天皇記『神武天皇の即位』
神武天皇の即位
ナガスネビコとの決戦から数日後、彼が仕えていると言っていたニギハヤヒがイワレビコの元に尋ねて来た。
聞くと彼も確かに高天原出身の天つ神で、天照大神の御子がこちらに降りたと聞いたので、慌てて後から追いかけて来たというのだ。その証にと高天原から持って来た神宝を献上し、イワレビコに仕えたいと頭を下げてきた。
イワレビコ
・ ・ ・ なるほどな。やっと辻褄が合ったよ。じゃあ、ナガスネビコさんは?
ニギハヤヒ
はい。彼にも事情を説明したのですが、私が国を治めるべきだと聞かずに、また攻めると剣を取ったので ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 死罪に。
イワレビコ
えっ?
イワレビコ
そうでしたか ・ ・ ・ ・ ・ ・
こうしてニギハヤヒはイワレビコに仕えることになった。このニギハヤヒの子孫が、後の物部氏となる。
また死罪になったナガスネビコだが、血筋は途絶えずに、戦国武将で有名な織田家や伊達家の始祖となる。まぁ、確かに言われてみれば、馬の上で指揮を執るのも、フィギュアスケートで美しく滑るのも、スネが長い方が向いていそうだ。
ナガスネビコが死罪になったとの報告を受け、久米兵は大いに盛り上がり、朝まで飲んで歌って踊って楽しんだ。
一方、イワレビコはどうも仲間と一緒に盛り上がる気分になれず、月を肴に独り酒に浸っていた。
イワレビコ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 兄貴、やっとここまで来たよ ・ ・ ・
イワレビコ
平定の旅もあと少しだ。
その後もイワレビコは久米兵と共に各地を回り、大和の地を平定すると奈良県の
そして辛酉年の春正月に『初代
ついに天下を治めることとなった。
神武天皇
天皇に ・ ・ ・ ・ なってみた。
ミチノオミ
・ ・ ・ ・ !!
オオクメ
おぉ!旦那、王様みたいっすね!!
神武天皇
王様だっつの、バカっ!!
ちなみに、「天皇」という言葉をはじめて使ったのは聖徳太子だと言われていて、彼は今から約1400年前の人なので、さらにもっと前の当時はまだ
『神武』という名前も、
本当は『はつくにしらすすめらみこと』とかいう名前がちゃんとあるのだが、長いし他にもたくさん名前持ってるし、覚える気にもなれないので、これから出てくる天皇もみんな
神武は即位すると、早速、
神武天皇
わぁ〜!景色、綺麗だなぁ〜!!
オオクメ
そっすね!
神武天皇
けっこう、人出てるんだな。もう春だもんな〜。
オオクメ
ほんとだ。
神武天皇
戦があったから心配してたけど、あまり生活に影響が出なかったみたいでよかった。
神武天皇
この国の国民は、みんな『
オオクメ
はぁ?おおみたから??なんすかそれ。
神武天皇
みーんな大切な宝物って意味だよ。
オオクメ
ふーん?
神武天皇
日本は、イザナミとイザナギが産んで、オオクニヌシが豊かにして、アマテラスが譲ってもらった大切な国だから。
神武天皇
神様たちが『人々が幸せになりますように』って想って造ってきた国だからさ。
この国に住んでる人たちはみんなみんな大切な宝物なんだ。
オオクメ
へー。
オオクメ
なんかイイッすね!
神武天皇
だろ??誰が最初に言い出したのか知らないけど、昔からそーやって言い聞かされてきたんだよな。
神武天皇
ま、神話なんて、どっからが本当なのか分かんないケド。オレ、日本のこーゆう考え方とか、大好きなんだよね。
オオクメ
ふーん。
オオクメ
へへっ!したら、俺も旦那の
神武天皇
えっ?
神武天皇
あぁ ・ ・ ・ ・ まぁ ・ ・ ・
オオクメ
なんすか。その、嫌そうな顔。
ここで、ちょっぴり日本のはじまりについて補足する。
実はこの初代天皇の即位、つまり日本が建国した正確な年については、正直なところ昔のことすぎていつなんだかサッパリわからない。
ていうか、イワレビコの存在すら疑われている。
神武天皇
まじでか。
オオクメ
ドンマイ、旦那!!
でも、日本書紀の記述から逆算して西暦にすると紀元前660年2月11日になる。
この2月11日が、現在の日本の『建国記念の日』だ。
その不確かな日を建国記念の日にすることについては戦後かなり議論があったらしいが、
『そこはさ?目を瞑ってさ??1300年の間、日本人が残した歴史を、そのまま信じようよ?だってそーいうのって、科学とか考古学の話しじゃなくない??ロマンじゃないっ!?』
とかいう話しにでもなったんだろう。
だって、日本はギネスブックにも登録されている世界最古の王家が残る国なのだ。分からなくたって、しょうがない。
ちなみに、何で正確な年がわからないのに世界最古に認定されているのかというと、2位のデンマークが、8〜10世紀くらいのスタートだから。古事記や日本書紀が書かれたのが8世紀なので、それよりも前から王家が続いている日本が1番古い王国ってことになる。
とにかく、この日本っていう国は、人と神との境がまだ曖昧だった頃。文字すら無かった大昔に『どっかの誰かさん』が、大和で