天皇記『欠史八代』
神武天皇の妻探し
大和を平定し、平和な日々を手にしたイワレビコ改め
この時、
ちなみに、「天皇」という言葉を作ったのは聖徳太子だと言われていて、彼は今から約1400年前の人なので、さらにもっと前の当時はまだ
さてさて。話は戻って
そしてその日のうちに、ハイテンションで宮殿に帰って来た。
「旦那ぁ~!!神の子見つけましたぁ~!!」
「は??神の子ってそんなにアッサリ見つかるもんなのか??」
「それが、聞いてくださいよ~!なかなか面白い話しでしてねっ!!」
オオクメによると、その娘の名前はヒメタタライスケヨリヒメというらしい。彼女の父がオオモノヌシという神で、母はセヤダタラヒメ。
オオモノヌシと言えば、以前、
オオモノヌシはセヤダタラヒメを見かけると、その美しさに一目で恋をしてしまったのだという。しかし、自分は神、相手は人間。気軽にナンパなんかできるわけもない。彼は考えに考え抜いた挙句、ある作戦を思いついたそうだ。
その作戦決行当日。
まずオオモノヌシはセヤダタラヒメ姫がよく使っている、『川の上に建てられたトイレ』から少し上流に上がり、川の中に入ると、人に気付かれないよう『朱塗りの矢』に化けて待機した。
しばらくすると、彼女がやって来た。少しそわそわして周りを気にしている。きっと『大』の方だ。この様子を見たオオモノヌシはこれぞチャンスとスタンバイした。
彼女がトイレに入って少し経つと『今だっ!!』と勢い良く川の流れに乗り、オオモノヌシはトイレの下に入り込んだ。そしてちょうど彼女の真下まで来ると、その場で跳ね上がり ・ ・ ・ ・ ・ ・
彼女の陰部を思いっ切り突き刺さしたのだ。
「ぎゃああああぁぁぁっっっっ!!!!!」
「うわっ!!びびった。どうしたんすか旦那っ??」
「馬鹿っっっ!!!!どうしたじゃねーよ!!どう考えたって頭オカシイだろ!!!どんな思考回路でそんな作戦思いついたんだよっ!!??」
「ですよねー。でも、それでその後どうなったと思います??」
「そんなん、作戦失敗に決まってるだろ!即行、ま●こに刺さった矢ァ抜いて折り捨てるわっ!!」
「いやいやそれがね、それがそのセヤダタラヒメって姫様も抜けてるところがあってさ、『まぁ、綺麗な矢。』とか言って自分の部屋に持ち帰ったんだと。」
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ あり得ない ・ ・ ・ あり得ない!!!!」
「その夜、その矢がイケメンに変わって、オオモノヌシは無事に想いをと遂げることができたそうです。そんで、できた娘ってのがさっき言ってたイスケヨリヒメってわけ。」
「イケなら何やってもいいのかよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ この世は不公平だ。」
「いや、んなこと旦那に言われても説得力ねーっすよ。」
「 ・ ・ ・ じゃあ、その娘っていうのが?」
「そっ!神の子ってわけ。しかも、幼少期はホトタタライスキヒメって名前だったらしいです。」
「ホトって・・・モロ「ま●こ」って意味じゃねーか。超可哀想。親考えろよ ・ ・ ・ 絶対イジメられて育ったよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
「幼少期のあだ名、ホトちゃんだって。斬新なキラキラネームっすよね。」
「ん??ホトちゃん? ・ ・ ・ なんか、そう言われると男性器っぽいような ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「旦那っ!!それ以上深く考えるのはNGっす!!!」
イスケヨリヒメ
そんな話しを聞いた数日後、
「なぁなぁ、あれ見ろよオオクメ。あの子たち、超可愛いんですけど。あーゆーのって絶対自分ら可愛いのわかってやってるよな。」
「っっ!!ちょっ!!旦那っ!!あれっスよあれ!!この前言ってた神の子!!ホトちゃん!!」
「えっ??嘘マジ??どれっ??」
「えっと、ほら、そこの~ ・ ・ ・ ・ ・ ・ っあ。ちなみに旦那はどの子がタイプなんすか?」
