天皇記『雄略天皇と女』
大悪天皇
皇位継承の資格をもつ親族をことごとく殺したオオハツセは、やがて
そして彼は宣言通り、なぁなぁになっていた豪族と天皇との上下関係を力によってハッキリさせた。今までも政略結婚はあったものの、ここまで女を戦略的に使った天皇は
まずは、最初にもらうはずだったクサカの妹、ワカクサを手に入れた。彼女は仁徳天皇の娘だ。この国で一番高い位の女性を皇后に置いたのだ。
続いてカラ姫。彼女はマヨワを匿ったツブラの娘だ。彼女の実家の葛城は仁徳天皇の皇后のイワノと同じところ。つまり、大和の要塞の要で、朝鮮貿易の交渉も得意としている豪族だ。
そして、軍事に特化した大臣で人事を固め、吉備、播磨、伊勢と、次々に反抗的な豪族を攻め落とした。また、吉備からは人質代わりに妻をもらった。他に、有力な豪族としては和邇があったが、そこは攻めずに妻をもらうことで配下に置いた。彼は宣言通り、平和ボケしていた日本を軍事力でまとめ上げたのだ。
さらに国内だけでは収まらず、高句麗にも攻め込み勝利した。勢いに乗った雄略軍は新羅にも攻め入ったのだが、そこでやっと敗北を味わうことになる。初めて大きな挫折を味わった
・ ・ ・ ・ ・ ・ と、やっと古事記も歴史の教科書っぽくなってきた ・ ・ ・ なんて、言いたいところだけれど、残念ながらそうはならない。
というのも、この大悪天皇 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ものすんごいアホの子だった。
まじめな話しはココまでにして、次は彼の残した大量の『アホの子伝説』に進む。
ワカクサへの求婚
まずは時を遡って、
ゴタゴタと血なまぐさい話しが続いていたこともあり、
数人の供と一緒に、彼女の実家に向かって生駒山を登っていると、
「 ・ ・ ・ 何あれ?オレ様の皇居パクってんの??ムカつくんだけど。焼きに行こうぜ。」
と、
「もっっ!!申し訳ございません!!!身分に合わないこんな家を建ててしまい ・ ・ ・ 本当に申し訳ありませんてしたっっっ!!!是非お詫びをさせてください ・ ・ ・ 倉の宝を全てお持ちしますのでっっっ!!!」
と、ヘコヘコ頭を下げて来た。だが、
そんな張りつめた空気の中、門から シャランシャラン と鈴を鳴らしながら、赤い首輪のをつけた真っ白な犬が出て来た。こっちを見ながら、めっちゃ笑顔で尻尾を振っている。
その犬と目が合った
『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ お父さんっ!?』
胸がドキドキする。なんだ、この感情は。コイツから目が離せない ・ ・ ・ ・ ・ ・
犬を見たまま硬直している
「あ・・・・あの、よろしければ、お詫びとしてこちらの犬を差し上げましょうか?」
「えっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ いいのか?」
こうして白い犬を譲ってもらった
そして、上機嫌で犬のリードを引きながら、ワカクサの家へ向かった。
「これ、結納代わりにワカクサにやるんだっ。いいだろ??」 と、家臣に自慢しながらルンルンで山道を進み、あっという間に目的地についた。
さっそく侍女に「これ、やるよ。結納の犬だ。ワカクサに皇后として皇居に来るように言ってくれ。」と伝えた。
そして、彼の申し出を聞いたワカクサはとっても戸惑った。
『い ・ ・ ・ 犬??結納品がっっ!?』
しかし、こっそり様子を覗くと彼は本気っぽかった。すげー愛おしそうに犬を撫でている。『ていうか、お兄ちゃんが殺されて、甥っ子まで殺しておいて、何でこの人平気な顔でここに来れるんだろう・・・』ワカクサはどうしても、今すぐ彼について行く気にはなれなかった。そこで、
「わざわざ天皇自らお迎えいただいたことは
と伝えた。
「あーぁ。今日は樫の気が鬱蒼としている中で根元に生えた竹みたいに、横たわってヤれると思ってたのになぁ。でもいいや。近いうちに抱いてやるよ。だってアンタはもうオレ様の嫁なんだから。」
それから数日後、約束通りワカクサは皇后として皇居に移った。
しかしその後も、
エンペラータイム
ある日、
ちなみに、現代で同じことをすると、強姦罪で捕まるので、絶対に真似しないように。
「オレ様が弾いてやるから、アンタ踊れよ。」
と、即興の無茶ブリをした。
しかし、彼女は曲に合わせて見事に踊ってみせた。
