天皇記『神武天皇の妻探し』
神武天皇の妻探し
大和を平定し、平和な日々を手にしたイワレビコ改め
神武は日向の高千穂にも妻と息子が2人いたのだが、
オオクメ
天皇になったからには、ちゃんと皇后とかいた方がいいんじゃないっすか?
という話になったのだ。
この時、神武は既に52歳だったが、神の子だから老けない設定はまだ健在だ。つまり、妻にするには若い子で全然OKってこと。
超、羨ましい。
しかし、天皇に即位しちゃったこともあって、ただ可愛いからOKというわけにもいかなかった。そこで、オオクメは周りに皇后になれそうな人がいないものかと聞き込み調査を開始した。
そしてその日のうちに、ハイテンションで宮殿に帰って来る。
オオクメ
旦那ぁ~!!神の子見つけましたぁ~!!
神武天皇
はぁ??神の子ってそんなにアッサリ見つかるもんなの??
オオクメ
それが、聞いてくださいよ!!なかなか面白い話しでしてねっ!!
オオクメによると、その娘の名前はイスケヨリヒメというらしい。彼女の父がオオモノヌシという神で、母はセヤダタラヒメ。
オオモノヌシと言えば、以前、出雲でオオクニヌシと共に国づくりをした神だ。特に大きな活躍も無かったマイナーなキャラがここでまさかの再登場。そう言えば、
オオモノヌシ
大和にワシを祀れ。
とか何とか言っていた気がする。
オオモノヌシはセヤダタラヒメを見かけると、その美しさに一目で恋に落ちてしまったそうだ。
オオモノヌシ
うーむ。あの乙女は、セヤダタラヒメと言うのか ・ ・ ・ 美しかったのう。
オオモノヌシ
おそらく、こちらの姿で会いに行けば、文句も言われんだろうが ・ ・ ・ ・
しかし、自分は神、相手は人間。気軽にナンパなんかできるわけもない。彼は考えに考え抜いた挙句、ある作戦を思いついた。
そして、その作戦決行当日。
まずオオモノヌシはセヤダタラヒメ姫がよく使っている、『川の上に建てられたトイレ』から少し上流に上がり、川の中に入ると、人に気付かれないよう『朱塗りの矢』に化けて待機した。
しばらくすると、彼女がやって来た。少しそわそわして周りを気にしている。きっと『大』の方だ。
この様子を見たオオモノヌシは
オオモノヌシ
よし、これぞチャンス!
とスタンバイをした。
彼女がトイレに入って少し経つと
オオモノヌシ
今だっ!!
と勢い良く川の流れに乗り、オオモノヌシはトイレの下に入り込む。そしてちょうど彼女の真下まで来ると、その場で跳ね上がり ・ ・ ・ ・ ・ ・
彼女の陰部を思いっ切り突き刺さしたのだ。
神武天皇
ぎゃああああぁぁぁっっっっ!!!!!
オオクメ
うわっ!!びびった。どうしたんすか旦那っ??
神武天皇
馬鹿っっっ!!!!どうしたじゃねーよ!!どう考えたって頭オカシイだろ!!!
どんな思考回路でそんな作戦思いついたんだよっ!!??
オオクメ
ですよねー。でも、それでその後どうなったと思います??
神武天皇
そんなん、作戦失敗に決まってんだろ!即行、ま●こに刺さった矢ァ抜いて折り捨てるわっ!!
オオクメ
いやいやそれがね、そのセヤダタラヒメって姫様も抜けてるところがあってさ、矢が刺さって慌てて立ち上がったんだけど、
オオクメ
その後『まぁ、綺麗な矢。』とか言って自分の部屋に持ち帰ったんだと。
神武天皇
・ ・ ・ ・ ・ ・ ありえない ・ ・ ・ ありえない!!!!
オオクメ
そんでその矢を枕元に置いて寝てたら、矢がイケメンに変わって、オオモノヌシは無事に想いをと遂げることができたそうです。
オオクメ
そんで、できた娘ってのがさっき言ってたイスケヨリヒメってわけ。
神武天皇
イケなら何やってもいいのかよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ この世は不公平だ。
オオクメ
いや、んなこと旦那に言われても説得力ねーっすよ。
神武天皇
・ ・ ・ じゃあ、その娘っていうのが?
