日本神話『オオクニヌシの国造り』
オオクニヌシの国造り
さてさて。
女性に関しては、国を制したと言っても過言では無かったオオクニヌシだが、肝心な国造りは全然進んでいなかった。
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オオクニヌシ
うーん。だいたい、噂になってる子はコンプしたし、そろそろ国造りやらなくちゃなぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・
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オオクニヌシ
国造りか ・ ・ ・ 正直めんど ・ ・ ・ ・ ・ ・ いや、でも、オオクニヌシなんて立派な名前もらっちゃったし ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうしよっかな。
オオクニヌシは、悩みがあると、よく出雲の美保関に行った。
そこで海をぼぉーーーっと眺めていると、遠くから船が漕ぎ寄って来るのが見えた。しかし、近付いても近付いても大きくならない。目の前まで来て、やっとその理由がわかった。それはガガイモの実を削った10cmほどの船だったのだ。
中には小さい神が乗ってる。服のサイズが無いのだろう。蛾の羽を纏っていた。
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オオクニヌシ
・ ・ ・ ・ ・ ・ こんにちは。君は?
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スクナビコナ
・ ・ ・ ・ ・ ・
しかし、返事がない。こっちを凝視しているので、言葉は通じてはいそうなのだが。
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オオクニヌシ
喋れないの??
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スクナビコナ
・ ・ ・ ・ ・ ・
・・・やはり返事はない。超気になる。
散歩に付いてきていた家来たちにも知ってるか聞いてみたが、誰もわからなかった。しかし、道端にいたヒキガエルの神に聞くと、カカシの神のクエビコなら、知ってると教えてくれた。
特に抵抗もしなかったので、小さい神を肩に乗せてクエビコの元を尋ねると、クエビコはカムムスビの子供のスクナビコナだと教えてくれた。
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オオクニヌシ
カムムスビ様か ・ ・ ・ ・ ・ ・ あのオネェ、正直ちょっと苦手なんだけど ・ ・ ・ 。でも、命の恩人だしなぁ。
まぁ、せっかくだ。お礼も兼ねて、高天原まで確かめに行くか。
こうして、オオクニヌシは高天原に向かった。
宮殿に着き、侍女に部屋まで案内されると、ハイテンションのカムムスビが迎えてくれた。
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カムムスビ
あっらー!!オオクニヌシくんじゃなぁいっ!!来てくれたのねぇ~嬉し~〜い♪♪あれから随分立つけど、やっぱり、タイプだわぁ!!生き返らせて、本当、良かったぁ〜~!!
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オオクニヌシ
うぅん ・ ・ ・ ・ ・ ・ やっぱり、この女子とは言い切れないテンション、苦手だ。
しかし、嫌味のない営業スマイルはオオクニヌシの得意分野だった。
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オオクニヌシ
・ ・ ・ カムムスビ様、お久しぶりです。あの時は本当にありがとうございました。あなたがいなかったら、今の私はありませんでした。
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カムムスビ
いいのよぉ!気にしないでっ!!
カムムスビはとっても上機嫌だ。
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オオクニヌシ
ところで今日は別件なんです。出雲でこの小さい神を拾ったんですけど、あなたのお子さんだと聞いて・・・
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スクナビコナ
・ ・ ・ ・ ・ ・
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カムムスビ
あら!スクナビコナじゃない。良かったわぁ。見つけてくれてありがとう。この子ったら、小さすぎて、指の隙間から落ちちゃったのよ。
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オオクニヌシ
そうでしたか。
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カムムスビ
えぇ。でも、ちょうどいいから、お礼に国造りを手伝わせましょうか?
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オオクニヌシ
えっ、国造りを?
スクナビコナに気を取られて忘れていたが、そもそも国造りに悩んで美保関に行ったことを、オオクニヌシは思い出した。
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オオクニヌシ
あ。そういえば。 ・ ・ ・ 実は、国造りの方向性を悩んでいたんです。スクナビコナさんの力を貸していただければとっても助かります。
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カムムスビ
よかった!!オオクニヌシくんのお役に立てて嬉しいわぁ〜。ね、スクナビコナ、オオクニヌシくんのお手伝いをするのよ。わかった?
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スクナビコナ
うんっ!まかちょ~け~!!
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オオクニヌシ
うわっ!喋った!!しかもテンション高っ!!
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オオクニヌシ
スクナビコナさん、よろしくね。
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スクナビコナ
ハイサイ!うにげ~さびらっ!!
