天皇記『一言主大神』
一言主大神
その後。
そして、家臣にはみんな、雄略が自分でデザインした紺色の着物に赤い帯を締めさせて、お揃いの制服を着せる。

雄略天皇
やべぇ。俺様ご一行、カッコイイ ・ ・ ・ ・ ・
しかし、

???
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

雄略天皇
あぁ??なんだ、あいつら。
彼らは、行列の数も、服装も、並び方まで、みーんな雄略一行と同じようだ。

雄略天皇
ふざけんなよ。コッチは全部オーダーメイドだぞ??どこの生産ラインから情報漏れたんだ。
ひどく怒った

雄略天皇
オイ!!この日本に俺様を除いて王はいねぇはずだが、てめー、どこの誰だよ。どの面下げて歩いてやがんだコラ??
しかし向こうは、雄略をからかうような笑みを浮かべて答える。

???
おーい。この日本におれさまを除いて王はいないはずなのにー、てめー、どこのだれなんだー。どのつら下げて歩いてやがんだ、こらー。
なんか、モノマネされた。
もちろん、雄略はその返答にブチギレる。

雄略天皇
わかった、殺す!!
雄略は彼に向かって矢を構え、家臣たちにも矢を構えさせた。
しかし、向こうはこちらを見ながら、なんだか楽しげだ。

???
ふふっ、ごめんなさい!

雄略天皇
黙れ、殺す。

???
全く。君は本当に面白い子だね。私、人前に姿を見せるのは好きじゃないんだけど ・ ・ ・ ・ ふっ!ブフッ!!

???
・ ・ ・ いや、ちょ、ごめんっ、思い出し笑い ・ ・ ・ ・ ・ この前 ・ ・ ・ ツボっちゃって ・ ・ ・ ・ ・ ・ ふっ!ふふふふふ ・ ・ ・

雄略天皇
あぁ??

???
いやいやしかし、知らない人に向けて矢を構えるというのは、よくないと思うな。
そう言うと、向かいの人も矢を構え、その連れもまた矢を構えた。

雄略天皇
はあぁぁ???だからさっきから、てめーがどこの誰なんだか聞いてんだろうが!!さっさと名を名乗りやがれっ!!
互いに名乗ってから打ち合おうじゃねぇかっっ!!!
向こうは

???
ふふっ、それもそうだね。では、私が先に問われたので、まずは私から名乗ろうか。

雄略天皇
チッ!ザコが。

???
私の名前は『

雄略天皇
は?ひとこと ・ ・ ・ ・ ・ ぬし??

一言主大神
はい。悪いことも、善いことも、一言で現実にする、葛城の

雄略天皇
へっ?? ・ ・ ・ 神っっ!?
雄略はまた、血の気がサアッッと引くのを感じた。

一言主大神
はい、そうです。ま、平たく言えば、言葉に出した吉凶をリアルできる神です。

雄略天皇
それ最強やん ・ ・ ・ ・ ・ ・

一言主大神
いやいや、そんなことないですよ。それに、急に神様なんて言われても、胡散臭いでしょう?

雄略天皇
え、ああ、そりゃまぁ ・ ・ ・

一言主大神
ですよね。では、もしよければ、天変地異か何か起こしましょうか。

雄略天皇
へ?

一言主大神
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 今。
まずい。
この笑顔はアレだ。
人間の命なんて、蚊の命とさして変わらないと思っている人の笑顔だ。

雄略天皇
っっいやッッ!!大丈夫デスッッッ!!!俺、神様めっちゃ信ジテマスカラッッッ!!!!まじ、アーメンッッッス!!!

一言主大神
ブフッッッッ!!!!
ふっ ・ ・ ・ ふふふふっ!!面白い ・ ・ ・ 君、面白過ぎる ・ ・ ・ ・ ・ ・

雄略天皇
なんかすげー笑ってる ・ ・ ・ 怖えぇぇぇぇぇ。

一言主大神
でも ・ ・ ・ ・ ・ ・

一言主大神
神様に矢を向けたのは良くなかったよね?

雄略天皇
あぅっっ!!

雄略天皇
あっ、あの、おれ、

雄略天皇
ほんと、すみませんデシタァァァっっ!!!

雄略天皇
うおぉぉい!!!テメェら全員、脱げえぇぇ!!!フンドシ以外、身についてるモン全部、差し出すんだあぁぁ!!!!
と叫んで、刀から、弓矢から、服まで全部脱ぎ捨ててて、

一言主大神
へ??

雄略天皇
すみませんでしたぁぁぁ!!!!
そして雄略はフンドシ一丁でまた土下座をした。

一言主大神
ひゃあっっ!!!なんで君まで脱いだの??君、天皇でしょう???
やだむり ・ ・ ・ ・ おもしろすぎる ・ ・ ・ ・ ・ 君ったら、楽しすぎるぅぅ ・ ・ ・ !!!

雄略天皇
ヒィィ ・ ・ ・ ・ ・ なんで、コイツ、こんなに笑ってんの??怖すぎる!!!

一言主大神
はぁぁ。不老不死ほど退屈なものないと思ってたけど ・ ・ ・ ・ ・ 久しぶりにこんなに笑ったよ。ありがとう。

雄略天皇
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい ・ ・ ・ ・ ・

一言主大神
葛城山に来たら、また遊んでおくれ!!

雄略天皇
あ??

雄略天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ 絶対に、嫌だ。
こうして
いや、道中、散々、後ろ指を刺されて笑われたけど。

雄略天皇
あぁ ・ ・ ・ ・ ・ 最悪な一日だった。さっさと帰って寝るか。
しかし、雄略一行が葛城山に足を踏み入れると、

一言主大神
わ!雄略くんっっ!!!

雄略天皇
げっ。

一言主大神
また来てくれたのっ!?

雄略天皇
いや ・ ・ ・ ・ 帰り道 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

一言主大神
そっか、それは偶然!!さっすが、君は徳のある天皇だねっ!!

雄略天皇
俺、大悪天皇としか呼ばれたことねぇんだけど。

一言主大神
迷わないように送ってあげるよっ!!!

雄略天皇
一本道だがな。
そして、
しかし、その時、何人かの里人に目撃されてしまう。

里人
えっっ!?!?あれ、神様!?!?!?

一言主大神
わっ!今はこの辺にまで人が住んでるんだね。ごめん、私、人間に見られるの嫌いなんだ。帰る。

雄略天皇
あ?なんだ。あんた、出たがりの神じゃねぇの??

一言主大神
いやいや。神様って普通、姿見せないものでしょう?

雄略天皇
おまいう。

一言主大神
今回は特別大サービスですよ。

雄略天皇
ま、いいけど。わかった、じゃあな。

一言主大神
うん、またね!
そう言うと、

雄略天皇
助かった ・ ・ ・ ・
その2人のやりとりを見ていた里人は、ポカンと口を開ける。

里人
うそ?あれって、葛城山の神様だよな??大悪天皇って、そんなにご利益のある天皇だったんだ ・ ・ ・ ・
それから『
ちなみにその後も

一言主大神
あっ、雄略くん!!今日は一緒に狩りしない??

雄略天皇
ヒィ!また出たっっ!!!