オオクメ
そっ!神の子ってわけ。しかも、幼少期はホトタタライスキヒメって名前だったらしいです。
神武天皇
ホトって・・・モロ「ま●こ」って意味じゃねーか。超可哀想。親考えろよ ・ ・ ・ 絶対イジメられて育ったよ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
オオクメ
幼少期のあだ名、ホトちゃんだって。斬新なキラキラネームっすよね。
神武天皇
ん??ホトちゃん? ・ ・ ・ なんか、そう言われるとち●こっぽいような ・ ・ ・ ・ ・ ・
オオクメ
旦那っ!!それ以上深く考えるのはNGっす!!!
そんな話しを聞いた数日後、神武とオオクメは用があり、オオモノヌシが祀られている三輪山の近くを歩いていた。すると可愛いい着物を着て野原でキャッキャと遊んでいる7人の綺麗な娘達が目に入った。
神武天皇
なぁなぁ、あれ見ろよオオクメ。あの子たち、超可愛いんですけど。あーゆーのって絶対自分ら可愛いのわかってやってるよな。
オオクメ
っっ!!ちょっ!!旦那っ!!あれっスよあれ!!この前言ってた神の子!!ホトちゃん!!
神武天皇
えっ??嘘マジ??どれっ??
オオクメ
えっと、ほら、そこの~ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オオクメ
っあ。
オオクメ
ちなみに旦那はどの子がタイプなんすか?
オオクメがニタニタしながら神武に視線を送る。
神武天皇
へっ?えっ??それ、ここで聞いちゃう??だって、あの7人の中にいるんだろ??当てなきゃヤバくない??
神武天皇
大丈夫だって。みんな可愛いって。決めらんないって。
オオクメ
またまたぁ~!いくら、神の子だって、タイプじゃない子もらってもしょうがなく無いっすか?
神武天皇
えぇーーー ・ ・ ・ そりゃそうだけどさぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・
オオクメ
でっ?でっっ??
神武天皇
・ ・ ・ えぇ?そうだなぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ んー ・ ・ ・ ・
神武天皇
まぁ、強いて言うならだけど、あの ・ ・ ・ あれかな。あの子。
オオクメ
は?どれ??
神武天皇
ほら、あの、一番年上っぽい ・ ・ ・
神武天皇
あっ、今、一番前に出た子っ!!
オオクメ
えっっあの子っすか??
オオクメ
旦那 ・ ・ ・ ・ ・ ・
神武天皇
えっ??
オオクメ
ビンゴっすぅ♡
神武天皇
うっそ!まじでっ??
神武天皇
え?これ、運命じゃね???
オオクメ
やりましたねっ!旦那っ!!
まだ、イスケヨリヒメに交際OKをもらったワケでもないのに2人はキャッキャと盛り上がる。
神武天皇
うわぁー!テンション上がるわー!!
神武天皇
・ ・ ・ なぁ、なぁ、オオクメぇ〜 ・ ・ ・ ちょっと、声掛けてきてくれよ。
オオクメ
えぇっ??俺っすか??嫌だよ。旦那のが女子ウケいいじゃないっすか。自分で行ってくださいよ ・ ・ ・
神武天皇
えー ・ ・ ・ だって、ずっとオレ戦闘続きだったし ・ ・ ・ 女の子とか慣れてないんだって。日向の奥さんだって兄貴が連れてきたようなもんだし ・ ・ ・ ・ ・ ・
オオクメ
んなこと言ったら、俺、その戦闘集団の
オオクメ
よく合コンで、『平気で人殺せそうだよね』とか言われるし。実際、殺れるし。絶対逃げられますって。
神武天皇
大丈夫だって!オレ、お前、優しいの知ってるからっ!!失敗しても怒らないから!!
神武天皇
お前のそーいう面倒見のイイとこ好きだぜ??
オオクメ
えぇ~~嫌だよ ・ ・ ・
神武天皇
な??いいだろ?
神武天皇
お願いっ!!お願いお願いお願いっ!!!!!
オオクメ
くそ ・ ・ ・ ゲンキンだな ・ ・ ・ マジ、断られても文句言わないでくださいよ??
