日本神話『アマテラスの憂鬱』

アマゾンキャンペーン

オモヒカネ、アマテラス

アマテラスの憂鬱

度重なる失敗に、アマテラスは意気消沈していた。鳴女とワカヒコの死が相当こたえたのだろう。

アマテラス

アマテラス

ねぇ、オモヒカネ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうしよう。

オモヒカネ

オモヒカネ

どうしようって ・ ・ ・ 随分と大雑把なフリですね。

アマテラス

アマテラス

ぶぅ。だって話が全然、前に進まないんだもん。むしろ悪化してるじゃない。

オモヒカネ

オモヒカネ

そうですね。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ねぇ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 私 ・ ・ ・ 間違ってたのかな ・ ・ ・ ・ ・

今日は珍しく弱気だ。いつものワガママ娘の影も無い。オモヒカネは少し考えてから慎重に言葉を選んで答えた。

オモヒカネ

オモヒカネ

私は、アマテラスが間違っているなんて思っていませんよ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも、きっとオオクニヌシも間違っていないんです。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ なんであのチャラ男が間違ってないのよ。あんな他力本願で作った国なんて長く持つわけないじゃない。海外から攻められたら一発で滅びるわよ。

オモヒカネ

オモヒカネ

他力本願だろうと彼は人の為を想って国を作りました。それは間違ったことではないでしょう?証拠に彼は皆から好かれている。

アマテラス

アマテラス

でも ・ ・ ・ それなら最初から何もしなければ良かったんじゃない?そしたら鳴女もワカヒコも死なないで済んだもの。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ やっぱり私が間違ってたのよ ・ ・ ・

オモヒカネ

オモヒカネ

アマテラス ・ ・ ・ なぜそうやって片方を間違いにしたがるんですか。双方が正しくても対立することは珍しくありません。

アマテラス

アマテラス

だって ・ ・ ・ ・ ・ ・

アマテラスの目からは今にも涙が溢れそうだった。いつもこのくらい潮らしくしてくれれば可愛いのに。

オモヒカネ

オモヒカネ

貴方は、オオクニヌシよりも、天つ神が治めた方が人々を幸せにできると考えたのでしょう?それは正しくないんですか?

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 傲慢じゃない?

オモヒカネ

オモヒカネ

トップの仕事は方針を決める事です。それは傲慢と呼びません。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

オモヒカネ

オモヒカネ

我々だって、完璧ではない。どんな難問も一発で解決できるような手段を常に持っている訳ではないんです。失敗したなら、そこに学び手段を変えればいい。

重ねますが、私は貴方の方針が間違っているとは思わない。

オモヒカネ

オモヒカネ

元々は、貴方のご両親が作った国じゃないですか。私も天つ神が治めた方がより良い国にできると思っていますよ。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ りがと。

アマテラスは袖に顔を埋めてくしゅくしゅっと涙を拭くと鼻息荒く決意に満ちた表情に変わった。どうやら何か吹っ切れたらしい。

アマテラス

アマテラス

・ ・ ・ ・ ・ ・ ちょっと、オモヒカネ?こーゆう時はね、次に取る行動が大事なの。何かいいアイディア出しなさいよ!!

オモヒカネ

オモヒカネ

って、これは他力本願じゃ無いのか??

まぁ、取り敢えず元気になったみたいだからいいけど。

オモヒカネ

オモヒカネ

そうですね ・ ・ ・ ・ ・ ・ ワカヒコの件で、出雲は警戒心を強めています。次は、武力のあるものを向かわせた方が良いでしょう。最悪、戦争と言うことにもなり兼ねませんが ・ ・ ・ 良いですか?

アマテラス

アマテラス

ふん!ここまで来て『はい、やめます』なんて言わないわよ。この国を返してもらうの。それだけの事よ。

オモヒカネ

オモヒカネ

わかりました。では、天安河の川上にイツノオハバリという男が住んでいます。彼の息子のタケミカヅチを遣わすのが良いでしょう。

オモヒカネ

オモヒカネ

更に加え、空を飛ぶ船の神、アメノトリフネも一緒に向かわせます。彼は、戦艦のように迫力があるので、戦力に圧倒的な差があることを見せつけることができます。そうすれば、わざわざ剣を持って戦おうなどとは思わないでしょう。

アマテラス

アマテラス

うん。ありがとう、オモヒカネ ・ ・ ・ 次で最後にしましょう。

オモヒカネ

オモヒカネ

えぇ。大丈夫です。次こそ成功しますよ。

そう言って微笑むと、オモヒカネは出雲に遣いを出す手配に向かった。

オモヒカネ

 

ラノベ訳で続きを読む

原文を確認する

ラノベ古事記がついに書籍化しました!!

サイトで読んでくださった方も楽しんでいただけるように、さらに愛を詰め込みました!!日本神話だけでかなり分厚くなっちゃいましたが、ポチっと応援していただけたら喜びます!!

 『ラノベ古事記』を購入 > 

アマゾンキャンペーン

スポンサードリンク

Amebaマンガは古事記関連の漫画が充実!また、U-NEXTからはラノベ古事記の購入が可能です。無料のおまけの方が豪華なので、よければご利用ください!

人気の記事


日本の神話「古事記」 おすすめ本

古事記(池澤 夏樹)

古事記

現代語訳がとにかく丁寧で美しくて読みやすい作品です。上段に現代語訳、下段に解説が書かれています。現代語訳だけであれば、1日でサラッと読めます。

現代語古事記(竹田 恒泰)

現代語古事記

明治天皇の曾孫にあたる、竹田 恒泰先生の作品です。現代語訳は少し固い印象ですが、解説が面白いのでスラスラ読めてしまいます。日本が好きになります。

愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記

まんが古事記

おそらく、一番売れている古事記本です。ふわ先生の初版サイン付きの本を持っているのが自慢。優しいイラストとわかりやすい漫画でスイスイ読めてしまします!