天皇記『オオクニヌシの呪い』
オオクニヌシの呪い
ヒバスヒメとの残念な初夜以来、
「ホムチワケ~♥ 今日もお前は可愛いなぁ♥♥♥」
ホムチワケの成長と共に、
『へらっ』っとホムチワケもユルイ笑顔を返す。
「今日もヒゲが伸びたんじゃないかぁ?ついに乳首まで到達したなっ!!」
『にへらっ』っとホムチワケは恥ずかしそうに笑顔を向けた。
そう、
ホムチワケは、ヒゲがもしゃもしゃになる大人になっても、言葉を発することが無かったのだ。
もちろん
ホムチワケがもっと幼かった頃の話だ。
そんなある日。
「 ・ ・ ・ やぁ、遅かったね。君がてんてるちゃんの子孫か。僕はオオクニヌシだ。」
「わっ、驚いた!てんてるちゃんって??アマテラスのこと??てか、神様っ??マジでっ??やばい!!ツッコミどころが満載すぎて対応しきれないっっ!!!しかもオオクニヌシってまさか
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうだよ。君がなかなか来ないからこっちから出向いちゃったじゃないか。全く。感謝してよね?」
「うおぉぉ~!オオクニヌシさまぁ~~!!オレ、超、憧れだったんすけどぉ!!ファンなんです!うわぁ~!ホンモノに会えるなんて!!天皇やっててマジ良かったぁ~!!」
オオクニヌシは彼の予想外の反応に驚いた様子だ。
「えっ?うそ?そうなの??僕、絶対、男には嫌われるタイプだと思ってたけど ・ ・ ・ 」
「え~!だって、伝説の種馬じゃないですかっ!!!男に生まれたからには誰しも一度は夢見ますって!!」
「そぉ??そぉかな??いやぁ、別に男に褒められたところで僕には何のメリットも無いけど、そう言われると悪い気はしないな ・ ・ ・ ・ ・ ・ ありがと。
でも、そっか ・ ・ ・ それならなんか悪いことしちゃったかな ・ ・ ・ 。」
オオクニヌシは、申し訳なさそうに頭を掻いた。
「え?悪いことって??」
「あぁ ・ ・ ・ 君の溺愛してる息子のことだよ。実は、僕の呪いなんだ。」
「そんな ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうだったんですか?なんか、オレ、マズイことやっちゃいました??」
「いや、君ってゆーか、天つ神ってゆーか、てんてるちゃん??あの子さぁ ・ ・ ・ 人に国、譲らせておいて感謝の気持ちとか無いわけ??」
「えっ ・ ・ ・ あぁ~〜いやぁ~ ・ ・ ・ 彼女に関しては ・ ・ ・ どうなんだろう ・ ・ ・ ・ ・ ・ えっとぉ ・ ・ スミマセン。。。ウチの娘が何か失礼を??」
「うぅん、失礼っていうかさ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 君の代までちゃんと、神殿の約束の話しは伝わってるの?」
神殿の約束と言えば、オオクニヌシが国譲りの際に
「もちろん!