神武はニカっと笑うと、ヒラヒラ手を振り彼を送った。
オオクメは、恨めしい顔でちょくちょく見返しながら、ホトちゃんこと、イスケヨリ姫の方へ歩いて行く。
オオクメが近づくと、姫達が騒ついた。
オオクメ
ほら、だから言ったじゃん。ぜってー怖がってるって ・ ・ ・
しかし、戦場を共に駆け抜けた友のためならと意を決し、オオクメは彼女達に声を掛けた。
オオクメ
あっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ あのっ!!
姫達が半泣きで慌てふためく。彼女らの反応を見たオオクメも、半泣きで神武の方に
オオクメ
ほら見ろ!
と視線を送った。しかし、遠くで
神武天皇
頑張れっ!!
とガッツポーズを返される。
オオクメ
くそっ!だから嫌だっつったんだ!!
しかし、他の姫達が騒ぐ中で、1人冷静にしていたイスケヨリヒメが、オオクメに歌を詠んできた。
イスケヨリヒメ
『 ・ ・ ・ あなたは、あま鳥、セキレイ、千鳥や、ホオジロみたいな目元をしているのね。なんでそうして墨なんか入れて鋭い目をしてるの?』
オオクメ
ホトちゃんっ!!
オオクメ
俺の目つきの悪さをすんげ~オブラートに包んでくれた。この子、めっちゃええ子や!
オオクメも慌てて歌を詠み返す。
オオクメ
・ ・ ・ えぇっと ・ ・ ・ ・ ・ ・
『自分はワガママな主に仕えていてね。
オオクメ
どうしても可愛い后が欲しいっつーもんだから目に墨まで入れて必死こいて良い子を探してたら、
オオクメ
目つきまでこんなに鋭くなっちまったんだよ。』
イスケヨリヒメは、後ろでそわそわと心配そうに見守っている神武を見ると、クスクス笑い、
イスケヨリヒメ
いいですよ。彼に仕えます。
と返事をくれた。
オオクメ
・ ・ ・ ・ ・ ・ やった!!
オオクメが「おーい」と、大きく手を振りながら満面の笑顔で戻ってくる。
神武天皇
よかった!成功したっぽい!!
オオクメ
旦那ぁー!!ホトちゃんのアドレスGETしてきましたぁー♪♪今夜も予定空いてるってー!!
神武天皇
うぉー!!まじかーー!!ありがとぉ!!お前、最高っ!!超好きっ!!
オオクメ
うえぇー??マジっすかぁ??旦那、超キモいんすけど~!!
神武天皇
いや、まじまじ!!愛してるってば!!本当グッジョブ!!
と、神武はハイタッチでオオクメを迎えた。
そんな2人の様子を遠くから見ていたイスケヨリヒメは、
イスケヨリヒメ
ねぇ、見てよあれ。マジ可愛いんですけど。絶対自分たち、可愛いの分かってやってるよね?
と、他の姫達と盛り上がった。
その夜、オオクメは敬礼をして神武を送った。
オオクメ
陛下!ご武運をっ!!
神武天皇
うむ!行って参るっ!!!
神武もつい敬礼を返す。
神武天皇
つーか、コイツに初めて陛下って呼ばれたんだけど ・ ・ ・
なんて思いながら、夜這に向かった。
それからしばらくして、イスケヨリヒメが皇后として、宮中に引っ越して来ることになった。
イスケヨリヒメ
今後とも、よろしくお願いします。
神武天皇
こちらこそ ・ ・ ・
彼女が越して来てくれたのが嬉しくて、慣れない恋の歌をプレゼントする。
神武天皇
『あの日、葦の繁った原っぱの小さな家で、菅を編んだ敷物を敷いて一緒に寝たよなぁ〜。』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ が、
オオクメ
そのまんまじゃないっすかぁ~!!
ミチノオミ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ふっ!!
神武天皇
・ ・ ・ ・ ・
と、オオクメたちに爆笑されたので、もう二度と恋の歌なんか詠わないと深く心に誓った。
こうして神武はイスケヨリヒメとの間に3人の男子をもうけ、穏やかに暮らした。
そして137才で波乱万丈の人生に幕を下ろす。