天皇記『大長谷王子』
大長谷王子
安康天皇の暗殺。
この知らせを聞いて真っ先にブチ切れたのは、安康の末の弟、オオハツセだった。
大長谷命
あのガキ、安康兄に育ててもらった恩は無かったのか!?
ブッッ殺す!!
こんな顔だけど、彼はまだオグナ。少年だ。
しかし、マヨワが逃げ込んだというツブラの家は
それなりの兵力が無ければ話にならない。
しかし、少年のオオハツセは、まだ自分の兵を持っていなかった。
それでもマヨワを
大長谷命
なぁ、クロ兄!!安康兄が殺された!!天皇だぞ?許せねぇだろ??あのガキ、どうしてやろうか!!
オオハツセが
黒日子
え ・ ・ ・ でも子供なんだろ?
と、気にかけてくれなかった。
大長谷命
はぁっ!?クロ兄、分かってんのか??天皇が殺られてんだぞ??つーか、俺らの兄弟が殺られたんだぞ???
黒日子
そう言われても ・ ・ ・ ・ ・ なぁ?
大長谷命
はぁぁあ??ふっっざけんな!!!天皇が暗殺された一大事だってのに、テメェで何か指示する気もねぇのか??
黒日子
うぅん ・ ・ ・ ・
大長谷命
あっっりえねぇっ!!!安康兄が殺されたって聞いても、気にせず驚かないなんて、どんだけ、いい加減なんだっっ!!!
そう
黒日子
うわっ!ハツセ何すんだよっ!?
大長谷命
もういい。死ね。
黒日子
はぁっ??
そして、刀を抜いて打ち殺した。
大長谷命
自分の兄弟が殺されたっつーのに信じらんねぇ!!!!
いや、それで
というのが一般的な感覚だと思うが、オオハツセの暴走は止まらない。
オオハツセは続いてシロヒコの元を
大長谷命
なぁ!シロ兄!!聞いただろ??安康兄が殺された!!あのガキ、どう罰してやろうかっっ!!!!
しかし、シロヒコも
白日子
え ・ ・ ・ でも子供なんだろ?
と、安康のことを気にする様子が無かった。それに、いい加減な態度もクロヒコと一緒だ。
大長谷命
そうか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ わかった。アンタも死ね。
白日子
は??
オオハツセはシロヒコの
白日子
わわっ!ハツセ!!苦しいっ!!ぐるじぃっってば!!
そしてズルズルと
そのあまりの早さに、あっという間に穴は深くなり、オオハツセの姿も見えなくなってしまった。
白日子
おっ ・ ・ ・ ・ おーい。ハツセちゃーーん?何やってんのーー??
木に結ばれて、その場から動けないシロヒコは、恐る恐る弟に質問をする。
するとオオハツセは、ピョコっと穴の中から顔だけを出し、『チッ』と舌を鳴らした。
大長谷命
テメェの墓穴を掘ってんだよ。
白日子
ひいぃぃっ!!!!
そして人の身長以上に深い
白日子
いやあぁぁ!!!ハツセちゃん!!!ごめん!!ごめんってば!!!助けてぇっっ!!!!
大長谷命
うっさい、死ね。
シロヒコが助けを求める中、さっき
やがて腰のところまで土に埋まると、シロヒコは両目がポンポンッと飛び出て、そのまま死んでしまった。
大長谷命
これで貴様にも安康兄の苦しみが分かったかコラァァッッ!!!!
いや、安康はこんなに苦しみ
むしろ古事記の中では、割と楽な殺され方をしているような気がする。
こうなったらもう、誰にもこの子のこと止めらんない。
大長谷命
フンッ!
オオハツセは動かなくなった兄を見下ろすと、鼻を鳴らして皇居に戻った。