天皇記『雄略天皇』
雄略天皇
天皇になった
雄略天皇
ワカクサカを皇后にする。元々、俺がもらう予定だったんだ。本人も文句ないだろ。
雄略天皇
この俺様が直接、迎えに行ってやろう。
そして雄略は自分でワカクサカを迎えに行くことにする。
雄略天皇
よし。てめーら、行くぞ!
そして
雄略天皇
お、開けたな。
大阪の北河内付近からは、国民の暮らしがよく望めた。そこには穏やかな風景が広がり、案外、平和そうだ。
しかし、質素な家々が並ぶ中で、ひとつだけ豪華な建物が目立っている。
雄略天皇
あ??なんだ、あのデカイ家。
その家はまだ新しく、『
雄略天皇
オイ。なんだ、あの
家臣
あ、あれは、
『
雄略天皇
ああぁ???なんだソイツ、ふざけてんのか??
家臣
へ?
雄略天皇
あのデザイン、天皇であるこの俺様の皇居の丸パクリじゃねぇかっ!!
家臣
え、あっ、はっ、確かに ・ ・ ・ ・
雄略天皇
ムカつく。よし、てめーら。あの家、焼いてこい。
家臣
えええぇぇっっ!?
こうして、雄略に遣わされたお供たちはワラを集め、気まずそうに
家臣
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ・ ・ ・ ・ ・
そして、半べそをかきながら
大縣主
って、えええっっ!あんたたち、なに、人ん家に火ぃつけようとしてんの!?
家臣
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
大縣主
いやいやいやいや、謝罪はいいから理由教えて!!!つーか、今すぐやめて!!!!!
家臣
だって陛下が ・ ・ ・ ・ ・ ・ この家、焼けって ・ ・ ・ ・ ぐすっ。
大縣主
えっっ!?陛下っ???まさか、大悪 ・ ・ ・ ・ いやっ、雄略天皇???来てんの?????
家臣
はい、すぐそこまで ・ ・ ・
大縣主
ギャァァ!!!すみませんでしたぁぁぁぁーーっっ!!!!自分ごときが身分もわきまえずに、ものすんごい過ちを犯しちゃいましたぁぁぁぁ!!!!!!!
家臣
ちゃんと、みんなわかってるっっ!!!!!
大縣主
わあああ家臣さん ・ ・ ・ ・ !!どうしよう!!!
ねぇ、オレ、どうしたらいい???まだ家のローン組んだばっかなんだけどっっ!!!!
家臣
私で何かお役に立てることがあれば!!
大縣主
具体案 ・ ・ ・ ・ 具体案欲しいっっ!!!!
家臣
えっと ・ ・ ・ ・ ・ ・ そしたら、例えば、貢物渡すとか ・ ・ ・
大縣主
ああっ!!それいい考えっ!!!ありがとうっっっ!!!ちょっと待ってて。なんか謝罪の印になるようなの探してくる。
家臣
わかりました!お待ちしてます!!!
雄略天皇
オイ、てめーら、なんでまだ火が上がんねぇんだ。遅せぇんだよ!!
家臣
ギャァ!!陛下ぁぁぁっっ!!!!
雄略天皇
あぁ??なんだ。もうワラは積み上がってんじゃねぇか。
家臣
あ、えっと。これは ・ ・ ・ ・
雄略天皇
よし。この俺様が火をつけてやる。
家臣
ヒィィィ!!!
こうして雄略が
大縣主
へっっっ!!!!陛下っっっっ!!!!!!
ちょっ!!お待ちをっっ!!!!!
雄略天皇
ああ???おい、てめーか。
大縣主
はい、えっと、この度は、本当にすみませんでした。あの、謝罪の気持ちを込めてこちらの見舞いの品を奉りたく ・ ・ ・ ・
雄略天皇
はぁぁあ???この俺様が見舞いの品ごときで許すとでも思ってんのか???無理だな。死ね。
大縣主
そこを ・ ・ ・ なんとか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ こちらの品でっっっ!!!