オオクメはニタニタしながら
「へっ?えっ??それ、ここで聞いちゃう??だって、あの7人の中にいるんだろ??当てなきゃヤバくない??大丈夫だって。みんな可愛いって。決めらんないって。」
「またまたぁ~!いくら、神の子だって、タイプじゃない子もらってもしょうがなく無いっすか?」
「えぇーーー ・ ・ ・ そりゃそうだけどさぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「でっ?でっっ??」
「 ・ ・ ・ えぇ?そうだなぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ んー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ えっと、あの ・ ・ ・ あれ。あの子。」
「は?どれ??」
「ほら、あの、一番年上っぽい ・ ・ ・ あっ、今、一番前に出た子っ!!」
「えっっあの子っすか??旦那 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ビンゴっす。」
「うっそ??まじでっ??え?これ、運命じゃね???」
「やりましたねっ!旦那っ!!」
まだ、イスケヨリヒメに交際OKをもらったワケでもないのに2人はキャッキャと盛り上がった。
「うわぁー!テンション上がるわー!! ・ ・ ・ なぁ、なぁ、オオクメぇ ・ ・ ・ ちょっと、声掛けてきてくれよ。」
「えぇっ??俺っすか??嫌ですよ。旦那のが女子ウケいいじゃないっすか。自分で行ってくださいよ ・ ・ ・ 」
「えー ・ ・ ・ だって、ずっとオレ戦闘続きだったし ・ ・ ・ 女の子とか慣れてないんだって。日向の奥さんだって兄貴が連れてきたようなもんだし ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「んなこと言ったら、俺、その戦闘集団の長っすよ??目つき悪いし、墨入れちゃったし ・ ・ ・ よく合コンで、『平気で人殺せそうだよね』とか言われるし。実際、殺れるし。絶対逃げられますって。」
「大丈夫だって!オレ、お前、優しいの知ってるからっ!!失敗しても怒らないから!!お前のそーいう面倒見のイイとこ好きだぜ??」
「えぇ~~嫌だよ ・ ・ ・ 」
「な??いいだろ?お願いっ!!お願いお願いお願いっ!!!!!」
「くそ ・ ・ ・ ゲンキンだな ・ ・ ・ マジ、断られても文句言わないでくださいよ??」
オオクメは、恨めしい顔でちょくちょく見返しながら、ホトちゃんこと、イスケヨリ姫の方へ歩いて行く。
オオクメが近づくと、姫達が騒ついた。ほら、だから言ったじゃん。ぜってー怖がってるって ・ ・ ・ しかし、戦場を共に
「あっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ あのっ!!」
「「キャッッーーーーーーー!!!!!!」」
姫達は半泣きで慌てふためいた。彼女らの反応を見たオオクメも、半泣きで
くそっ!だから嫌だっつったんだ!!
しかし、他の姫達が騒ぐ中で、1人冷静にしていたイスケヨリヒメが、オオクメに歌を詠んできた。
「 ・ ・ ・ あなたは、あま鳥、セキレイ、千鳥や、ホオジロみたいな目元をしているのね。なんでそうして墨なんか入れて鋭い目をしてるの?」
ホトちゃんっ!! ・ ・ ・ ・ ・ 自分の目つきの悪さをすんげ~オブラートに包んでくれた。この子、めっちゃええ子や!
オオクメも慌てて歌を詠み返す。
「 ・ ・ ・ えぇっと ・ ・ ・ ・ ・ ・ 自分はワガママな主に仕えていてね。どうしても可愛い后が欲しいっつーもんだから目に墨まで入れて必死こいて良い子を探してたら、目つきまでこんなに鋭くなっちまったんだよ。」
イスケヨリヒメは、後ろでそわそわと心配そうに見守っている
・ ・ ・ ・ ・ ・ やった!!
オオクメが「おーい」と、大きく手を振りながら満面の笑顔で戻ってくる。よかった!成功したっぽい!!