「うん ・ ・ ・ そりゃそうなんだけどさ。それ、何千年前の話だと思ってる?とっくの昔に朽ち果てるんだけど。」
「へ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうなんすか??」
「いやいや、君が後継者なんだからさ、君が管理して無いなら誰もやってないってことでしょ??」
「そ ・ ・ ・ そっか。」
「だってあれ、木造だからね??もう、完全に自然に返っちゃってるよ。一応、地元の有志でちっこいお社はあるけどさぁ。地方の力でできることなんて、限りがあるからね??そこは税金集めてる国が責任を持ってさぁ ・ ・ ・ ちゃんと仕事しようよ??」
「ゴメンナサイ ・ ・ ・ 全然気にしてませんでした ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「まぁ、君に悪気が無かった事は分かったからさ。とりあえず君の息子にうちの神殿参拝させてよ。そしたら喋れるようにしてあげるから。」
「おぉー!よかった!!ありがとうございますっ!!!」
「だから喋れるようになったら、ちゃんとした神殿建ててよね?それと、本当に感謝の気持ちがあるんなら、60年に一回くらいでいいから建て替えてもらえる??別に僕は、20年に一回とかいうワガママ言わないからさぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「了解っす!どんな女の子を連れ込んでも恥ずかしくないように、ちょ~デカくてカッコイイ神殿作ります!!」
「あ、そぉ? ・ ・ ・ なら、期待して待ってるよ。バブル臭漂う高層マンションの最上階のイメージでよろしく。」
「うっす!任してくださいっ!!」
「くすくすっ、なんだ。こんなことなら、もっと早く顔出せばよかったな。
・ ・ ・ 君とお話しできてよかった。それじゃ、要件だけで申し訳ないけど、僕はこれで失礼するよ。」
オオクニヌシはにっこり笑ってヒラヒラ手を振ると、すっと消えてしまった。
部屋の外はとっくに朝になっており、
ホムチワケの初恋
ここから少しの間、主人公はホムチワケに移る。
ホムチワケは、父親に言われたとおり
お供としてホムチワケに付き添った数人は、参拝の後、彼が喋り出すのを今か今かとソワソワして待ったが、特に変わった様子は無い。
まぁ、そんなすぐに話せるものでもないのだろうととりあえず、小高い丘の上でランチを取った。すると丘の下の方に不自然な形をした山が見えた。
「なぁ ・ ・ ・ 何かあの山、おかしくないか?オオクニヌシを祀ってる祭場かな??」
実際、その山は偽物で、ホムチワケを迎えようと
「 ・ ・ ・ えっ?うそ?俺、置いてきぼりっ??」
一人残されたホムチワケは、とりあえずは
そして、言葉を手に入れて急に色気付いたのか、その日のうちに
トントン拍子で初夜を迎え、まじ、言葉の力ぱねぇ。と、彼はオオクニヌシに心から感謝をした。
『まさかこんなすぐに、こんな可愛い子と結婚できるなんてなぁ~。』
ホムチワケは幸せそうに、隣で寝ているヒナガヒメの頭を撫でた。 ・ ・ ・ しかし、何か様子がおかしい。撫でた頭がツルツルしてなんだか冷たい。不思議に思い、ホムチワケは彼女の顔を覗き込んだ。
するとそこには、ヒナガヒメではなく巨大な蛇が横たわっていた。
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ うわぁっ!!!」
ホムチワケの驚いた声で、その蛇はビクっと起きた。
「ホムチワケ様っ!!ご ・ ・ ・ ごめんなさい、私 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
その蛇からヒナガヒメの声が流れてくる。なんと、彼女の正体は蛇神だったのだ。巨大な蛇はソロソロとホムチワケにに近づいてきた。
「うわあぁぁぁぁーーー!!!こっち来んなああぁぁぁぁ!!!」
ホムチワケは恐ろしくなって裸足のままそこから逃げ出した。
しかし、彼女も「待ってください!」と悲しい声を上げながら必死に追いかけてくる。ホムチワケは、海まで走ると手漕ぎ船に乗り込み全力で漕いだ。
この暗闇の中を船で逃げれば追って来れないだろうと気を抜いたのも束の間。ヒナガヒメも手漕ぎ船に乗り、魔法で灯りを照らしながら付いてきた。さすが神。何でもできる。
だが、追われる身としては余計に怖い。
ホムチワケは半泣きで船を漕ぎまくり何とか陸地に着くと、その重い船を担いで山を
ホムチワケは、頑張って担いできた船を谷の向こう側に渡し、橋のようにして、その上を全力疾走した。
「ホムチワケ様っ!!行かないでくださいっ!!」
ヒナガヒメの声だ。すぐ後ろまで来ている。ホムチワケが谷を渡り切り、後ろを振り返ると彼女と目が合った。
人の姿だとやっぱ可愛い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
けど、やっぱ蛇は無理っっっ!!!!!
