日本神話『
天地開闢
』
日本の始まり
この国の歴史は世界がまだ未完成で、神様すらいなかったところから始まる。
現在の世界は『神の住む天界』『人の住む地上』『死者の住む冥界』の三層に分かれているけれど、その頃は地上も天界もまだ分かれていなくて、冥界は存在すらなかった。ただ世界は混沌と、どこまでもどこまでも続いていた。
そこから長い長い時間をかけて
彼の名前は
その後に生まれたのが
続いて生まれたのが
その後も2人、
最初に生まれた彼らにはまだ性別という概念が無かった。
男でも女でもない『
それからも続々と神が生まれて来るが、別に全員を覚える必要は無い。なんせこの後、
さて、
その中で一番最後に生まれた、
こうして神々の数が増えてくると、おしゃべりも増え、そのうち天界は
しかし
3人は
ミナカヌシは早速イザナギとイザナミを呼びつけ、地上に国を作るよう命じた。そしてイザナギに
イザナギは
「"くに"って ・ ・ ・ 神とか、王とか、人とかがいるやつですか?」
「そうそうそんな感じ。何か困ったことがあったら、いつでも帰っておいで。」
なんて適当に答えて2人を送り出したものの、実はミナカヌシにも国って何なのかよくわかっていなかった。だって、この時はまだ人間どころか島すら無かったのだからしょうがない。
こうして、この国は神々の気まぐれから作られることになった。
イザナギとイザナミ
ていうか、そもそも『国』って一体なんなんだ。
イザナギはとりあえず、自分たちが降りる場所が必要だと思った。だって地上にはまだ島すら無く、海の上に油みたいな、よくわかんないものがプカプカとクラゲみたいに漂っているだけなのだ。イザナギは、イザナミを連れて
「ねぇ、イザナギ!見て見てっ!!水の上になんか変なのが浮いてるっ。気持ちわるーい!!」
早速、2人が海に矛を突き刺し『こおろ、こおろ』と掻き回して引き上げると、矛の先から塩が滴りみるみるうちに固まって、小さな島ができた。
思ったよりも簡単に島ができたので、イザナギのテンションはさらに上がった。せっかくなのでその島の名前を考えた。
「ねぇ、イザナミ。この島、
「わぁ!楽しそぉっ!!」
イザナギの提案をイザナミは大喜びで賛成してくれた。こうして、2人は
そんなある日のこと、イザナギはずっと前から気になっていた疑問をイザナミに投げかけた。
「 ・ ・ ・ ・ ねぇねぇ、イザナミ、君と僕って一緒に生まれたのに、なんか形が違う気がしない?? ・ ・ ・ 君の身体ってどんな形してるの?」
「え??なんか、身体の形はできてる気がするんだけど ・ ・ ・ ・ ・ 」
「だけど?」
「うーん、あのね、私の体 ・ ・ ・ 何か足りないところがあるの。」
「へぇ!!実は僕の体もだいたいできてるっぽいんだけど、なんか余計なものがくっ付いてるんだ!!ずっと気になってたんだけど ・ ・ ・ ・ ・ 何でなんだろ??」
好奇心旺盛に目を輝かせるイザナギだったが、正直なところ、イザナミはその答えを知っていた。しかし、ここはとりあえず、知らないフリをする。
「うぅん ・ ・ ・ なんでかしらね?」
しかし、イザナギは早々に答えを導き出す。
「ねぇ!もしかしたらさ、君の足りたいところを僕の余計なところで埋めたら、なんか良いことが起きるんじゃないかな??」
「えっ!?ヤんのっっ??」
「ん??やる??何を???」
予想外の展開にイザナミは戸惑った。いやいやいやいや。女子の足りないところを男子の余分なところで補うアレって言ったらソレしかないだろ。そう思いながらも念のため確認をする。
「 ・ ・ ・ ・ ・ 本当に分からないの?カムムスビ様にあれやこれや詳~しく聞かされなかった??」
「なんだよ ・ ・ ・ 。知ってるなら教えてよ。」