「やべっ!ちょっ!!今の見た???トンボまでオレ様に奉仕しやがるっ!!!」
と、トンボを誉めた歌を、なぜか彼女にプレゼントし、上機嫌で皇居に帰って行った。
超自由。絶対B型だ。
さらに
ある日、
「だって、アイツのことは一晩しか抱いて無いんだぜ??おかしいだろ。絶対ウソだって。」
「しかし、彼女は一回ではないと申しておりますが・・・」
家臣が恐る恐る申し立てる。すると
「そりゃ一回じゃねぇよ。オレ様は、一晩っつったんだ。」
「え、一回じゃないって ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ じゃあ、何回されたんですか?」
「あぁ?? ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 七回だ。」
「はぁっ!?七回っ!?マジっすか!?一晩でっっ!?陛下、賢者タイムとか無いんですか??」
「ねぇよ。そんなもん。常にエンペラータイムだよ。オレ、賢者よりステータス高けぇから。」
「マジか ・ ・ ・ ちょ、それ、エンペラータイムの秘訣が詳しく聞きた・・じゃなくって!!そしたらあの子、絶対、陛下のお子さんですって ・ ・ ・ 認めてあげましょうよ??」
と家臣に必死に説得され、
和邇のオドヒメ
次は和邇の娘のオドヒメだ。和邇の豪族も最初は反抗的だったが、吉備、播磨、伊勢と次々と豪族が落とされて行く姿を見て、おとなしくなっていた。しかも、和邇のオドヒメはとても可愛いという噂だ。それなら、ソイツを嫁にくれるなら許してやろうかな ・ ・ ・ なんて考えながら、和邇に向かった。もちろんアポ無しだ。
そして和邇に近づいて来たところで、偶然オドヒメを見つけた。オドヒメは
「 ・ ・ ・ やべー、今の見た??超可愛いんですけど。オレのこと見て恥ずかしがって逃げちまったよ。あーぁ。鋤が500本くらいあればなぁ。あの丘の草全部ムシって彼女を見つけ出すのに。」
そんな
そして、その年も皇居で
彼の席は見事に紅葉したケヤキの下で、そこに少女が酒を運んで来た。しかし、少女に渡された酒にはケヤキの葉が浮かんでいる。どうやら少女は葉が落ちたことに気付かずに渡してしまったようだ。
しかし、少女は涼しい顔をして
「いいえ、
そこから盃に落ちた葉は、浮き漂って、イザナギとイザナミが作った
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ へぇ。面白い。気に入った。」
彼女の物言いに感心した
その後、オドヒメも新嘗祭に参加し、酒を献上しに来た。やっと嫁ぐ決心が着いたようだ。しかし、まだ緊張しているようで、大きなとっくりを持ったか細い腕がプルプルしている。
「ちょっ・・アンタ、そんな細い腕で大丈夫か??ちゃんと持てよ?落とすなよ???落としたら殺すからな?まじ、気をつけろよっ???」
「あのっ、私っ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 陛下が朝には肘をついて、夕方には寄りかかってる、あの、よく、殿様とかが使ってる、あの、肘掛けみたいなやつに私はなりたくってっっ!!それでっっ、私っ、嫁ぎに参りましたっっ!!!」
「へっ??あっ、そっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
そして、オドヒメはふるふるしながら
こうして
そして、道端で女子を襲っちゃうような若気の至り生活も落ち着き、その後、新羅に「おととい来やがれ」と滅多打ちにされ大人しくなり、数十年後にはすっかり丸くなり、立派な天皇になっていた。
アカイコとの約束
そんなある日、思わぬ来客があった。見知らぬ老婆が貢ぎ物を大量に積んで皇居までやって来たのだ。「ぜひとも雄略陛下にお目通りさせてください。会えば分かるはずです。」と訴えて来たが、門番もこんな怪しい老婆をみすみす通すわけにもいかない。
しかし、断っても断ってもなかなか帰ってもらえずに困りきっていると、たまたま
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 騒がしいな。何かあったのか?」
「あ、陛下 ・ ・ ・ すみません、こちらの老婆がどうしても陛下に会いたいと ・ ・ ・ ・ お知り合いでしたか?」
「え ・ ・ ・ ・ ・ ・ いや、わかんねーな。ばあさん、アンタ、どこの人だ?」