「 ・ ・ ・ それで、俺、谷に架けた船を『ガンッッ!!』って蹴り上げて谷底に落としたんだ。あとはもう振り返らずにひたすら大和に向かって走って帰ってきたから ・ ・ ・ もうフラフラで。はぁ ・ ・ ・ もぉ、すんげぇ怖かった ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「うんうん、そっかそっか、それはよかったね♥」
「はぁ??親父何言ってだよ。マジすげー怖かったんだから ・ ・ ・ ・ ・ っっ!?」
「本当、よかった ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
言葉を手に入れ、急に大人びたホムチワケは、
「 ・ ・ ・ ったく、止めてくださいよ。もう、ガキじゃないんだから。」
と言って恥ずかしそうに笑った。
こうして、また主人公は
オオクニヌシの希望通り、バブル臭漂う高層マンションのイメージで建設され、太古にも関わらず、96m(30階建てのマンションくらい。)もあったなんて記述が残っている。
しかしその後、何度も
そんな長い時間の中で日本人は木造の限界を学び、最終的には現在の出雲大社のフォルムで収まっている。
そして、出雲大社が出てきたとなれば、そろそろ伊勢神宮にも登場してもらいたいところだ。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ が、しかし。
実はまだ
ついに妹はリタイヤし、現在は
『今回もダメでした。マジ、あのワガママ娘どうにかしてください。』といった内容の伝言が届くたびに、
最終的には現在の伊勢神宮が
その他にも、
1.相撲の起源
大和に"
天つ神のタケミカヅチと国つ神のタケミナカタの勝負も相撲の
と言っても今の相撲とは違い、足技がメインで、ムエタイか何かですか??って程、激しい戦いだったらしい。この久しぶりの
そんな戦いが今も続けられていたら、N●Kでは絶対に流せない。負けた
ちなみに、実はこの
あの後、一体どうなったかと思ったが、
2.埴輪の起源
「 ・ ・ ・ もうやだ。オレ、こんな長い寿命いらない。」
「えっ!?陛下っ!?ちょっと、何言ってるんですか!!あんた、この前、死にたくないとか言って、常世の国までタジマモリに『伝説の不死の果実』を取りに行かせてたじゃないですか!!」
「あぅ ・ ・ ・ だって、ヒバスがこんなに早く死んじゃうなんて思わなかったんだもん。」
「タジマモリの奴、今頃、すげー頑張ってるはずですよ??常世の国なんて何処にあるかも分からなわからないっていうのに ・ ・ ・ マジ、そーいうこと言わないでくださいよ。」
「うぅー。だってぇー ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「「ぎゃぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」」
「待ったぁぁ!!!ちょっと待ったぁ!!ストップ!ストップ!!!!!」
「へ ・ ・ ・ 陛下っっ!?どうされたんですかっ!?」
「どうされたじゃないでしょ!?君、何やってんだよ!?可哀想じゃん!!みんなめっちゃ怖がってんじゃん!!!!」
「え、いや、でも、陛下、死者に生贄を捧げる殉職は伝統じゃないですか ・ ・ ・ ・ 先代の方々の時だってみんな ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「いやいやいや!あんな恐怖に引きつった顔の人達に殉職されたら落ち着いて成仏できないよ!!ヒバスがビビるよ!!!!あの子、クールに見えて、すげー優しい子なんだからっっっ!!!!!」
「え ・ ・ ・ でもしかし、皇后様にお供を付けないわけにも ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「いや、でも ・ ・ ・ ・ ・ ・ そっか ・ ・ ・ うぅん ・ ・ ・ でも ・ ・ そりゃそうだけど ・ ・ ・ ・ ・ 」
「陛下 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 代わりに最近、流行ってる埴輪なんて、どうです??」
「ソレ、採用っっっ!!!」
こうして
このヒバスヒメのお墓が、殉職者無しで、埴輪だけで飾った初めての古墳だと伝えられている。
3.不老不死の果実
先ほど宿禰が言っていた通り、数年前のある日、
そこで、朝廷に遣えていたタジマモリが陛下のためならと言って、常世の国に成っているという伝説の不老不死の果実、
しかしやっとの思いで常世の国を見つけ、伝説の果実を持って10年ぶりに大和に帰って来たのに、
悲しんだタジマモリは、持ち帰った実の半分を
フルーツをお菓子にしていた時代だったので、タジマモリは死後、お菓子の神様として祀られることになる。
ちなみにこのタジマモリ、新羅の王子様の曾孫だ。何話か後で、孫娘の神功皇后が大活躍する話しと、その新羅の王子様が日本に来た時のエピソードが出てくる。
そして