古事記の原文『神武天皇の妻探し』
『神武天皇の妻探し』の原文
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原文の概要
天武天皇
イワレビコには日向にいたときに向かえた妻がいたが、さらに皇后を求める。オオクメは、三輪山の神オオモノヌシとセヤダタラヒメの間に生まれた、イスケヨリヒメがいることを報告する。野原にいた7人の娘たちの中から、イワレビコは一人を選ぶ。選んだ娘がイスケヨリヒメで、イワレビコはイスケヨリヒメとの間に3人の男子をもうける。
安万侶
オオモノヌシ様って、オオクニヌシ様の国づくりをお手伝いした神様ですよね?
天武天皇
そうそう。あの時は
原文&読み下し文
【原文】稗田阿礼
故、坐日向時、娶阿多之小椅君妹、名阿比良比売生子、多芸志美美命、次岐須美美命、二柱坐也。
【読み下し文】藤原不比等
故、
【原文】稗田阿礼
然更求為大后之美人時、大久米命曰、此間有媛女。是謂神御子。其所以謂神御子者、三島湟咋之女、名勢夜陀多良比売、其容姿麗美。
【読み下し文】藤原不比等
【原文】稗田阿礼
故、美和之大物主神見感而、其美人為大便之時、化丹塗矢、自其為大便之溝流下、突其美人之富登。爾其美人驚而、立走伊須須岐伎。
【読み下し文】藤原不比等
【原文】稗田阿礼
乃将来其矢、置於床辺、忽成麗壮夫、即娶其美人生子、名謂富登多多良伊須須岐比売命、
【読み下し文】藤原不比等
すなはちその矢を
【原文】稗田阿礼
亦名謂比売多多良伊須気余理比売(是者悪其富登云事、後改名者也。)。故、是以謂神御子也。
【読み下し文】藤原不比等
亦の名は
【原文】稗田阿礼
於是七媛女、遊行於高佐士野、伊須気余理比売在其中。爾大久米命、見其伊須気余理比売而、以歌白於天皇曰、
【原文】稗田阿礼
夜麻登能 多加佐士怒袁
那那由久 袁登売杼母
【読み下し文】藤原不比等
【原文】稗田阿礼
多礼袁志麻加牟
【原文】稗田阿礼
爾伊須気余理比売者、立其媛女等之前。乃天皇見其媛女等而、御心知伊須気余理比売立於最前、以歌答曰、
【読み下し文】藤原不比等
ここに伊須気余理比売は、その
【原文】稗田阿礼
加都賀都母 伊夜佐岐陀弖流 延袁斯麻加牟
【原文】稗田阿礼
爾大久米命、以天皇之命詔其伊須気余理比売之時、見其大久米命黥利目而、思奇歌曰、
【原文】稗田阿礼
阿米都都 知杼理麻斯登登 那杼佐祁流斗米
【原文】稗田阿礼
爾大久米命、答歌曰、
【読み下し文】藤原不比等
ここに大久米命、答へて歌ひけらく、
【原文】稗田阿礼
袁登売爾 多陀爾阿波牟登 和加佐祁流斗米
【原文】稗田阿礼
故、其嬢子、白之仕奉也。
【読み下し文】藤原不比等
故、その
【原文】稗田阿礼
於是其伊須気余理比売命之家、在狭井河之上。天皇幸行其伊須気余理比売之許、一宿御寝坐也。
【原文】稗田阿礼
(其河謂佐韋河由者、於河辺山由理草多在。故、取其山由理草之名、号佐韋河也。山由理草之本名云佐韋也。)
【原文】稗田阿礼
後其伊須気余理比売、参入宮内之時、天皇御歌曰、
【読み下し文】藤原不比等
後にその伊須気余理比売、宮の内に
【原文】稗田阿礼
阿斯波良能 志祁志岐袁夜迩
須賀多多美 伊夜佐夜斯岐弖
【原文】稗田阿礼
和賀布多理泥斯
【読み下し文】藤原不比等
とよみたまひき。
【原文】稗田阿礼
然而阿礼坐之御子名、日子八井命、次神八井耳命、次神沼河耳命、三柱。
用語解説
天武天皇
皇后のこと。
天武天皇
アヒラヒメって妻がいたけど、更に天皇の正妻として相応しい女性を探したんだな。
天武天皇
三島は現在の大阪府茨木市・吹田市あたりで、湟は
天武天皇
溝と棒だなんて、この後の話を連想させるワードの組み合わせよな。
天武天皇
『せや』が『そや』の音が変化したものだとすれば、戦いに使う矢のこと。
天武天皇
『たたら』は『立たれ』の変形だから、矢を立てられたヒメってことになるな。
天武天皇
女のドコに矢をタてられたんだろうね~?
安万侶
はっ!
安万侶
え、ええっと!たたら場って言葉もありますよね!
天武天皇
ふっ。
天武天皇
そうだな、『たたら』は足で踏んで空気を送り込む、ふいごっていう製鉄のための道具ともとれるな。
天武天皇
奈良県桜井市にある三輪山のこと。
天武天皇
トイレの大きいほうをするってこと。
天武天皇
赤く塗った矢のこと。
天武天皇
慌てうろたえたってこと。
天武天皇
どこかの高台の野だろうけど、ハッキリわからない。
天武天皇
文脈からすると、三輪山周辺のどこかだろうな。
天武天皇
妻に娶ろうかってこと。
天武天皇
不本意だがとか、まあまあってこと。
安万侶
え ・ ・ ・ いやいや選んだんですか?
天武天皇
その逆よ、逆。
天武天皇
7人とも妻にしたいけど、どうしても一人を選ぶとしたらってこと。
天武天皇
もしくは照れ隠しだな。
安万侶
イワレビコ様、カワイイ。
天武天皇
入れ墨をした鋭い目のこと。
天武天皇
アマドリのこと。
天武天皇
天武天皇
直接に会おうとしてってこと。
天武天皇
三輪山の麓にある狭井神社のそばを流れる、狭井川のこと。
天武天皇
名前の通り、狭くて小さい川なんだ。
天武天皇
ササユリのこと。
天武天皇
汚いってこと。
天武天皇
スゲで編んだ畳のこと。
天武天皇
メチャメチャ清らかにってこと。
天武天皇
『生る』の尊敬語で、お生まれになってってこと。