こうして、
綺麗な布をかけ、
鈴をつけ、
縄を巻いた、
真っ白な ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
犬だった。
犬
ワン!
家臣
あ。この人、終わった。
その場にいた誰もが、
雄略天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
もちろん、
犬
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄略天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
犬
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄略天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
犬
くぅん?
雄略天皇
え?お父さん??
大縣主
へっ?
雄略天皇
まじ、くれんの?これ。
大縣主
もちろんです!
雄略天皇
そうか ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ わかった。
雄略天皇
許してやろう。
家臣
えええぇぇぇぇぇっっっ!!!????
こうして雄略は、火をつけることをやめた。
大縣主
た ・ ・ ・ ・ ・ 助かった ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄略天皇
ふふん♪♪
白いわんこを手に入れ、上機嫌になった雄略は、リードを引きながらワカクサカの家に向かった。
目的地に着くと、早速、女中を呼びつける。
雄略天皇
おい、コレやるよ。
犬
ワン!
女中
はっ???
雄略天皇
これな、今日、ココに来る途中でもらった珍しい犬なんだ。だから、妻問いの結納品にしようと思って、連れて来た。
女中
え?結納の品?? ・ ・ ・ ・ ・ 犬が???
雄略天皇
あぁ、そうだ。これで、ワカクサカに俺様の皇后になれって伝えろ。
犬
ワンワン!
女中
は ・ ・ ・ ・ ・ はぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
女中が戸惑っていると、
若日下
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄略も口をポカンと開けたまま、見とれてしまう。
雄略天皇
あんたが ・ ・ ・ ・ ・ ・ ワカクサカか。
若日下
えぇ。
雄略天皇
そうか。アンタを俺の皇后にする。今から皇居に来い。
若日下
いけませんよ、雄略様 ・ ・ ・ ・ あなたは、天皇です。
雄略天皇
あ?
若日下
雄略天皇
は?イツセ?誰それ。
若日下
・ ・ ・ ・ 初代 神武天皇のお兄様です。この
雄略天皇
へぇ ・ ・ ・ ・ ・ ・ そうなのか。
若日下
ですので、今から共に皇居へ行くことはできません。後日、私の方から
雄略天皇
ふぅん。そういうもんなのか。
若日下
せっかく来ていただいたのに、申し訳ありませんが ・ ・ ・ ・ ・
雄略天皇
そうか ・ ・ ・ ・ わかった、帰る。
犬
ワン!
若日下
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄略天皇
よし。てめーら、行くぞー。
こうして、雄略はすぐに皇居へ帰ることになった。
ワカクサカはその後ろ姿を、じっと見つめる。
若日下
・ ・ ・ ・ ・ ・ かわいそうに。誰も教えてくれないのね。
そしてワカクサカを想い、歌を詠う。
雄略天皇
山の裾には竹林が盛り上がって、しっかり重なりながら生えてやがる。
雄略天皇
今日はその『いくみ竹』みたいに組んで、あんたと部屋で寝ることができると思ってたのに。
今日はその『たしみ竹』みたいに確かに、あんたを率いて寝ることはできないらしい。
雄略天皇
でもまぁいいさ。
どうせ近いうちに、一緒に寝れるんだろ??
雄略天皇
いや、知らねーけど ・ ・ ・ ・
雄略天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ やめた。あんたを想うと、しんどくなる。
詠い終わると雄略は、遣いにそれを持たせて、ワカクサカに送る。
ワカクサカはその歌を受け取ると、パラパラと開いて視線を落とした。
若日下
え ・ ・ ・ ・ この歌、あの子が書いたの?
家臣
はい。
若日下
あらやだ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ かわいい ・ ・ ・ ・
家臣
へ??うそ。下品じゃね??
こうしてワカクサカは、日を改めて皇居に入ることになり、やがて雄略の皇后となった。