日本神話『イザナギとイザナミ』
イザナギとイザナミ
ミナカヌシに国造りを頼まれたイザナギは、
イザナギ
なんか、『国造りをしてこい』とか言って、こんな矛を渡されたけど、コレ一本で何ができるっていうんだろう。
イザナギ
つーか、そもそも『国』って一体なんなんだ。
イザナギはとりあえず、自分たちが降りる場所が必要だと思った。
だって地上にはまだ島すら無くて、海の上に油みたいなよくわかんないものがプカプカとクラゲみたいに
イザナギは、イザナミを連れて
すると、葦原の中つ国を見たことのなかったイザナミが無邪気にはしゃいだ。
イザナミ
ねぇ、イザナギ!見て見てっ!!水の上になんか変なのが浮いてるっ。気持ちわるーい!!
イザナギ
・ ・ ・ 超かわいい。
彼女のおかげで少しだけテンションの上がったイザナギは、ミナカヌシに言われた通りアメノヌボコで地上をつっつくことにした。
早速、2人は空を飛んで地上に近づくと、アメノヌボコを海に突き刺し、『こおろこおろ』とハイテンションにかき回して引き上げた。
すると矛の先から塩がしたたり、みるみるうちに固まって小さな島ができた。
思ったよりも簡単に島ができたので、イザナギのテンションは更に上がった。せっかくなのでその島の名前を考える。
イザナギ
ねぇ、イザナミ。この島、オノゴロ
そこで一緒に住むんだ!
イザナミ
わぁ!楽しそぉっ!!
彼の提案をイザナミは大喜びで賛成してくれた。
早速2人はオノゴロ島に、
超うらやましい。
こうして神殿ができあがると、イザナギはずっと前から気になっていた疑問をイザナミに投げかけた。
イザナギ
・ ・ ・ ねぇねぇ、イザナミ。
イザナミ
なに?
イザナギ
君と僕って一緒に生まれたのに、なんか形が違う気がしない??
イザナミ
ん〜。そうね。
イザナギ
君ってどうやって生まれたの?
イザナミ
え〜。う〜んと ・ ・ ・ なんかね、なりなり〜って感じで生まれたんだけど ・ ・ ・
イザナギ
だけど?
イザナミ
あのね、私の体、なりなり〜って成り切らなくって、なんか足りないところがあるの。
イザナギ
へぇ!!僕の体もなりなり〜って生まれたんだけど、なんか、なりなり〜って成りすぎちゃって、余計なものがくっ付いてるんだ!!
イザナギ
ずっと気になってたんだけど、何でなんだろ??
だが、ここはとりあえず知らないフリをする。
イザナミ
うぅん ・ ・ ・ なんでかしらね?
しかし、イザナギは早々に答えを導き出してしまう。
イザナギ
ねぇ!もしかしたらさ、君の足りたいところを僕の余計なところで埋めたら、なんか良いことが起きるんじゃないかな??
イザナミ
えっ!?ヤんのっっ??
イザナギ
ん??やる??何を???
予想外の展開にイザナミは戸惑った。
イザナミ
いやいやいやいや ・ ・ ・ 女子の足りないところを男子の余分なところで補う『アレ』って言ったら『ソレ』しかないだろう。
そう思いながらも念のため確認をする。
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ 本当に分からないの?カムムスビ様に『まぐわい』のこと、あれやこれや詳~しく聞かされなかった??
イザナギ
まぐわい??なにそれ。
イザナミ
いや ・ ・ ・ だから ・ ・ ・ その ・ ・ ・ ・ ・
イザナギ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ?
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ まぐまぐするやつ。
イザナギ
??
だから、まぐまぐってなんだよ ・ ・ ・ さっさと教えてよ。
イザナギは少しイライラした様子で答える。どうやら本当に分からないらしい。
イザナミ
うぅん ・ ・ ・ ・ ・ ・ わかった。じゃあ、教えてあげる。
イザナギ
やった!
イザナミ
でも、その前にしたいことがあるの。
イザナギ
何?
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 結婚。
イザナギ
結婚??
イザナギ
わぁ。楽しそうっ!!なんだか、大人な展開だね!!
