天皇記『顕宗天皇』
顕宗天皇
やがてオケもヲケも皇居での生活に慣れ、悪口言うような人もいなくなった頃。2人は天皇を継げる年になっていた。
しかし、お互いに譲り合って、まだどちらが天皇になるかまで決めていなかったので、オケはヲケに自分の意見を伝えることにした。
オケ
ヲケさ、
ヲケ
うん、もちろん!だって、あのおかげで帰ってこれたんだもん。
オケ
だよな。でも、あの時お前が歌ってオレらの
ヲケ
あーーーうぅん。
オケ
つまり、オレらが今こうしていられるのは、ヲケのおかげなんだよ。
ヲケ
うぅーーーん ・ ・ ・ ・ それでも僕は、兄ちゃんが天皇になった方がいいと思うけどな。
オケ
そんなことない。確かにオレは兄だけど、それだけだ。やっぱり、ヲケが先に天下を治めるべきだと思う。
ヲケ
うううううぅうぅーーーーん。
オケ
なんだよ、その反抗的な顔は。お兄ちゃんの言うこと聞けないの。
ヲケ
はぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 兄ちゃんさ、そーゆうとこだよ??
オケ
何が。
ヲケ
うぅん、もういい。わかったよ。どうせ僕が反対したって、兄ちゃん聞かないもん。
オケ
うん、聞くつもりない。
ヲケ
ほらぁぁぁ。
オケ
なら、決まりな。
ヲケ
はぁ。まぁ ・ ・ ・ じゃあ、とりあえず僕が先に天皇になるけどさ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
うむ!物分りが良くてよろしい。
ヲケ
でも、まずはってだけだからね!!
オケ
はいはい。
ヲケ
まずはってだけだから!!
オケ
ふっ!それ、2回いる?
こうしてオケに押し切られたヲケは、
ヲケ改め
顕宗天皇
と、言うわけで!!!
こうして天皇になったからには、イロイロとやりたかったことがあるのですっっ!!!
オケ
おー!いいぞ、顕宗陛下サマサマー!!どんどんやれーー!!!
顕宗天皇
イェーーイ★
オケ
で、早速、何するつもりなの?
顕宗天皇
え?何って??
オケ
ん?なに。
顕宗天皇
あぁ、えっと ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ まずはそのぉ ・ ・ ・ ですね。
オケ
だから、何だよ。
顕宗天皇
いやその、実は ・ ・ ・ ・ 父上の ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
??
顕宗天皇
オケ
あーー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
なるほど。
顕宗天皇
昔のことだから、見つかんないかもだけど ・ ・ ・
オケ
うん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
天皇ってさ、個人的な
オケ
いや ・ ・ ・ ・ 大切なことでしょ。
顕宗天皇
っっ!!
オケ
ちゃんと探して、
顕宗天皇
・ ・ ・ ・ ・ うん!
こうして
オシハの八重歯は、三本に枝別れしたような変わった形をしていたので、骨だけでも本人の確認ができるはずだ。
しかし、たまに人骨とも分からない骨が掘り起こされるものの、そんな八重歯を持った骨は一向に見つからず、捜索は難航した。
顕宗天皇
なかなか見つかんないね ・ ・ ・ ・ ・
オケ
んー。かなり年月も経ってるからなぁ。
そんなある日、
老婆
オシハ様の遺骨が埋められている場所を、ワシはとてもよく知っております。遺骨の歯を見れば、本人かどうかも知ることができるでしょう。
と申し出た。
周囲の人間は、みすぼらしい老婆が金欲しさに嘘でもついているのだろうと白い目で見たが、
そしてその土地の人に頼んで、老婆の言った場所を掘り起こさせると、本当に三枝に別れたような八重歯の付いた骨を見つけることができた。
顕宗天皇
・ ・ ・ この八重歯 ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 父上の ・ ・ ・ 本物だ。
顕宗天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ っっ。
顕宗天皇
うわっ、兄ちゃんが泣いた!!!
オケ
いやこれ泣くやつでしょ ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ うん ・ ・ ・ ・ ・ そだね、泣いちゃうやつだ。
2人は
また、オシハが雄略と狩りに出るキッカケを作ったカラブクロの子供には御陵を守る仕事をさせて、罰とする。
それからしばらくして、遺骨は都に移すことになり、オシハはやっと家族のもとに帰ることができた。
市邊之忍歯
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
この件で老婆をえらく気に入った
さらに、「見たことを忘れなかった」という意味のある『
さらにさらに、手厚く皇居の中にまで招き入れて、たくさんの愛情を持って
オケ
まさか、このタイミングで顕宗陛下が熟女にお目覚めになるなんて ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
いや、違うし。
オケ
でも流石に
顕宗天皇
そんなことないよ。だって、
オケ
うぅん ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
だからね、皇居の近くに家を作って毎日呼んでるんだ。
オケ
知ってる。その上で、このデカイ『鈴』はどうかと思って抗議をしに来た。
顕宗天皇
あ、これ?いいでしょ!!