「旦那ぁー!!ホトちゃんのアドレスGETしてきましたぁー♪♪今夜も予定空いてるってー!!」
「うぉー!!まじかーー!!ありがとぉ!!お前、最高っ!!超好きっ!!」
「うえぇー??マジっすかぁ??旦那、超キモいんすけど~!!」
「いや、まじまじ!!愛してるってば!!本当グッジョブ!!」
『パチン!』と、
そんな2人の様子を遠くから見ていたイスケヨリヒメは、「ねぇ、見てよあれ。マジ可愛いんですけど。絶対自分たち、可愛いの分かってやってるよね?」と、他の姫達と盛り上がった。
その夜、オオクメは敬礼をして
「陛下!ご武運をっ!!」
「うむ!行って参るっ!!!」
それからしばらくして、イスケヨリヒメが皇后として、宮中に引っ越して来ることになった。彼女が越して来てくれたのが
「あの日、見渡す限り葦の繁った狹井川の川べりの家で、菅を編んだ敷物を敷いて一緒に寝たよなぁ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ が、
「そのままんまじゃないっすかぁ~!!」と、オオクメたちに爆笑されたので、もう二度と恋の歌なんか詠わないと深く心に誓った 。
こうして
そして137才で波乱万丈の人生に幕を下ろす。
欠史八代
イスケヨリヒメの息子達は、なす術なく黙ってしまった。しかし、この息子達に皇位を奪われるんじゃないかと恐れたタギシミミは、彼らを殺す計画を立てていた。
その計画を知ってしまったイスケヨリヒメは慌てた。そりゃ、いくら彼の妻になったとは言え、自分の息子を殺されてしまったら堪っまったもんじゃない。しかし、夫となったタギシミミの元を離れて息子にピンチを伝えに行くこともできなかった。そこで彼女は息子達がタギシミミの元に訪問した時に歌を詠んだ。
「狭井河から雲が立ち上がり、畝火山の木の葉がざわめいているわ。嵐が来ようとしているのね ・ ・ ・ 」
自然の情景を描き、タギシミミの企みを伝えたのだ。オオクメの目の件と言い、この詩と言い、本当にオブラートに包むのがうまい。
イスケヨリヒメのこの才能を知らないタギシミミは、彼女が息子達にピンチを知らせたことに気付かなかった。もちろん、息子達は母のメッセージをすぐに読み取ることができた。そこで次男と三男の2人は、殺される前に手を打たなければ。と、すぐにタギシミミを殺す作戦を立てた。
いよいよ作戦当日。
夜は更け静まり返り、辺りに2人以外の人影はなかった。
この扉の向こうがタギシミミの寝室で、彼は今日1人で寝ているらしい。
次期天皇になる兄に剣を譲り、弟はタギシミミ暗殺のサポートに回ることにした。
兄は剣を抜き構え、弟は扉を開ける準備をして、息を潜めた。
「兄さん、開けるよ?」
「 ・ ・ ・ あっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ あぁ!!」
兄は、力強く剣を握りしめた。
「よし!今だ!!」
パタン!!
弟は寝室の扉を思いっきり開いた。タギシミミは布団の中で動かない。
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
しかし、兄も動かなかった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ パタン。
弟は間に耐え切れず、静かに扉を閉めた。
「ちょ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 兄さん。何やってんだよ。」
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ やばい。俺、無理かも。」
「は?無理かもって ・ ・ ・ 今殺らなきゃ明日にでも僕ら殺されますよ??」
「 ・ ・ ・ でもっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 人なんか殺したこと無いし ・ ・ ・ 」
「兄さん ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ いつ殺るの?」
「今でsy ・ ・ ・ ・ ・ ・ いや!言わすなっ!!絶対無理っ!!無理なもんはムリなんだってば!!!」
兄は思わず大きな声でツッコんだ。すると、ガサッと部屋の中で音がした。
「んん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 誰かいるのか?」
タギシミミの声だ。兄の足がガクガク震える。
「 ・ ・ ・ っ!!起きちまった!!どうしよう!逃げよう!」
「逃げてどうするんだよっ!今殺らなくちゃ!兄さん!早くっ!!」
「むっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 無 ・ ・ ・ ム ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「兄さん!!!」
「 ・ ・ ・ 俺 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ できない ・ ・ ・ 」
「っあぁ!もういいっ!!!僕が殺るっ!!!!」
弟は、兄から剣を奪い取ると、タギシミミの部屋に押し入った。
バタバタと激しく争う音の後に、呻くような
部屋から出て来た弟は返り血で真っ赤になっていた。
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 終わったよ、兄さん。」
「ヒッ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
弟がタギシミミの血がべっとりついた剣を兄に返した。しかし、兄は腰を抜かして動けない。
「なぁ、しっかりしてくれよ。明日から兄さんが天皇なんだからさ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「天皇 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 俺、無理 ・ ・ ・ 」
「はぁっ??」
「俺よりお前の方が向いてる。勇気あるもん。」
「本気で言ってんの??」
「本気だ ・ ・ ・ こんなんで後継いだら、親父に顔向け出来ない。皇位はお前が継いでくれ。」
「 ・ ・ ・ 兄さん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
「・・・・俺は神に仕える忌人になる。そっちのがいい。」
兄は自分の行動を恥じて、どうしても皇位を継ぎたがらなかった。こうして弟が
そしてこの二代
でも、この空気な天皇達。無視するのはさすがに可哀想なので、名前だけ載せておく。
2代
以上、さらっとお届けいたしました。