アマテラスオオカミ
(天照大御神・天照大神)
古事記に出てくる日本神話の神様『アマテラス』について、わかりやすく解説します。
アマテラスについて
アマテラスは高天原(天界)の最高神と言われる太陽の女神様です。最高神が女の子ってあたりが、さすがニッポン!神々の時代から、萌えというものを良くわかっていらっしゃる(GJ!!)
しかも最高神なのに職務放棄をして、天岩屋戸伝説という『引きこもり事件』を起こした、まさに日本を代表する素晴らしい神様です♡
伊勢神宮の神様としても有名で、他にも全国のいろいろな神社に祀られています。(余談だけど、伊勢神宮の正式名称は『神宮』)アマテラスを祀っている神社のことを『神明さま』とも呼び、各地で親しまれています。神明さまには彼女のご飯係をしている豊受大神(トヨウケちゃん)も一緒に祀られていることが多いです。日本の神様の中では、一番有名だと思います。
ちなみに、天皇の祖神で日本人の総氏神でもあります。つまりのところ、天皇陛下はアマテラスの直系の末裔ということに。『え、神の末裔!?アイタタタ!!』と思われるかも知れませんが、八百万の神々が住んでいた日本ですので、神の末裔が今でも大量にいたりします。もしかしたら、あなたも神の末裔の1人かもしれません……ニヤリ。
名前の意味や由来について
天照大御神
天照→あまてらす。天(大空や神様の住む世界など)を照らす。
大御神→おおみかみ。神を敬って言う語。
合体すると「天照大御神(天を照らす神様)」
その名の通り万物を照らす神様で、太陽の神様とも言われています。
「天に光輝く太陽のような優れた神様」という意味もあります。
アマテラスの別名
大日霎貴
大→大いなる、立派な。
日女→ヒルメ。日(昼)の女神。アマテラスの美称。
貴(ムチ)→神様や人を尊んでいう。「~様」みたいな意味。
なので「大日霎貴(大いなる日の女神様)」という意味になります。
撞賢木厳之御魂天疎向津媛命
アマテラスの荒魂(神様の荒々しい側面、荒ぶる魂)を神格化した神様。神様は魂をいくつにも分けることができるので、神社によっては同じ境内の中に同じ神様が違う名前で祀られていることもあります。
アマテラスが出てくる神話
古事記
禊 >>
イザナギが黄泉国に行った後に禊をすると、左目からアマテラスが生まれた。そこでイザナギはアマテラスに高天原を治めるよう伝える。
誓約 >>
スサノオが高天原へ会いに行くと、アマテラスは弟が高天原を奪いに来たものと思い、武装して待ち受ける。無実を主張したスサノオの真意を問うために2人は誓約をする。
天岩屋戸 >>
スサノオの数々の乱暴を畏れたアマテラスが、天の岩屋へ引き籠る。太陽が消えて困った八百万の神々は岩屋前でどんちゃん騒ぎをして、アマテラスを外へ引き出す。
八岐大蛇 >>
スサノオは八岐大蛇を退治した時に出てきた太刀をアマテラスに献上した。
天之菩卑神と天若日子 >>
ある日、アマテラスが急に『葦原中国は自分の子が治めるべきだ』と言い出す。そして当時、国を治めていた出雲のオオクニヌシの元へ次々と使者を送る。
建御雷神と国譲り >>
アメノホヒとアメノワカヒコが交渉に失敗したので、最後にタケミカヅチを送り、国譲りに成功させる。
天孫降臨 >>
オオクニヌシから譲ってもらった葦原中国へ孫のニニギを下ろす。『天』の神様アマテラスの『孫』が降臨したから、天孫降臨。
神倭伊波礼毘古(神武天皇) >>
アマテラスの子孫『イワレビコ』の一行が神の化身の毒気によって気絶してしまった時、アマテラスとタケミカヅチのお告げを夢で見たタカクラジさんが助けてくれた。
伊勢風土記
稲の起源
まだ天と地の境目が曖昧で、やっとカタチになり始めた頃。天にいたアマテラスと食物神のウケモチノカミ(保食神)が「人々の暮らしを豊かにするためにはどうしたら良いか」を話し合っていた。2人が「天の神の私たちが葦原の瑞穂国(地上)に行って国王になって、人々を豊かにすればいいじゃない!」という結論を出すと、その瞬間、ウケモチノカミが妊娠をして、お腹の中に『稲』が宿った。
やがてウケモチノカミは稲を出産をし、それを取り上げた人がアマテラスに「これを天の神に奉ります」と稲を献上をした。アマテラスはとても喜んで「この稲を人々に食べさせましょう!」と言った。
三重県鈴鹿市の『伊奈冨神社(いなおじんじゃ)』では食物の神様 保食神(ウケモチノカミ)が祀られており、風土記の引用としてこの縁起(由来)が残っていいる。ちなみに「伊奈冨」=「稲生」で稲が生まれるという意味。保食神は稲を生んだことから、敬意を込めて『大国道命』とも呼ばれている。