「あぁ!!雄略様っ!!お会いできて良かった ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「 ・ ・ ・ えっ、何っっ??オレら会ったことあったっけ??」
「はい・ ・ ・ ・ 私と結婚の約束を ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『ブフッッっっっ!!!!!』
「ちょっ ・ ・ ・ はぁ??結婚??? ・ ・ ・ そりゃ悪りぃなばあさん、確かにオレ、若いときは女好きで有名だったかもしんないけど、さすがにもう落ち着いたし ・ ・ ・ ・ あん時も、ばあさんに手を出す程じゃなかったぜ?アンタ、今、いくつだよ??」
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 数年前に卒寿を迎えました。」
「んーそうかぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ もうちょっと早く出会ってれば良かったんだけどなぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
周りの人はまだクスクス笑っている。
「 ・ ・ ・ ・ ・ っっ雄略様 ・ ・ ・ やはりお忘れなんですね ・ ・ ・ ・ ・ ・ アカイコは雄略様が『必ず迎えにくるからどこにも嫁ぐな。』とおっしゃったのを信じてずっと待っていたのに ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
『ん?アカイコ?』彼女の名前を聞いた
『あれ、どうしよう。アカイコって名前、めっちゃ聞いたことある ・ ・ ・ 。』
「あ ・ ・ ・ あれ、えっと ・ ・ ・ アカイコさん ・ ・ ・ ・ ・ それって ・ ・ ・ ・ ・ ・ いつ頃の話しだ?」
「はい、ちょうど80年前になります。」
「ぅ"っっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ぇ ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ あの、まさか ・ ・ ・ ・ ・ あの、三輪川沿いで ・ ・ ・ ・ ・ ・ 水浴びしてた ・ ・ ・ 首筋がエロかった子 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「あぁ!!思い出してくださったのですかっ??」
『思い出したぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!!』
取り返しのつかないことをしてしまったと、
『どうしよう ・ ・ ・ ・ ・ ・ 思い切って抱くか?』
『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 無理だっっっ!!!!勃たねぇっっっっっ!!!!!』
彼は頭を抱えてうずくまった。そして、「あの時に抱いといてやれば ・ ・ ・ ・ ・ ・ オレが老けちまったもんだから ・ ・ ・ ・ ・ ちょ ・ ・ ・ 元気なくて ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」と、
そして、しばらくの沈黙。『 ・ ・ ・ うん。本当ごめん。』
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ あの、アカイコさん ・ ・ ・ ・ 倉に案内するよ。好きなもん全部持って行ってくれ。80年分の詫びだ。」
と、倉に案内し、彼女が欲しいという物は全てあげた。アカイコが宝の山に夢中になって喜んでくれたことがせめてもの救いだった。
そしてアカイコが倉を物色している間に
こうして、アカイコが「勇気を出して来て良かったです。ありがとうございました。」と何度も頭を下げ、帰路につき、そのイケメンの家来も彼女の後を追おうと後ろに振り向こうとしたその瞬間。
「オィ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 今晩、アカイコを抱いてやれ。イカすまで帰ってくるな。逆らったら殺す。」
その家来は恐怖に引き攣った顔で彼女の後を追った。
こうして、