天皇記『駿河平定』

駿河平定

駿河平定

草薙の剣を手に入れ、平定の旅に向かったヤマトタケルは、尾張(愛知)に着くと国造くにのみやつこの家に泊めてもらおうと思い、立ち寄った。「国造」とは今の県知事みたいな役職の人のことだ。

国造の家にはミヤズヒメという娘がいて、とても可愛かったのでお嫁さんにもらおうと思った。しかし、

ヤマトタケル

ヤマトタケル

やっぱ、自分へのご褒美を取っておいた方が平定を頑張れる気がする。

と思い、彼女と夜を共に過ごすこと無く、

ヤマトタケル

ヤマトタケル

東の国を平定し終えたら必ず迎えに来るから。

ミヤズヒメ

ミヤズヒメ

わかりました ・ ・ ・ ・ ・ ・ 約束ですよ?

と約束して先を急ぐことにした。

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しかし、彼のモテキはとどまる事を知らず、大和からはオトタチバナヒメが追いかけてきた。2人がどこで出会ったのかは知らないが、彼女は

オトタチバナヒメ

オトタチバナヒメ

私もタケルと一緒に行く!

と言って聞かない。

最初は

ヤマトタケル

ヤマトタケル

危ないから ・ ・ ・ ・

と必死に止めたヤマトタケルだったが、なんだかんだで彼女がついて来てくれた事が嬉しかった。結局、彼女に言いくるめられ、いつの間にか平定の旅は新婚旅行のように楽しい旅へと変わってしまう。

ちなみに『戦闘力5のお供』と『天皇の料理番』も一緒についてきているはずなのだが、オトタチバナヒメの登場で、彼の視界からは完全にフェードアウトされた。

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さて。テンションの上がったヤマトタケルはガンガン東へ進み、次々と山や川の荒々し神々や、景行に従わない者を説得して従わせて行った。熊襲と出雲を平定した噂が広まっていたのか、西を旅した時よりも素直に話を聞いてもらえる。

そして駿河(静岡県)まで来ると国造くにのみやつこの家に立ち寄った。国造はヤマトタケルの姿を見ると驚いたような喜んだような表情で彼を迎える。

駿河国造

駿河国造

ヤマトタケル様 ・ ・ ・ あの熊襲と出雲を平定した伝説の勇者様ですねっ!!まさか、こんなところに寄っていただけるなんて!!

駿河国造

駿河国造

実は、勇者様にお願いしたい事があるのです。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

ゆ ・ ・ ・ 勇者様!?

駿河国造

駿河国造

はい。野原の奥に大きな沼があるのですが、その中に荒々しく凶暴な神が住みついてしまい大変困っております。どうか助けくださいっ!!

彼は謙りながら、ヤマトタケルにヘコヘコと頭を下げてきた。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

おぉ~〜なんだか、RPGのはじまりの村の村長のセリフみたいだ。

このシチュエーションにさらにテンションの上がったヤマトタケルは、喜んで彼の依頼を引き受けた。

しかし、ヤマトタケルが野原に入ってしばらく歩いても沼は見つからない。と言っても隣のオトタチバナヒメとイチャイチャ話しながら進んでいたので時 間は長く感じなかったのだが ・ ・ ・

オトタチバナヒメ

オトタチバナヒメ

それにしても遠いわね?

ヤマトタケル

ヤマトタケル

えっ?あぁ ・ ・ ・ そう言えば。

オトタチバナヒメ

オトタチバナヒメ

それに、なんか焦げ臭くない?

ヤマトタケル

ヤマトタケル

うぅーん、確かに ・ ・ ・

そう言われて、ふと後ろを振り返ると、野原を焼きながら火が迫ってくるではないか。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

えっ!?ウソ!!山火事っ??

その火はあっという間に2人に追いつき、絶体絶命のピンチとなってしまう。

オトタチバナヒメ

オトタチバナヒメ

タケル!火がそこまで来てるっ!!

ヤマトタケル

ヤマトタケル

タチバナ、こっち!!走ってっ!!

ヤマトタケルはオトタチバナヒメを呼んで引き寄せると、火の無い方に走らせた。よく見ると炎の向こうに、すげー悪どい顔で笑っている国造が見える。

駿河国造

駿河国造

・ ・ ・ ・ ・ ・ クックックッ!

始まりの村の村長が裏切り者なんてまさかの展開だ。そんなクソゲー、購入した覚えはない。

ヤマトタケルは自分の中で何かが

ヤマトタケル

ヤマトタケル

プチン。

と切れる音を感じた。

ザッ!!

ヤマトタケルは草薙の剣を抜くと自分の周りのまだ焼けていない草を全て薙ぎ払った。

(それでこの剣は「草薙の剣」と呼ばれることになったんだけど、その前からこの単語を使っていたことに関してはスルーで。)

そして「困った時に使いなさい。」と、倭姫に渡された火打石で国造側の草に火をつけ、風を放つと、

ゴゥッ

とその火は燃え上がり、押し寄せてきた炎の方向へと向かって行った。やがて、炎同士はぶつかり合い、あっという間に2つの炎は消えてしまう。

後に残ったのは、焼け野原とブチ切れたヤマトタケルだけだ。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

・ ・ ・ ・ ・ ふふっ ・ ・ ・

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ヤマトタケルは火が落ち着くと、オトタチバナヒメを置いて、国造の家に戻った。

・ ・ ・ まぁ、その後はどうなるかだいたい想像がつくだろう。彼は国造一家をことごとく斬殺し、ケタケタ笑ながらその家に火を放って焼き払った。なので、この地は今でも焼津(静岡県焼津市)と呼ばれている。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

へぇ。火打石って便利だなぁ。よく燃えるや。まじでうける。くふふっ!!

彼は、楽しそうに燃えさかる炎を見つめた。

オトタチバナヒメ

オトタチバナヒメ

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ タケル!!

遠くでオトタチバナヒメが心配そうに自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。

ヤマトタケル

ヤマトタケル

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ヤマトタケルは、にっこり笑うと彼女の元へと戻った。

ヤマトタケル


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