天皇記『仁賢天皇』
仁賢天皇
顕宗天皇
大好評企画『ヲケ皇子が天皇になったらやりたかったコト★』
第三弾は最終回ですっ!!!
オケ
ちょ。待った。ヲケ ・ ・ ・ じゃないや、
仁王立ちする
顕宗天皇
兄上っ!!!
オケ
へっ??
顕宗天皇
父上を殺して、僕らの人生を狂わせた人物は誰ですかっ???
オケ
あーー。雄略 ・ ・ ・ ・ ・ 天皇?
顕宗天皇
そう!!アイツのこと、許せますかっっ???
オケ
いや、そりゃ、許せないけどさ。でももう死んでるし。
顕宗天皇
でもまだ、魂があるっっ!!!
オケ
はあ。
顕宗天皇
そこで、アイツの御陵をメッタメタに壊して、骨までバラッバラにしてやりたいと思いますっっ!!!!!
オケ
あーー。なるほどなるほど、おっけ、わかった。取り急ぎ、この状況は理解した。
顕宗天皇
よぉぉーし!!それじゃあ行くぞぉ、やろぉどもぉぉーー!!!
オケ
いやいやいやいやいや ・ ・ ・ ・ ちょっ、待て!!
君らもストーーップ!!!!
オケは慌てて
顕宗天皇
へ??
オケ
顕宗さ。いっぺん、落ち着こう。な??
顕宗天皇
なんでだよ。邪魔すんなよ、兄ちゃん。あんなヤツの御陵、さっさと壊しちゃおうよ。
オケ
いや、わかるよ?顕宗がやりたいことはよぉぉーくわかる。でも、ちょっと、お兄ちゃんの話聞こうか。
顕宗天皇
え??
オケは
オケ
アイツの御陵を壊したいんだよな?
顕宗天皇
そう。メッタメタに。
オケ
おっけ。そうだよな ・ ・ ・ ・ わかるよ?
顕宗天皇
でしょ?
オケ
うん。でもさ、あの御陵を破って壊すのは、他の人に任せることじゃない気がするんだ。
顕宗天皇
え、なんで。
オケ
だって、これはオレら兄弟の
顕宗天皇
あーーー。確かに。
オケ
だろ?だからさ、オレが自分でアイツの御陵まで行って、顕宗陛下の御心のままに、ちゃんと破って壊してきてくるから。
顕宗天皇
え、兄ちゃんが??
オケ
そ。だから、この人たちいっぺん解散させよう。
顕宗天皇
ええーーー。せっかく来てもらったのに。
オケ
な?頼むよ。
顕宗天皇
うぅん ・ ・ ・ ・ わかった。
オケ
よし、いい子。
顕宗天皇
そしたら、兄ちゃんが行って壊してきてよね!
オケ
もちろん。顕宗陛下の仰せのままに。
こうしてオケは自分で雄略の御陵に行くことになった。
オケ
はぁ ・ ・ ・ ・ アイツもなかなか幼さが抜けないな。
オケ
まぁ、オレも甘やかし過ぎてる自覚はあるんだけどさ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オケは雄略の立派な御陵の前に立ち、腕を組んで見上げる。
オケ
すみませんね、雄略天皇。
オケ
オレもそれなりにアンタのことを恨んでるんだ。
そして、その御陵の端っこをちょっぴりだけ掘り起こす。
オケ
これでよし。
そう言うと、満足げに
顕宗天皇
あれ?兄ちゃん??
オケ
ただいま。もう、掘って壊してきたよ。
しかし、その早すぎる帰りに顕宗は不審がってオケを問い詰める。
顕宗天皇
えっ??もう帰ってきたの??早すぎじゃない???どうやって壊したんだよ。本当にちゃんと壊したの??
オケ
もちろん。御陵の端っこの土をちょっぴり掘り返してきたから。
顕宗天皇
はぁぁ??
顕宗天皇
兄ちゃん、何言ってんの????父上の
オケ
落ち着けって。なんでそうしたのか、ちゃんと話すからさ。
顕宗天皇
なんで、少ししか掘って来なかったんだよっ!!
