天皇記『神功皇后』
神功皇后の神がかり
ヤマトタケルの父、
ちなみに、彼と双子のように育った親友の
ここで初めて天皇の直系が途絶えてしまったわけだが「ヤマトタケルの息子なら全然OK!むしろ Come on!!」と誰も文句は言わなかった。
そのせいもあってか、彼はとってもイッちゃっている嫁をもらった。
まぁ、要は血統書付きの完全なる『お嬢様』だった。
ある日、
しかし『いざ出発!』という時になって馬を出すと、仁王立ちの
後ろから、「神功様!お待ちください!!」と言いながら、
「陛下っ!!申し訳ございません。武内がお止めしたのですが ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「あぁ、いいよ。いつものことだし ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ で、神功、どうかしたのか?」
「仲哀は、寂しがり屋さんでしょう?だから、わらわが一緒に同行して差し上げますわ。」
出た。神功のドヤ顔。
遊びに行くんじゃ無いんだけどな ・ ・ ・ ・ ・ ・ 後ろで
「コレ、断るって選択肢は ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「当然、ございませんわっ!!」
「 ・ ・ ・ ですよね。分かったよ。でも、戦いになったらちゃんと後ろに下がってるんだぞ?」
「仲哀、ご安心なさい?熊襲の敵なんて、わらわが一瞬にして蹴散らしてさしあげますわっ!」
と、得意げに微笑んだ。
後ろでは「申し訳ありません、申し訳ありません ・ ・ ・ 」と
こうして一行は筑紫(福岡)まで来ると熊襲での戦いを占うことにした。
早速、
『『キエエエェェェェェェェーーーーッッッッ!!!!!!!!』』
と、部屋中に気持ち悪い奇声が
縦巻きロールが不気味にフワフワと波打ち、顔が完全にイッちゃってる。正月番組にしか出て来ない怪げな霊媒師みたいだ。その場にいた全員が
『『仲哀 ・ ・ ・ 汝に西の海の先にある宝に恵まれた国をやろう ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』』
え、どうしよう。超怖い。いつもの神功じゃない。コレが神様??なんだか動きがカクカクしてめっちゃ気持ち悪い。ていうか、そもそも熊襲の平定が成功するかどうか聞きたくて呼んだのに。西の海の先にある国って、新羅じゃないか。俺、熊襲の平定に行きたいんだけど。
・ ・ ・ ・ ・ ・ 何か体よく断りたいな ・ ・ ・
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 西の海?向こうは丘を登って見ても海しか見えないけどな。」
『『 ・ ・ ・ っっっ我らに逆らうか!!ならばこの国すら汝に治める資格は無い!!!即刻黄泉に落ちるが良い!!!!!』』
気持ち悪い顔の
確認すると、なんと
その場は凍り付いた。
ヤバい。これマジなやつだ。
「あの ・ ・ ・ 我々はこれからどうすればよろしいのでしょうか ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『『この国は全てこの女の腹の中にいる御子に治めさせよ ・ ・ ・ 』』
「そんな、神功様がご懐妊を??しかし、女子が産まれてしまったら?」
『『案ずるな。子は男子だ。』』
「 ・ ・ ・ あなた様は一体 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『『我らはソコツツノオ、ナカツツノオ、ウワツツノオの三神。全ては天照大御神による意思。』』
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ イザナギ様が禊でお生みになった三神でらっしゃいますね。」
『『真に西の国を求めるのであれば、天つ神、国つ神、山川海の神の全てに供物を捧げ、船に我らの御魂を祀るのだ。さすれば航海に我らの恩恵が与えられるであろう。』』
「はい ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ かしこまりました。」
すると、
その後、
朝鮮出兵
あれから
しばらく海を進むと海原の大小さまざまな魚が集まってきた。
「よろしくってよっ!!」
あ。ドヤ顔が戻った。どうやら魚の群れにテンションが上がったらしい。
「神のご意志では仕方がございませんわねっ!新羅はわらわが治めて差し上げますわっ!!」
「神功様 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
魚に背負われた船はあっという間に新羅まで着き、そのままドバシャーっと、海岸に乗り上げた。そして一気に
「ちょっ!?えっっっ??ちょっと待った!!!なにっ!?コレどーうことっ!?」
「あなたが新羅王ですわね。ごきげんよう。」
「ゴ ・ ・ ・ ゴキゲンヨウ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ って、アンタ、何の用なわけ??」
「ふふん♪♪わらわがこの国を治めて差し上げますわ。それが神のご意志ですの。」
「え ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうしよう。日本からすげーイタイのが来た。 ・ ・ ・ それより、アンタの腹めっちゃデカイけど大丈夫なのか?」
「ふふっ、出産予定日なんてとっくの昔に過ぎておりますわ。」
「それ、やばくね?さっさと国に帰れよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ていうか、お願いします。帰ってください。」
「ご安心なさって?腰に石を括り付けて出産を抑えておりますの。」
「はぁっ?そんなんで、腹の子は大丈夫なのか??」
「ご心配無用ですわ。わらわの御子は丈夫ですの。」
「はぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「それで、貴方は、わらわにどう仕えてくださるのかしら?」