イザナミ
いや。まぐわう時点で大人な展開なんだけど。
とイザナミは思ったが、そこはスルーした。
イザナミ
とりあえず、
彼女は結婚式の準備をそそくさと進めた。
こうして準備が整うと早速、日本初の結婚式が始まった。
イザナミはいつもより豪華な衣装を身に纏い、とっても幸せそうだ。そんな彼女に見とれていたイザナギは、いざ本番になるとガチガチに緊張した。
イザナギ
・・・・・
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・
2人はまず、神聖な柱の前に、背を合わせて立った。
そして、柱の周りをイザナギは左から、イザナミは右からくるりと周り、出会ったところでハイテンションのイザナミから声をかける。
イザナミ
まぁ!なんて素敵な方なんでしょうっ!!
続いてイザナギがドキドキしながら、ぎこちない返事を返した。
イザナギ
ワァ。なんてキレイなヒトなんだ。
こうして、日本初の結婚式は、あっさりと終わった。
イザナミ
よし!これで、結婚成立ねっ♪
イザナミはとっても満足気だ。一方のイザナギは一瞬で終わってしまった結婚式に戸惑っていた。
イザナギ
え??早っっ!!本当にこれでいいの??てか、僕の方から、声掛けた方がよかったんじゃない??
イザナミ
いいのいいのっ!さっ、お布団に行きましょ♪♪
イザナミは、イザナギの手を引っぱりさっさと寝室に向かった。
イザナギ
えっ??イザナミ??ちょと ・ ・ ・ 待ってよ!!何すんの????
イザナミ
何って、まぐまぐするに決まってるじゃない。
イザナギ
え、だから、まぐまぐってなにって??なっ、なっ、えっっ、何何何???? ・ ・ ・ ちょ ・ ・ ・ 待っっっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ !!
こうして2人はトントン
すると、イザナミはすぐに
しかし2人の間に最初に生まれた子供は、ヒルのような形をした『ヒルコ』だった。ちゃんとした島にならなかったので、仕方なく小さな船に乗せて海に流すことにした。
2人はまたまぐわったが、次の子も海にふよふよと浮く泡のようで、できそこないの『
こうして2回もちゃんとした子供を産めなかったイザナミは意気消沈してしまった。
イザナミ
・・・・・・・
いつも笑顔のイザナミが体育座りのまま動かない。
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ていうか、すんげー負のオーラが出ている。めっちゃへこんでる。
イザナミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
イザナギ
そうだっっ!!
イザナミ
!?
イザナギ
高天原へ行こうっっ!!!
イザナミ
!!
困ったイザナギは彼女を励まそうと、2人で
ミナカヌシ
わぁ〜!おかえりなさぁ〜い!!
2人が久しぶりに
事情を話すとミナカヌシはおもむろに
ミナカヌシはピリピリと亀裂の入った骨を見ながら、2人に質問を投げかけた。
ミナカヌシ
うーーん ・ ・ ・ もしかして、結婚式の時、イザナミの方から声をかけた??
イザナミ
はい ・ ・ ・ ・ ・
そうイザナミが答えると、たまたま同席していたオネェのカムムスビが、横から間を入れずに声を上げた。
カムムスビ
んもぉ!それじゃぁダメよ!
イザナギ
へ??
カムムスビ
プロポーズは男性からしなくっちゃ!!
イザナミ
なっ!!
イザナギ
なるほどっ!!
こうして、子供がうまく産めなかった原因にえらく納得した2人は、カムムスビに何度も何度もお礼をいうと、最後までアドバイスを言い切れなかったミナカヌシの
余談だが、ミナカヌシの出番はこれで終わりだ。
ミナカヌシ
え。
さてさて。
家に帰ると2人は再び結婚の儀式を行った。神聖な柱をくるりと周り、今度はイザナギの方から声をかける。
イザナギ
わぁ!なんて素敵な女性なんだ!
そして、イザナミもこれに答えた。
イザナミ
まぁ!なんて素敵な殿方なんでしょう!!
こうしてサラッと2回目の結婚式を終えた2人がまぐわうと、今度は次々と立派な島が生まれてきた。
2人は最初に産まれた島を『
次に生まれたのは
この子は、体はひとつなのに顔が4つもついていた。なのでそれぞれに、エヒメ、イヒヨリ、オホゲツ、タケヨリと名前をつけた。
次に、
次に、
この子も体がひとつのくせに顔が4つもあったので、それぞれに、シラヒ、トヨヒ、ヒムカイ、タケヒと名前をつけた。
そして、
これらの島々は、
イザナミ
可愛い可愛い『
と呼ばれた。
だいたい国の形ができ、イザナミは大満足だった。
しかし、
イザナギ
いや!まだ人が住むには
というイザナギの必死の訴えによって、2人はまたまぐわい、
こうして何も無かった海の上に島々が並び、今の日本の元となる形ができあがったのだった。