天皇記『相撲と埴輪と不死の実』
相撲と埴輪と不死の実
垂仁はネタの多い天皇で、他にもいくつかエピソードが残っているのでご紹介。
相撲の起源
大和に"
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垂仁天皇
だれかさ、こいつに勝てる奴、いないの??
と
すると、出雲から"
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野見宿禰
この野見宿禰が
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垂仁天皇
おー!!じゃぁ、どっちが強いか試合しようよ!
天つ神のタケミカヅチと国つ神のタケミナカタの勝負も相撲の起源とされているが、人間同士での勝負はこれが初めてというわけだ。
と言っても今の相撲とは違い、足技がメインで、
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垂仁天皇
ムエタイか何かですか??
って程、激しい戦いだったらしい。
この『出雲VS大和』対決は、出雲の
現代だったら、そんな戦い絶対に放送できない。
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垂仁天皇
やっ ・ ・ ・ やばい。蹴速くん、死んじゃった ・ ・ ・
負けた
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垂仁天皇
あの ・ ・ ・ よかったら、蹴速くんの全財産、記念品ってことで。
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野見宿禰
え、コレもらっちゃって大丈夫なの??呪われない??
ちなみに、この宿禰。実はアメノホヒの子孫にあたる。
ホヒってのは、アマテラスの次男で、オオクニヌシに国譲りを頼もうと、出雲に降りたは良いけど、逆に口説き落とされて、ちゃっかり出雲に住み込んじゃったあの神だ。
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アメノホヒ
きっと、記憶の彼方でしょうね ・ ・ ・ ・
あの後、一体どうしたのかと思っていたが、どうやら出雲で幸せに家庭を築けていたらしい。
ちょっと安心した。
このホヒの血は、今でも出雲大社の出雲国造家が受け継いでいる。
埴輪の起源
垂仁の皇后、ヒバスヒメが亡くなった時のことだ。いつの間にか恒例となっていた御陵(古墳)を作ることになった。垂仁はかなり落ち込みながら、あの相撲で勝利した宿禰と一緒に御陵の造営の視察に来ていた。
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垂仁天皇
・ ・ ・ もうやだ。オレ、こんな長い寿命いらない。
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野見宿禰
えっ!?陛下っ!?ちょっと、何言ってるんですか!!
あんた、この前、死にたくないとか言って、常世の国までタジマモリに『伝説の不死の果実』を取りに行かせてたじゃないですか!!
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垂仁天皇
あぅ ・ ・ ・ だって、ヒバスがこんなに早く死んじゃうなんて思わなかったんだもん。グスッ ・ ・ ・
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野見宿禰
そんな。タジマモリの奴、今頃、すげー頑張ってるはずですよ??
常世の国なんて何処にあるかも分からなわからないっていうのに ・ ・ ・
マジ、思いつきでそーいうこと言わないでくださいよ。
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垂仁天皇
うぅー。だってぇー ・ ・ ・ ・ ・ ・
『キャーー!!助けてー!!誰かーー!!』
と、恐怖に引きつった人々の叫び声が聞こえて来た。
2人は顔を見合わせ、すぐに声のする方へ走る。すると、なんと生きたまま大勢の人間が土に埋められて行くではないか。
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垂仁天皇
ぎゃぁぁぁぁーーーーー!!!!!!
垂仁と
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垂仁天皇
待ったぁぁ!!!ちょっと待ったぁ!!
ストップ!ストップ!!!!!
垂仁は慌てて御陵造営の現場監督の元に走り寄る。
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現場監督
へ ・ ・ ・ 陛下っっ!?こんな所でどうされたんですかっ!?
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垂仁天皇
どうされたじゃないでしょ!?君、何やってんだよ!?
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垂仁天皇
可哀想じゃん!!みんなめっちゃ怖がってんじゃん!!!!
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現場監督
え、いや、でも、陛下、死者に生贄を捧げる殉職は伝統じゃないですか ・ ・ ・ ・ 先代の方々の時だってみんな ・ ・ ・ ・ ・ ・
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垂仁天皇
いやいやいや!あんな恐怖に引きつった顔の人達に殉職されたら落ち着いて成仏できないよ!!ヒバスがビビるよ!!!!
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垂仁天皇
あの子、クールに見えて、すげー優しい子なんだからっっっ!!!!!
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現場監督
え ・ ・ ・ でもしかし、皇后様にお供を付けないわけにも ・ ・ ・ ・ ・ ・
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垂仁天皇
いや、でも ・ ・ ・ ・ ・ ・ そっか ・ ・ ・ うぅん ・ ・ ・ でも ・ ・ そりゃそうだけど ・ ・ ・ ・ ・
垂仁は黙ってしまう。
と、ここで
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野見宿禰
陛下 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 人の代わりに、最近、流行ってる埴輪で人形を作ってみたらどうです??
その提案に、垂仁はパァァっと目を輝かせる。
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垂仁天皇
ソレ、採用っっっ!!!
こうして垂仁は宿禰の案を即行採用し、殉職を禁止した。
このヒバスヒメのお墓が、殉職者無しで、埴輪だけで飾った初めての古墳だと伝えられている。
不老不死の果実
先ほど宿禰が言っていた通り、数年前のある日、垂仁は死にたくないと言って駄々をこねた。
そこで、朝廷に遣えていたタジマモリが「陛下のためなら!」と言って、常世の国に成っているという伝説の不老不死の果実、「
しかしやっとの思いで常世の国を見つけ、伝説の果実を持って10年ぶりに大和に帰って来たのに、垂仁は既に亡くなっていた。
悲しんだタジマモリは、持ち帰った実の半分を垂仁の残された妻に献上し、残りの半分を垂仁の御陵に捧げ、泣きながらその場で亡くなったという。この伝説の実は「
フルーツをお菓子にしていた時代だったので、タジマモリは死後、お菓子の神様として祀られることになる。
ちなみにこのタジマモリ、新羅の王子様の玄孫にあたる。何話か後で、彼の孫娘の神功皇后が大活躍する話しと、その新羅の王子様が日本に来た時のエピソードが出てくる。
垂仁はへらへらしながらも、なんだかんだで多くの業績を残し、153歳でこの世を去った。
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*ラノベ版は読みやすさを優先させるために順序が入れ替わっております。原文とラノベのリンク先も前後してますので、ご注意ください。