「仕える前提かよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ソレ、断るって選択肢は ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「当然、ございませんわっ!」
「っっっこの女、めんどくせぇ ・ ・ ・ !!!!」
「あら ・ ・ ・ 気分を害されましたの??」
「いえいえ。はぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ いいっすよ。そしたら、馬飼になって、お仕えしますね。 ・ ・ ・ はい。それじゃ。ご苦労様でした。お引き取りください。」
「あらら ・ ・ ・ それだけですの?せっかく海を渡って参りましたのに ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「あぁ??図々しい女だな。 ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ そしたら、貢物も送ってやるよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ 頻繁に。」
「あら、素敵っ!!誉めて差し上げますわっ!」
「まじか ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「よろしくってよっ!!」
新羅王の提案した条件に満足した
「クソ ・ ・ ・ ・ ・ ・ おいっ!!そこの爺さん!!!」
「ったく、何なんだよあの女はっ!?」
「はっ、仲哀天皇の皇后、神功様でございます。」
「へ??皇后??」
「先日、仲哀陛下がお亡くなりになられましたので、神功様が国の代表を勤めさせて頂いております。今後ともどうぞ、宜しくお願いいたします。」
「えっ ・ ・ ・ もしかしてオレ、やばいこと約束しちまった??」
「いえいえ、そんな。滅相もございません。大和は新羅王の寛大なお心に感謝しております。」
「ちょっ、いやっ、さっきの約束キャンセルってのは ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「申し訳ございません ・ ・ ・ ・ ・ ・ 武内は、あくまで執事でございますので。」
「まじかよ。」
「では新羅王、こちらが正式な書類でございまして ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
こうして戦うこと無く朝鮮三国を手に入れると、
それから
そして、朝貢国となった新羅、百済、高句麗の朝鮮三国を守るためにソコツツノオ、ナカツツノオ、ウハツツノオの三神を住吉神社(福岡県博多)に祀った。
オシクマとの皇位争い
一方大和では
『だって皇后が神がかりしたとか、めっちゃ怪しいじゃんか。あの人ちょっと頭おかしいし。本当は父上のこと、あの人が殺したんじゃないの??』
2人の意思は堅かった。そこでカゴサカとオシクマは
それでも弟のオシクマは自分の軍が負けるとは思えなかった。そこで、軍を率いて難波に向かった。
難波に着くと、何隻ものもの船が連なり、こちらに向かってきた。しかし兵の数は負けていない。それに一隻、黒い帆を上げた喪船が混ざっているではないか。
情報によると、
これなら勝てるとオシクマは確信した。まずは人が少ない喪船から攻め、占領したら次々に他の船を襲い皇后を討つ算段だ。
開戦するとオシクマはすぐに、その喪船を目掛けて攻めた。しかし、喪船からはゾロゾロと兵が湧き出し、返り討ちに遭ってしまう。
まぁ、そりゃあ、罠ですからね。うまく掛かってくれたわけだ。
出鼻をくじかれたオシクマだったが、両軍は激しい攻防戦を繰り広げた。そして、オシクマが軍の優勢を感じたその時。遠くから叫び声が聞こえた。
「皇后を討ち取ったぞーー!!!我々の勝利だーーーー!!!!!」
「皇后が亡くなられた。これ以上の戦いに意味はない!武器を収めろーーー!!!」
この朗報が届くと、オシクマ軍は次々に歓声をあげ、武器を収めた。すると ・ ・ ・ ・ ・ ・
「今ですわっ!!」
この声を合図に、オシクマ軍の上から一斉に矢の嵐が降り注いだ。
まぁ、これも、罠ですからね。すげー卑怯だけど。
この攻撃でオシクマ軍は壊滅し、彼は命からがら琵琶湖まで逃げた。そして『このまま敵に殺されるよりは。』と思い、湖に身を投げた。
こうして
応神の禊
戦いが落ち着くと、作戦とは言え喪船に乗せられ、死人扱いをされてしまった
近江までは、
目的地に着くと早速、穢れを祓うための
余談だが、この禊の文化が日本人を風呂好きにしたと言われている。
そして帰り道。
翌日、
「わぁ!神様がさくさんの御食(ミケ)をくださったんですね!
「これからは貴方を敬って『ミケツカミくん』って呼びますね!」
こうしてミケツカミは氣比神宮(福井県敦賀市)に祀られ、それ以来この地域からは、朝廷に塩や魚が届けられるようになった。
スクナビコナの美酒
それから数日後、2人が大和に帰ると、
「応神っ!!よく戻ったわねっ!!わらわが褒めて差し上げますわっ!!」
「母上~〜!!ボク、ちゃんとミソギできましたよっ!!」
「あらぁ~、さすが愛しの仲哀の御子ですわっ!ささっ!ご褒美ですわ!!こちらをお飲みなさいっっ!!!」
「神功様!まさかそれは ・ ・ ・ 」
「御酒ですわっ!!しかも、この御酒はわらわが醸したものではありませんのっ!常世の国で石神となったスクナビコナが祝い踊り狂って醸した酒ですのよっっ!!さぁっ!全部飲みほしなさいっっっっ!!!!」
まずいっっ!!このまま日本酒を応神にガブ飲みさせる気だっ!!
「この御酒を作った方は、鼓を臼のように立ててその周りを歌いながら踊りながら醸したのでしょう!この御酒はなんとも言えず大変味が良くて楽しい!!さあさあ!!!」
『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ おぉ!これは確かに美酒っっ!!!』