安佐賀社・阿佐賀の荒神
11代垂仁天皇の時代、それまでは八咫鏡として天皇と一緒に住んでいたアマテラスが急に「お引越しがしたい」と言い出したので、垂仁天皇の娘の倭姫命と一緒に引っ越し先を探すことになった。
どこかいい場所が無いか探しながら美濃の国などを回り、やがて安濃の藤方の片樋の宮(三重県津市)に到着。
そこから五十鈴川の宮(伊勢神宮)の方に向かおうとしたが、安佐賀山(三重県松阪市)には荒ぶる神が住んでいて、通行人百人のうち五十人を殺し、通行人四十人のうち二十人を殺すような状態だった。なので倭姫命はとりあえずアマテラスを藤方の片樋の宮に祀ることにした。
三重県津市の加良比乃神社など幾つかの神社に、その片樋の宮の伝承が残っている。
逸文・豊前国【宮処郡】
豊前国風土記(豊前国=福岡県の右側)
宮処郡(現在の福岡県京都郡)に関する記述。昔、アマテラスの孫のニニギが宮処郡から旅をはじめて日向に降りたという伝承がある。このことから、アマテラスが住んでいた天の国の高天原は宮処郡ではないかという言い伝えがある。
日本書紀
三貴神の誕生
古事記ではイザナギが一人でアマテラスを生むけれど、日本書紀ではイザナギとイザナミが、相談して2人でアマテラスを産んだと記されている。
また、一書(あるふみ・別説のこと)にはイザナギが左手で白銅鏡(ますみのかがみ)を取った時にアマテラスを生んだとある。
昼と夜の起源 >>
ツクヨミとアマテラスが喧嘩をするお話。
八咫烏
イワレビコ(神武天皇)が東征するとき、古事記では高木神から八咫烏が送られるが、日本書紀ではアマテラスから送られてくる。
崇神天皇【大物主大神を祀る】
10代 崇神天皇の時代、アマテラスと倭大国魂神(ヤマトノオオクニタマノカミ・奈良県天理市の大和神社に祀られている神様。名前からして大和の神様だろうけど、詳細は不明)を皇居で一緒に祀っていたが、二柱の力が強かったため、ずっと一緒に祀っていることに不安があった。そこで崇神天皇は二柱を皇居の外に祀ることにした。
まず、アマテラスは崇神天皇の娘の豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託し、大和の笠縫邑(場所不明)に祀った。しかし、倭大国魂神を娘の渟名城入姫命(ぬなきいりびめのみこと)に託したところ、彼女の髪が抜け落ち、体も痩せ細ってしまったため、祀ることができなかった。
その後、倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと・崇神天皇のおばちゃん的存在)の夢の中に大物主神(オオモノヌシノカミ)が出てきて、大物主神と倭大国魂神の祀り方のアドバイスをくれるという話が残っているけど、登場人物が多すぎてわけがわからなくなってきたので、ざっくり噛み砕いた古事記バージョンのお話はこちらから >。
垂仁天皇【伊勢の祭祀】
崇神天皇にアマテラスを任された豊鍬入姫命は、引き続きアマテラスを祀る場所を探していたが、老いてしまったため11代 垂仁天皇(崇神天皇の息子)の娘の倭姫命に仕事をバトンタッチした。倭姫命もアマテラスの引っ越し先をくるくる探し回り、最終的に伊勢神宮の起源となる伊勢国の五十鈴川にアマテラスを祀った。
ちなみに、伊勢神宮に来るまでに回った土地を『元伊勢』と呼ぶ。『元伊勢』と書かれている神社が各地にあるので、見つけたら「あぁぁ・・・こんなところまで来たんだ・・・・」と、豊鍬入姫命&倭姫命の苦労を少しでも悟っていただけたら嬉しいです(;u;)
雄略天皇【豊受大神を祀る】
アマテラスが雄略天皇の夢に出て、「丹波国比治の真名井原(京都府京丹後市)にいるトヨウケヒメを迎えてほしい」と話す。驚いた天皇は伊勢にトヨウケヒメを迎えた。今でもトヨウケヒメは伊勢神宮の外宮に祀られており、アマテラスの食事係をしている。
他にも、卑弥呼説、男神説、実は巫女で人間だった説など様々なエピソードがあります。
アマテラスの御利益
❀国家安泰❀子孫繁栄
※国の繁栄を願う神様なので、個人的なお願いには向いていません。結婚・出産などのおめでたいご報告はおすすめです。
アマテラスの祀られている神社
・伊勢神宮
・伊雑宮
・瀧原宮
・日向大神宮
・廣田神社
・丹後一宮元伊勢籠神社
・山口大神宮
・檜原神社
・天岩戸神社(宮崎)
・東京大神宮
全国の皇太神社・神明社 など。神明(しんめい)さま。