは、天照大神アマテラスの次男で、オオクニヌシに国譲りを頼もうと、出雲いずもに降りたは良いけど逆に口説き落とされ、ちゃっかり住み込んじゃったあの神だ。

あの後、一体どうなったかと思ったが、出雲いずもで幸せに家庭を築けていたらしい。ちょっと安心した。彼の血は今でも出雲大社の出雲国造いずもこくそう家が受け継いでいる。

2.埴輪の起源きげん

垂仁すいにんの皇后、ヒバスヒメが亡くなった時のことだ。いつの間にか恒例となった御陵(古墳)を作ることになった。垂仁すいにんはかなり落ち込みながら、あの相撲で勝利した宿禰すくねと共に御陵の造営を見に来ていた。

「 ・ ・ ・ もうやだ。オレ、こんな長い寿命いらない。」

えっ!?陛下っ!?ちょっと、何言ってるんですか!!あんた、この前、死にたくないとか言って、常世の国までタジマモリに『伝説の不死の果実』を取りに行かせてたじゃないですか!!」

「あぅ ・ ・ ・ だって、ヒバスがこんなに早く死んじゃうなんて思わなかったんだもん。」

「タジマモリの奴、今頃、すげー頑張ってるはずですよ??常世の国なんて何処にあるかも分からなわからないっていうのに ・ ・ ・ マジ、そーいうこと言わないでくださいよ。」

「うぅー。だってぇー ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

宿禰すくねが100才を越えている垂仁すいにんの子どものような駄々をなだめていると、どこからか『キャーー!!助けてー!!誰かーー!!』と、恐怖に引きつった人々の叫び声が聞こえて来た。2人は顔を見合わせ、すぐに声のする方に走って行った。すると、なんと生きたまま大勢の人間が土に埋められて行くではないか。

 

「「ぎゃぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」」

 

垂仁すいにん宿禰すくねはその地獄絵図みたいな光景を見て声をあげた。

 

「待ったぁぁ!!!ちょっと待ったぁ!!ストップ!ストップ!!!!!」

 

垂仁すいにんは慌てて御陵造営の現場監督の元に走り寄る。

 

「へ ・ ・ ・ 陛下っっ!?どうされたんですかっ!?」

「どうされたじゃないでしょ!?君、何やってんだよ!?可哀想じゃん!!みんなめっちゃ怖がってんじゃん!!!!」

「え、いや、でも、陛下、死者に生贄を捧げる殉職は伝統じゃないですか ・ ・ ・ ・ 先代の方々の時だってみんな ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

「いやいやいや!あんな恐怖に引きつった顔の人達に殉職されたら落ち着いて成仏できないよ!!ヒバスがビビるよ!!!!あの子、クールに見えて、すげー優しい子なんだからっっっ!!!!!」

「え ・ ・ ・ でもしかし、皇后様にお供を付けないわけにも ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

「いや、でも ・ ・ ・ ・ ・ ・ そっか ・ ・ ・ うぅん ・ ・ ・ でも ・ ・ そりゃそうだけど ・ ・ ・ ・ ・ 」

 

垂仁すいにんは黙ってしまう。そこで宿禰がきらめいた。

 

「陛下 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 代わりに最近、流行ってる埴輪なんて、どうです??

 

垂仁すいにんは目を輝かせて宿禰を見た。

 

「ソレ、採用っっっ!!!」

 

こうして垂仁すいにんは宿禰の案を即行採用し、殉職を禁止した。
このヒバスヒメのお墓が、殉職者無しで、埴輪だけで飾った初めての古墳だと伝えられている。

3.不老不死の果実

先ほど宿禰が言っていた通り、数年前のある日、垂仁すいにんは死にたくないと言って駄々をこねた。
そこで、朝廷に遣えていたタジマモリが陛下のためならと言って、常世の国に成っているという伝説の不老不死の果実、「非時香菓」ときじくのかぐのこのみを求めて旅に出た。

しかしやっとの思いで常世の国を見つけ、伝説の果実を持って10年ぶりに大和に帰って来たのに、垂仁すいにんは既に亡くなっていた。

悲しんだタジマモリは、持ち帰った実の半分を垂仁すいにんの残された妻に献上し、残りの半分を垂仁すいにんの御陵に捧げ、泣きながらその場で亡くなったという。この伝説の実は「橘」と呼ばれ、みかんの原種になった。

フルーツをお菓子にしていた時代だったので、タジマモリは死後、お菓子の神様として祀られることになる。

ちなみにこのタジマモリ、新羅の王子様の曾孫だ。何話か後で、孫娘の神功皇后が大活躍する話しと、その新羅の王子様が日本に来た時のエピソードが出てくる。

そして垂仁すいにんはへらへらしながらも、なんだかんだで多くの業績を残し、153歳でこの世を去った。

『系図』アマテラス、崇神天皇、垂仁天皇、サホビメ、ホムチワケ、オオクニヌシ、ヒバスヒメ、トヨスキイリビメ、倭姫、景行天皇


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