天皇記『履中天皇と墨江の謀反』
履中天皇と墨江の謀反
しかし、女好きで有名な仁徳だが、案外子供は、皇后の『イワノ』と、父親の
仁徳天皇
イワノヒメ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ちなみにイワノとの間に生まれた息子は4人。
まずは若干、天然入ってる長男の
履中
へへっ♡聞いてよ。この前さ、墨江が僕のフィアンセを
そんな
墨江
うけるなよ。わざとだよ。嫌がらせだよ。てかいい加減、オレから嫌われてんの気づけよ。
そして、本当に仁徳とイワノの息子なのかと疑いたくなるくらいイカツイ、三男の
反正
なんと!!それは道義に反しますぞ!!墨江の兄者!!!
最後は病弱な四男、
允恭
そぅ ・ ・ ・ それで、話ってそれだけ?もう、部屋に帰って寝てもいい?
あとは、カミナガヒメとの子で、やたらイケメンの
大日下
あ、でも、こっちは皇后の子じゃないし、影薄いんで、お気になさらず〜
それと切れ長の目が素敵な妹の
若日下
あ、でも、後の方で少し出番があるので、頭の片隅にでも置いておいていただければ ・ ・ ・
コッチはさすが、美男美女カップルの子って感じ。
この合計6人が仁徳の子供だ。そのうち5人の息子の中で誰を皇太子にするか、生前、仁徳は悩んでいた。
仁徳天皇
うーん。天皇死ぬといっつも後継ぎで
仁徳天皇
神話の時代は末っ子ばっか継いどるし、やっぱそれがえぇんかな? ・ ・ ・ でも、したら、ウジィん時みたいに末が若いと揉めるか。
仁徳天皇
しかも親父みたいに息子がぎょーさんおったら、カオスやし。継ぐんは皇后の子だけにしといた方がえぇよな。。。
仁徳天皇
んーー。したらまずは『皇后の長男』が継いで、死んだら兄弟順に回してく感じやろか??そのうち末の子もえぇ歳になるやろし ・ ・ ・
仁徳天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ほんま、兄弟同士で殺し合いはさせた無いからな。
と、言うわけで、皇太子はイワノとの長男、
履中
わーい☆
残念ながら、この頑張って頑張って考え抜いた結論が逆効果を生んでしまうのだが ・ ・ ・ ・ ・ ・
さて。仁徳が亡くなってからしばらく経ち、バタバタした行事も落ち着くと、難波の皇居で
家臣たちはゾロゾロと
家臣
よっ!天皇!!
家臣
大王かっちょいいっ!!
とか何とか言いながら、次々に酒を注いでくる。
履中天皇
えっえーー??そんなに飲めないってばーー!!!
なんて言いながらも、
履中天皇
あひゃー!!アチのかお、ゆがんでるー!!あちってば、どしたの??整形???整形したんでしょっ!!!
阿知直
うわっ、履中様!?こんな末席で何やってるんすか。
阿知直
てか、顔が歪んで見えるって、ヤバくないですか?そろそろお酒やめた方がいいですよ。めっちゃフラフラなんすけど。
履中天皇
えぇーやだよ。この一升瓶は一生渡さない ・ ・ ・
履中天皇
って、え?一升だけにってか??
履中天皇
ひゃぁぁー!!やだうけるぅー!!
履中天皇
うぅっっ ・ ・ ・
阿知直
うわぁぁぁ ・ ・ ・ ダメだこの人。俺、水持ってきますね ・ ・ ・ ・ ・
と、完全に悪酔いしてしまい、わけわかんない歌は詠うわ、粗相はするわ、すっかり上機嫌になり、ついにはパタリと倒れてしまった。
それから数時間後 ・ ・ ・ ・ ・ ・
阿知直
履中様っ!!いいかげん起きてください!!履中様ってばっ!!!
履中天皇
ん~アチ??もぉ~無理ってば。飲めないって ・ ・ ・ う"ぅ・・
阿知直
あぁ ・ ・ ・ ったく。しょーがねぇな ・ ・ ・ ・ ・
履中天皇
あぅ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
履中天皇
ん? ・ ・ ・ ・ て、あれ??みんなは??え、てか、ここどこ????何か焦げ臭くない??
履中天皇
あ ・ ・ ・ ・ ・ あれ? ・ ・ ・ ・ ヤバイ。僕、
阿知直
そりゃ、あんた、ずっと爆睡してましたからね。墨江様が屋敷を全部焼き払っちまったんです。
履中天皇
えっ ・ ・ ・ ・ 嘘 ・ ・ ・ ・ ・ ・
阿知直
今、
履中天皇
えっ、待ってよ!何でっっ??なんで、墨江が裏切ったの??今まで同じ母親を持った兄弟の謀反なんて聞いたことないのに ・ ・ ・ ・
阿知直
そりゃだって、すげー嫌われてたじゃないですか。気づいてなかったんですか?
履中天皇
うそ ・ ・ ・ あれネタでしょ?
阿知直
いや、どう考えたってネタじゃなかったでしょ。
履中天皇
そぉだったのっ!?
阿知直
はぁ ・ ・ ・ 。とにかくもう、事は起こっちまったんです。今は早く逃げましょう。
履中天皇
え、もう行くの?
阿知直
追いつかれたら殺されます。あと、もう吐かないでください。敵に場所が知れます。
こうして
履中天皇
あぁ〜あ。
阿知直
いやいや、事前報告して
そして2人が
阿知直
・ ・ ・ ・ ・ ・ ほら、履中様、アレ。
履中天皇
えっ?嘘 ・ ・ ・ だろ ・ ・ ・ ・ あれ ・ ・ ・ 嫁の家らへんだ ・ ・ ・ ・ ・ ・ みんなちゃんと逃げられたのかな ・ ・ ・
阿知直
わかんないです。でも命を狙われていたのは履中様だけでしたから ・ ・ ・ 奥様たちはきっと大丈夫ですよ。
すると何故か
履中天皇
阿知直
いや、何故このタイミングで歌い出した!?
あんた、ほんっっと緊張感ねーな。
こうして大阪と奈良の県境にある大きな坂の麓に来ると、何かに怯えたように少女が走ってきた。彼女に気づいた阿知は声をかける。
阿知直
おい、どうかしたのか?
少女
この先にね、武器を持ったおじちゃんたちがたくさん待ち伏せしてるの ・ ・ ・ ・
阿知直
うわー。先回りされたか。
少女
大和に行くの??それなら
阿知直
・ ・ ・ そうか。ありがとう、助かったよ。
その会話を横で聞いていた履中はまた、
履中天皇
大阪でぇ〜出会った乙女に道を聞いたならぁ〜〜真っ直ぐに行けとは言わないで〜
なんて、そのまんまの歌を詠い出す。
少女
??
阿知直
・ ・ ・ あぁ、お嬢ちゃん、ごめんな。この人、ちょっとアタマおかしくて。無視していいから。
履中天皇
ええっ!?アチ、ひどいっっ!!!
こうして2人は、遠回りをして大和へ逃げ延び、朝廷の武器庫にもなっている、