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オオクニヌシ
・ ・ ・ ・ ・ ・ 何なんだこのキャラは。
オオクニヌシがリアクションに困っていると、カムムスビがフォローを入れた。
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カムムスビ
ごめんなさいね、オオクニヌシくん。この子、琉球に憧れてて。
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オオクニヌシ
あぁ、なるほどね。いるいる。無駄に方言、真似したがる人。
でも琉球はまだ日本じゃないし。ややこしくなるから、変に設定持ち込まないで欲しいな。
オオクニヌシはカムムスビにお礼を言い出雲に帰ると、早速スクナビコナと2人で国造りをはじめた。彼は見た目によらず、山や丘を作るのが得意だった。国造りは順調に進み、みるみるうちに国の形が整った。
そんなある日、オオクニヌシは肩にスクナビコナが乗っていないことに気付く。心配になり、そこらじゅうを探したが見つからない。
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オオクニヌシ
まずい ・ ・ ・ ・ ・ ・ 知らないうちに潰しちゃったかな ・ ・ ・
しかし、机の上に小さな手紙が置いてあるのを見つけた。サイズ的にスクナビコナからだろう。手紙を開くと、辛うじて読めるサイズの文字が並んでいた。
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オオクニヌシ
あげっ!!クソ。あいつ、国造りの途中でバカンスに行きやがった!!
しかも、帰ってくるつもりねぇだろコレ!ていうか、こっちじゃ『ニライカナイ』って言わないから!!
『
全部、『
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オオクニヌシ
くそっ!!僕だって時間さえあれば、誰かヒメと2人でだな ・ ・ ・ ・ ・ ・
あ、いや、現地でちゅらさん調達ってのも ・ ・ ・ ・ ・ ・ あぁ!!くそっ!!うらやましい!!!!
国造りのパートナーを失ったオオクニヌシは、悩んだ時のいつもの場所、美保関のほとりで体育座りをしながら海を眺めていた。
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オオクニヌシ
あぁ、いいなぁ。僕もバカンス行きたいな ・ ・ ・ 。正直、国のために一人で頑張る気になれないんだよなぁ ・ ・ ・ ヒメ達のためならどこまでも頑張れるんだけど。
はぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ なんかまた、国造りに都合のいい神様とか何か現れないかな。僕としては、他力本願のポリシーは貫き通したいところなんですよねぇ。
そんなことを考えていると、突然海が光出した。その光は徐々に近付いて来る。よく見ると、そこには神がいた。今度は初老の神様っぽい神だ。
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オオクニヌシ
おぉ~なんて都合のいい展開!!こんにちは、僕は、オオクニヌシ。君は?
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オオモノヌシ
うむ、ワシはオオモノヌシノ神と言う。お主、国造りに悩んでおるな?
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オオクニヌシ
へぇ!!なんか、もう事情全部知ってますみたいなキャラなのかな??オオモノヌシとオオクニヌシで名前がめっちゃ被ってるのが難点だけど、この際どうでもいいや。
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オオモノヌシ
ワシはお主の御霊の分身だからな。ワシを丁寧に祀れば、手伝ってやらなくもないが?
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オオクニヌシ
へ??分身っ!?そ、そうなんだ ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも、なんだろう。この認めたくない感じ。
それに、祀るって言っても何か実績が無いと、何をどう祀ったらいいものか ・ ・ ・
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オオモノヌシ
祀らなければ、国造りを全力で失敗に追い込む。
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オオクニヌシ
わぉ。それ、選択肢無じゃん。
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オオモノヌシ
どうするんだ?今すぐ決めろ。
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オオクニヌシ
うぅん ・ ・ ・ まぁ、いいか。それなら祀ってあげよう。どうやって祀ればいいんだ?
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オオモノヌシ
うむ。大和の三輪山の上に祀るといい。
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オオクニヌシ
おけー。もともとノープランだったし。ちょうどいいや。じゃーやりますかっ!
オオクニヌシは、早速オオモノヌシを大和の三輪山に祀った。
しかし、気軽に承諾したものの、彼を祀った途端、みるみるうちに豊かな土地が広がり、作物がよく育つようになった。食物に恵まれた出雲は短期間で見事に繁栄し、徐々に国全体も潤った。
こうして富も名声もヒメ達も手に入れたオオクニヌシだったが、ここで
アマテラスが、
そして話しは「地上の