オケ
そりゃオレだって、父上の無念を晴らすために、雄略の魂をもって
顕宗天皇
もちろんでしょ。
オケ
でもさ、顕宗。確かに、雄略は父上の仇ではあるけれど、辿れば親戚のおじさんだ。
顕宗天皇
うーん。おじさんってほど、近い感じもしないけど。
オケ
でも親戚だろ?
顕宗天皇
うん。
オケ
それに、あの人だって、天下を治めた天皇だったんだ。
顕宗天皇
大悪天皇ね。
オケ
それでも天皇だし、有徳天皇なんて名前も残ってる。
顕宗天皇
うぅん。
オケ
にもかかわらず、『父上の仇だから』っていう、一方的な今の考え方だけで、顕宗の前に天下の全てを治めていた天皇の御陵を破壊しちゃったら、後世の人たちは絶対にお前のことを
顕宗天皇
うぅーーーん。
オケ
オレは、後世の人たちに『顕宗天皇は、悪い人だった』なんて思われたくないんだよ。
顕宗天皇
・ ・ ・ ・ 兄ちゃん。
オケ
とは言え、オレだって恨みはあるし、父上の無念だけは報いたいと思ってな。だから、その御陵の端っこを少し掘ったんだ。
オケ
あの人、カッコつけでプライド高そうだったからな。自分の御陵の端っこが欠けてたら、絶対に恥ずかしくて嫌がるはずだ。
顕宗天皇
へへっ。確かに。
オケ
この恥をもって、後世の人たちにも示すことができたなら、それで十分なんじゃないか?
顕宗天皇
うぅん ・ ・ ・ ・ ・ ・
顕宗天皇
そうだね。 ・ ・ ・ 兄ちゃんは優しいな。
オケ
いや。むしろ、全破壊したらそのうち片付けられちまうけど、今のままの方がちゃんと後生まで形が残るから、『あれ?あの御陵、なんで端っこかけてるの??』『ああ、あれはね、昔、大悪天皇って呼ばれた天皇が、人からたくさんの恨みを買ってね、』なんて話すキッカケになって、代々語り継がれ、
顕宗天皇
うん、ごめん。前言撤回。兄ちゃんってさ、隠れドSだよねっ!!
オケ
あはは。それはまぁ、半分冗談として。
これで、納得した??
顕宗天皇
うん ・ ・ ・ ・ 納得した。なんか、そっちのが真をついてるもん。
顕宗天皇
兄ちゃんの言う通りだ。わかったよ。
オケ
そぅ ・ ・ ・ ・ ・ ・ よかった。
その後もオケは事あるごとに
オケはひどく悲しんだが、弟の後を継いで
オケこと
仁賢天皇の御代はとても穏やかだったそうだ。
さてさて。
古事記は現存する日本最古の歴史書なので、これからも日本の歴史はまだまだ続いていくのだけれど・・・
とりあえず、長かった日本のはじまりの物語は、ハッピーエンドで締めよう。
やがてこの、期待値が高すぎる名前を授かった、小長谷若雀命が
ただ、欠史八代とは違って、日本書紀には詳しい業績が載っているので、古事記に書くほど古い時代ではなくなってなくなってしまったということなのだろう。
ここでも、欠史八代同様、サラッと名前だけ載せておく。
24代 仁賢天皇、25代 武烈天皇、26代 継体天皇、27代 安閑天皇、28代 宣化天皇、29代 欽明天皇、30代 敏達天皇、31代 用明天皇、32代 崇峻天皇、33代 推古天皇。
以上で、昔の日本人が代々残してくれた歴史は全て終わりだ。
最後は
そう。あの
現在の教科書では、ほぼトップバッターの天皇として出てくる彼女が、古事記ではラストを飾っている。
その彼女が出てくるまでの長い長い日本の歴史をココまで読んでくれて、ありがとうございました。
慣れない文章でお見苦しいところもたくさんあったと思うけれど・・・それでも、あなたの中に日本の歴史を1ページでも増やせて、今まで以上に日本のコトを『大好き!』って感じてもらえたなら、最高に幸せです。
こんなに素敵な歴史を積み上げてきてくれた、"すめらみこと"と"おおみたから"のみんなみんなにたくさんの感謝を。
そして、これからもずーっとずーっと素敵な歴史を刻めますように。
本当にありがとうございました。
大好きな大好きな日本に。愛を込めて。
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※ストーリーの時系列上、原文のリンクがズレています。ご注意ください。