古事記の原文『八千矛伝説』

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『八千矛伝説』の原文

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原文の概要

天武天皇

天武天皇

オオクニヌシが娶ったヤカミヒメだが、スセリビメを恐れ子供を置いて逃げ帰ってしまう。オオクニヌシは東北までヌナカワヒメへ求婚に行く。オオクニヌシとヌナカワヒメは互いに歌を贈り合い、結婚する。

安万侶

安万侶

次から次へと女神様を ・ ・ ・ オオクニヌシ様ってプレイボーイなんですね ・ ・ ・

天武天皇

天武天皇

羨ましいだろ?

安万侶

安万侶

なんでへーかがドヤるんですか。

原文&読み下し文

オオクニヌシ、スセリビメ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、其八上比売者、雖率来、畏其嫡妻須世理比売而、其所生子者、刺挟木俣而返。故、名其子云木俣神、亦名謂御井神也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

かれ 、その八上比売をば て来ましつれども、その 嫡妻 むかひめ 須世理比売を かしこ みて、その生める子をば、木の また はさ みて返りき。故、その子を名づけて 木俣 きのまたの 神を云ひ、亦の名を 御井 みゐの 神と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此八千矛神、将婚高志国之沼河比売、幸行之時、到其沼河比売之家、歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この 八千矛 やちほこの 神、 高志 こしの 国の 沼河比売 ぬなかはひめ よば はむとして、 幸行 でましし時、その沼河比売の家に到りて、歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

夜知富許能 迦微能美許登波
夜斯麻久爾 都麻麻岐迦泥弖

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

八千矛 やちほこ の 神の みこと
八島国 やしまくに 妻枕 つまま きかねて

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

登富登富斯 故志能久迩迩
佐加志売遠 阿理登岐加志弖

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

遠遠 とほとほ 高志 こし の国に
さか を ありと かして

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

久波志売 阿理登伎許志弖
佐用婆比爾 阿理多多斯

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

くは を ありと聞こして
よば ひに あり立たし

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

用婆比迩 阿理加用婆勢
多知賀遠母 伊麻陀登加受弖

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

よば ひに あり かよ はせ
大刀 たち も いまだ かずて

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

淤須比遠母 伊麻陀登加泥婆
遠登売能 那須夜伊多斗遠

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

淤曽夫良比 和何多多勢礼婆
比許豆良比 和何多多勢礼婆

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

そぶらひ が立たせれば
こづらひ 我が立たせれば

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿遠夜麻迩 奴延波那伎奴
佐怒都登理 岐芸斯波登与牟

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

青山 あをやま ぬえ は鳴きぬ
とり きぎし はとよむ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾波都登理 迦祁波那久
宇礼多久母 那久那留登理加

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

許能登理母 宇知夜米許世泥
伊斯多布夜 阿麻波勢豆加比

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

許登能 加多理其登母 許遠婆

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾其沼河比売、未開戸、自内歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここにその沼河比売、 いま だ戸を ひら かずて、 うち より歌ひけらく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

夜知富許能 迦微能美許等
奴延久佐能 売迩志阿礼婆

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

八千矛 やちほこ の 神の みこと
ぬえ くさ にしあれば

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

和何許許呂 宇良須能登理叙
伊麻許曽婆 和杼理迩阿良米

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

我が心 浦渚 うらす の鳥
今こそは 我鳥 わどり にあらめ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

能知波 那杼理爾阿良牟遠
伊能知波 那志勢多麻比曽

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

のち 汝鳥 などり にあらむを
いのち せたまひそ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

伊斯多布夜 阿麻波勢豆迦比
許登能 加多理碁登母 許遠婆

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

いしたふや 天馳使 あまはせづかひ
こと 語言 かたりごと をば

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿遠夜麻 比賀迦久良婆
奴婆多麻能 用波伊伝那牟

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

青山 あをやま かく らば
ぬばたまの は出でなむ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿佐比能 恵美佐迦延岐弖
多久豆怒能 斯路岐多陀牟岐

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

朝日の み栄え来て
栲綱 たくづの 白き ただむき

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿和由岐能 和加夜流牟泥遠
曽陀多岐 多多岐麻那賀理

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

麻多麻伝 多麻伝佐斯麻岐
毛毛那賀爾 伊波那佐牟遠

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿夜爾 那古斐岐許志
夜知富許能 迦微能美許登

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

許登能 迦多理碁登母 許遠婆

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

事の 語言も 是をば
とうたひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、其夜者、不合而、明日夜、為御合也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

かれ 、その夜は はずて、 明日 くるひ の夜、 御合 みあひ したまひき。

用語解説

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

恐ろしいと思ってってこと。

安万侶

安万侶

沼河比売ぬなかはひめって名前の意味は??