ちなみに鈴って言っても神社にかかっているあの可愛いやつではなくて、よく発掘調査で出てくる青銅製の
当時でも希少価値の高い、かなりの高級品。
オケ
いや、どう考えたって、やりすぎだろ。
オケが至って冷静な意見を述べる。
顕宗天皇
そんなことないよ。
そう言うと、
顕宗天皇
オケ
はっ。幼い頃に
顕宗天皇
何を言ってるんだい??ここにいるよ、ブラザー★
オケ
オレには、見えねぇ。
顕宗天皇
えぇっ!!兄ちゃん冷たいよぅっっ!!!
オケ
!?
勢いよく扉が開き、オケが驚いて視線を向けると、息を切らした置目が立っていた。
オケ
早っ!!
置目
はぁ ・ ・ ・ はぁ ・ ・ ・ 顕宗様 ・ ・ ・ ・ お呼びで ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
あっ!置目っっ!!!
顕宗天皇
置目!何かまた楽しいお話、聞かせてっ!!
置目
えぇ ・ ・ ・ ・ 今日は何をお話しまょうかねぇ。
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
まるで、母親に甘える子供みたいだ。
オケは何も言えずに視線を逸らした。
しかし、ただでさえ年を取っていた
置目
ワシはとても老いてしまいました。自分の故郷に
と言い出てくる。
顕宗天皇
置目ぇ ・ ・ ・ ・
そして、お見送りをして歌を詠い出す。
顕宗天皇
置目〜淡海の置目〜〜明日からは山に隠れて見えなくなっちゃうのかなぁ~~
置目
顕宗様、ありがとうございます ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうか、お元気で。
顕宗天皇
うわああああん ・ ・ ・ ・ 置目えぇぇぇ!!!!
こうして、置目を見送った次の日、
何度鳴らしても置目は来てくれなかったが、代わりにオケが顔を覗かせる。
顕宗天皇
兄ちゃん ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケ
ヲケ ・ ・ ・ ・ ・ ・ みんなに迷惑かかるからやめなって。
そして、頭をポンポン撫でられる。
顕宗天皇
兄ちゃん ・ ・ ・ !!
最近仕事で忙しくしているオケが、かまってくれたのが嬉しくて、その次の日もその次の日も鈴を鳴らすと、さらにその次の日。
顕宗天皇
あ!兄ちゃんっ!!
しかし、今日はオケ1人じゃないようだ。
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
あれ?兄ちゃんの後ろの人たち誰??大工さん??
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケは無言のまま大工らしき人物を率いて大極殿に押し入った。
顕宗天皇
・ ・ ・ ・ 兄ちゃん?
オケ
やれ。
顕宗天皇
えぇっ!?何何何してんのっっ????
大工たちがオケの指示で、急ピッチに鈴の撤去作業を始める。
顕宗天皇
ギャーー!!やめてぇぇーーー!!!!
オケ
調子にのるな。
オケは
ところで、
顕宗天皇
と、言うわけで。続いて行きます!
顕宗天皇
僕が天皇になったら、やりたかったこと第二弾!!!
オケ
おぉー。置目が帰って少しは仕事する気になったかーー。
顕宗天皇
オケ
・ ・ ・ ・ ・ ・ 誰だっけそれ。
2人が幼い頃、逃走した時に弁当を盗んだ
おそらく、読者の98%がすでに忘れ去っているこの事件を、
オケ
あー ・ ・ ・ なるほどねぇ。
顕宗天皇
オケ
確かに、あれはムカついたな。でも、オレは仕事が立て込んでるから、今回はパス。
顕宗天皇
えぇーっ!?
顕宗天皇
ふっふっふ!!見つけたよ、猪甘っっ!!!
猪甘
まさか、あの時のガキが??
顕宗天皇
ふんっ!天皇になるなんて思わなかったでしょ?
猪甘
それは、素性も知らずにすみませんでした。許してくださ ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
無理。
猪甘
っっああ??なんだ、こっちが下手に出りゃナメやがって!!許せよ。天皇ってのは誰にでも
顕宗天皇
はぁぁ??そんな態度で許すわけないじゃん!!だいたい、あのお弁当には母上が作ってくれた僕の大好きなミートボールが入ってたんだよ!?超ひどくない???超最低!!!!
猪甘
ああ??ミートボール??覚えてねぇよ!!!!
顕宗天皇
なっ!?反省の色なしっ!極刑!!!!
とブチ切れ、
食べ物の
さらに彼の親族まで、全て足の腱を切られるというトバッチリを受ける。
それ以来、
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