天皇記『仁徳天皇』
聖帝
皇位を譲り合っていた弟のウジノワキを病気で亡くし、オオサザキは
どうしても女好き情報にばかり目が行ってしまうが、彼はとてもやり手の天皇だった。
・ ・ ・ いや、やり手ってそういう意味じゃなくて。本当にちゃんとできる人だった。
例えば、国ならではの大規模事業を初めて行った。土木工事によって河川の反乱を抑えたり、用水路を作って田地開拓を行い、作物の生産性を飛躍的に向上させた。 また、外交面では、百済に遣いを送って地方行政を定めたりと、想像以上に真面目でちゃんとした功績が多く残っている。
実のところ、
いずれにしろ弟の期待を裏切るような政治はしたくなかった。
そんな
宮殿以外の民家からはどこからも煙が立ち上っていなかったのだ。
『本日より3年間、税の徴収と労役を取り止めることとする。』
その日の食事もままならない国民から税なんてもらえないと考えた
仕方なく
久しぶりに山を登り、町を見渡す。やっぱりこの国は美しい。やがて夕刻になると次々と民家から煙が上がるのが見えた。
このことから、
クロヒメとの恋
それからバンバン天皇として仕事をこなしていくのだが ・ ・ ・ 優しくって、仕事ができて、国民に人気があって、かっこ良くて、モテて ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ なんてリア充の極みのような彼でも、人生そんなに全てが上手くいく訳ではなかった。『天性の女好き』の彼には、『天性のヤキモチ焼き』の皇后がいたのだ。
彼女の名前は『イワノヒメ』。あの、執事みたいな大臣、武内の孫娘だ。イワノは、男性のオタク層から絶対的な支持を得そうなショタ系のペチャパイツンツン娘で、
正直、結婚前から不安はあった。
しかし、イワノの実家の葛城は大和にとって重要な要塞拠点にあり、しかも彼女の父は百済外交の責任者だ。今後の大和の発展に葛城の力が重要だと考えた
・ ・ ・ こういうと、国のために好きでもない嫌な奴と結婚したみたいだが、ヤキモチさえ無ければイワノはかわいらしい女性で、
ていうか、この時代の男性に「浮気が悪いこと」って感覚がそもそも無い。
たぶん
1人目は、クロヒメという可愛らしい姫だ。
ある日、吉備の国(岡山県)に可愛い子がいると聞き、
彼女がいないことに気付いた
そしてクロヒメが乗った小舟が連なっているの見ながらオーバーリアクションで膝を付き頭を抱えると「んがあぁぁ~~~」と声を上げて歌を詠った。 ・ ・ ・ いや、叫んだ。
「小舟がめっちゃ連なっとる ・ ・ ・ どこやっ!?どこにおるんやオレの嫁っ!!悲しすぎるっっっ!!!こんなに愛しく想ぉとる人が帰ってまうなんてっっっっ!!!!うおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
そんな彼の悲痛な叫びを聞いたイワノはさらに怒り、難波に遣いを出して彼女の船を追いかけると、クロヒメを船から引き摺り下ろし、吉備まで歩かせた。超怖えぇ。
クロヒメを失い、ぶっちゃけ仕事どころじゃなくなってしまった
「オレ、淡路島が見たい。」
と突然、訳の分からない言い訳をついて旅に出た。
こうして淡路島まで船を出し、吉備に続く海を見ると、「難波を越えて海を眺めると、いろんな島が見えるんやなぁ♪♪」なんて、ご機嫌な歌を詠った。 もちろん、彼は淡路島を見に来た訳ではない。一休みするとさらに船を進めクロヒメのいる吉備に向かった。
突然、
彼はしばらく部屋でそわそわしていたが、居ても立っても居られず
「オレ、青菜が摘みたい。」
と、バレバレの言い訳をかますと、侍女にクロヒメの居場所を聞き出し、後を追った。そして彼女を見つけ、
「 ・ ・ ・ オレ、こーいうのやったことないんやけど 、畑の青菜摘みも、あんたとやったら楽しいもんなんやな。」
と、完全に口説きモードに入った。そして家族もいる中でイチャイチャイチャイチャ2人の世界に浸り夕食を取ると、待ちに待ったメインイベントの夜を楽しんだ。
しかし「淡路島が見たい」なんてわけのわからない言い訳をついて出てきてしまった手前、長居をすることはできない。別れを惜しみながらも
「風が吹いて雲が散り散りに離れて行くように、あなたと私が離れ離れになったとしても、私はあなたのことを忘れません。」
なんて、切ない歌を詠った。そして
「大和の国へいそいそと向かって行くのは誰の夫なんでしょうね。人目を盗んで密かに心を通わせているのは誰の夫なのかしら。」
と、皇后のイワノにささやかなお返しの歌を詠った。しかし、クロヒメに関するその後の記録は残っていない。
続いて残りの2人もお送りしたいところだけれど、とっても長くなってしまうので、小分けでお届けします。