天武天皇

天武天皇

越後国えちごのくに頸城郡くびきぐん沼川郷ぬながわごうがあったから、たぶんそこにちなんだ名前だろうな。

天武天皇

天武天皇

新潟県糸魚川市に、ヌナカワヒメを祀る奴奈川神社があるよ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

妻を娶れなくてってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

美しい女性のこと。

安万侶

安万侶

あり立たしって??

天武天皇

天武天皇

「あり」は続けるとか繰り返すことを意味するから、繰り返し出かけてって意味。

天武天皇

天武天皇

「ありかよはせ」も同じで、通い続けてってことな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

着衣の上から重ね着する衣服ね。

安万侶

安万侶

いまだ解かねばって??

天武天皇

天武天皇

まだ脱がないのにってこと。

天武天皇

天武天皇

寝ている家の戸をって意味。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

押し揺さぶってってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

引っ張ってってこと。

安万侶

安万侶

ぬえってあの、頭はサルで体はタヌキ、尾はヘビで足はトラっていう妖怪の??

天武天皇

天武天皇

違う違う。トラツグミっていう鳥ことな。

天武天皇

天武天皇

妖怪のヌエも、トラツグミに似た声で鳴くって『平家物語』に書いてある。

天武天皇

天武天皇

野の鳥ってことだけど、次のきぎしにかかる枕詞でもある。雉は鳥のキジね。

天武天皇

天武天皇

これもさっきと同じような感じで、庭の鳥って意味でありかけの枕詞でもある。

天武天皇

天武天皇

トラツグミもキジもニワトリも明け方に鳴くんだ。だから、夜が明けようとしていると表現したいわけね。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

嘆かわしくもってこと。

天武天皇

天武天皇

たたいてやめさせてほしいってこと。

安万侶

安万侶

いしたふやって??

天武天皇

天武天皇

「アマ」にかかる枕詞なんだろうけど、意味はよくわからないんだ。

天武天皇

天武天皇

空を駆ける使者。鳥のことだろうな。

天武天皇

天武天皇

これを、事を語り伝える言葉に、しましょう、って感じかな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

なよなよとした草のようなって意味で、にかかる枕詞。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

入江の洲にいる水鳥のこと。孤立して、つがいになる相手がいないわけだ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

「な~そ」は「~しないでくれ」って意味。だからここは、殺さないでくださいませってとこね。

安万侶

安万侶

ぬばたまのって??

天武天皇

天武天皇

黒・夜・夕などの枕詞なんだが、意味はよくわからない。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

満面の笑みをたたえて来てってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

「しろ」にかかる枕詞。栲はクワ科の植物コウゾのことで、それで作った綱は白いのよ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

泡のようにやわらかい雪のこと。

安万侶

安万侶

わかやるって??

天武天皇

天武天皇

若々しい感じになるってこと。もうちょっと生々しくいえば、若々しくはち切れそうに見えるってとこ。

安万侶

安万侶

そだたきって??

天武天皇

天武天皇

はっきりしないんだけど、そっと撫でるとか愛撫するって意味かな。

安万侶

安万侶

まながりって??

天武天皇

天武天皇

抱いてってことかな、たぶん。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

手のこと。

安万侶

安万侶

さしって??

天武天皇

天武天皇

巻き付けてってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

ここも意味がはっきりしなくて、足を伸ばしてとかいつまでも長くとか、諸説ある。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

ちょっとややこしいんだが、「」は眠ること、「」は横になることで、「す」は「」に尊敬の助動詞「す」が付いたもの。

安万侶

安万侶

あやにって??

天武天皇

天武天皇

例えようもなくとかひどくって意味。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

恋しいとおっしゃらないでって感じかな。

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