イザナギは少しイライラした様子で答える。どうやら本当に分からないらしい。
「うぅん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ わかった。じゃあ、教えてあげる。」
「やった!」
「でも、その前にしたいことがあるの。」
「何?」
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・結婚。」
「結婚??わぁ。楽しそうっ!!なんだか、大人な展開だね!!」
『いや、エッチなことする時点で大人な展開なんだけど。』とイザナミは思ったが、そこはスルーした。とりあえず、籍さえ入れてしまえばこっちのものだ。イザナミは結婚式の準備をそそくさと進めた。
こうして準備が整うと早速、日本初の結婚式が始まった。イザナミはいつもより豪華な衣装を身に纏い、とっても幸せそうだ。そんな彼女に見とれていたイザナギは、いざ本番になるとガチガチに緊張した。
2人はまず神聖な柱の前に背中を合わせて立った。そして、柱の周りをイザナギは左から、イザナミは右からくるりと周り、出会ったところでハイテンションのイザナミから声をかける。
「まぁ!なんて素敵な方なんでしょうっ!!」
続いてイザナギがドキドキしながら、ぎこちない返事を返した。
「ワァ。なんてキレイなヒトなんだ。」
こうして、日本初の結婚式は、あっさりと終わった。
「よし!これで、結婚成立ねっ♪」
イザナミはとっても満足気だ。一方のイザナギは一瞬で終わってしまった結婚式に戸惑っていた。
「え??早っっ!!本当にこれでいいの??てか、僕の方から、声掛けた方がよかったんじゃない?」
「いいのいいのっ!さっ、お布団に行きましょ♪♪」
イザナミは、イザナギの手を引っぱりさっさと寝室に向かった。
「えっ??イザナミ??ちょと ・ ・ ・ 待ってよ!!え?何っ??なにっ??何すんのっっ??? ・ ・ ・ ・ ちょ ・ ・ ・ 待っ ・ ・ ・ ・ ・ ・ はぅっ♥」
こうして2人はトントン拍子に初夜を迎えた。
国産み
イザナミはすぐに
2人はまた抱き合ったが、次の子も海にふよふよと浮く泡のようで、できそこないの
いつも笑顔のイザナミが体育座りのまま動かない。ていうか、すんげー負のオーラが出ている。めっちゃへこんでる。困ったイザナギは彼女を励まそうと、
2人が久しぶりに
ミナカヌシはヒビを見ながら、2人に質問をした。
「うーーん ・ ・ ・ もしかして、結婚式の時、イザナミの方から声をかけた?」
「はい ・ ・ ・ 」
イザナミが答えると、たまたま同席していたオネェのカムムスビが、横から間を入れずに声を上げた。
「んもぉ!それじゃぁダメよ!!プロポーズは男性からしなくっちゃ!!!」
「「なっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ なるほどっ!!」」
子供がうまく産めなかった原因に、とっても
さて。家に帰ると2人は再び結婚の儀式を行った。神聖な柱をくるりと周り、今度はイザナギから声をかける。
「わぁ!なんて素敵な女性なんだ!」
イザナミもこれに答えた。
「まぁ!なんて素敵な殿方なんでしょう!!」
こうしてサラッと2回目の結婚式を終え、抱き合うと、今度は次々と立派な島々が生まれた。
2人は最初に産まれた島を
さらに次々と、四国、隠岐の島、三島、
これらの島は、「
だいたい国の形ができて、満足したイザナミだったが、「いや!まだ人が住むには狭いよっ!!狭すぎるよっ!!!」というイザナギの必死の訴えによって、2人はまた抱き合い、吉備の児島、小豆島、大島、姫島、知訶島、両児島を産んだ。
こうして何も無かった海の上に島々が並び、日本の元となる形ができたのだった。