古事記 -日本神話-

ん？別に子供がそんな気ぃ遣うことでもないだろ。なんだかんだ品治（ほんじ）とも付き合い長いし。

それにこの前、年甲斐もなくガッツリ負かせちまったからな ･ ･ ･ ･ まあ、このくらいは。

いや、こっちの話し。

それより今、ちょうど日本の歴史の編纂（へんさん）作業を進めてるから、見学していくと良い。

川島の方はガチだけど、こっちは割とユルく進めてるから。

『編纂（へんさん）』はいろんな資料を集めて、まとめること。『川島』はオレの甥（おい）っ子。国外向けってか、ほぼ唐（とう）向けだけど ･ ･ ･ 正式な史書（ししょ）を作ってる（日本書紀）。

それとは別に国内向けに昔ながらの言い伝えをまとめた歴史書も作ってるから（古事記）。キミはコッチでインターンシップね。

ん？

あーー。いや、前はちゃんと聖徳太子（しょうとくたいし） ･ ･ ･

てか、今の子は厩戸皇子（うまやどのみこ）か。
が、正式にまとめてくれたやつがあったんだけど、色々あって一部燃えちゃって。また作り直してる最中なんだ。

で、ここがそのオフィスね。

はいっ！と、いうわけで。しばらくの間、インターンシップで古事記の編纂（へんさん）プロジェクトに顔出すことになった、安万侶くんです。阿礼（あれ）ちゃん、面倒見てあげてね。

他に誰がいるの。

･ ･ ･ ･ ･ ･

なっっ！！

むぅぅ ･ ･ ･ ！！！

安万侶、こっちは稗田阿礼（ひえだのあれ）さんだよ。帝紀（ていき）と旧辞（きゅうじ）に書いてあることは全部、頭の中に入ってるから、なんでも聞くといい。

テイキとキュウジ？

系譜や歴史が書いてある書物のこと。ほら、ご挨拶は？

あっ、えっと、あの ･ ･ ･ ･ こんにちは。安万侶です。まろ、歴史の勉強がしたくて ･ ･ ･ ･ この度、お世話になることになりました。よろしくお願いします。

･ ･ ･ ･ ･ ･

阿礼ちゃんはね、アホにしか見えないと思うけど、見たものを即座に言葉に変えたり、聞いたものをすぐに覚えたり、すごい能力を持った人なんだ。

だから、本来は雑用とかをしている舎人（とねり）なんだけど、この能力を買って、代々の皇族の系譜とか、先代の天皇たちの功績とか、カラで朗読できるように習わせてるの。

へぇー。

えっ？？ ･ ･ ･ ･ 阿礼さんって、女性の方じゃないんですか？

えぇっ！？あっっ。その、ごめんなさい。

安万侶、気にしなくていいよ。阿礼ちゃんは『男の娘』だから。

男の子だったんですね ･ ･ ･ ･ すみませんでした。

大丈夫。大丈夫。気にしないで。この容姿は『稗田阿礼（ひえだのあれ） 女性説』に伴うただのネタだから。

あ、はい。わかりました。

ところで、さっきざっくり話したけど、今、阿礼ちゃんに歴史の編纂（へんさん）作業を頼んでいてね、

今日は原文の読み合わせをすることになってるから、聞いていくといい。

わぁ！ありがとうございますっ！！

ん？

おぉぉー。そこ指摘しちゃう？？

まぁ、確かにその通りなんだけどさ ･ ･ ･ それ言っちゃうと、『ラノベ』とか言ってる時点でこのサイトの時間軸なんてとっくに崩壊してるから。

だいたい、安万侶のキャラデザからしておかしいだろ。なんで、日本人のくせに髪色がオレンジなんだよ。ブリーチか。

細かいことは、気にしない。これがラノベ風古事記のスタイルだ！！

他に質問は？

うん、そうね。それは賛成。じゃー、時代設定、全部無視して答えるから。なんでも聞いてくれ。

西暦712年3月9日（和同5年1月28日）に成立した古事記の写本に残された、太安万侶（おおのやすまろ）が記したとされる文を『原文』とする。なお、旧字体は、基本的に新字体に変換する。

倉野憲司（くらの けんじ）訳『古事記』（岩波文庫）をベースとするが、わかりづらい箇所などは修正を加える。

あぁ、そうねー。『高天原』だけでも、「たかまのはら」「たかまがはら」「たかあまはら」「たかあまのはら」「たかのあまはら」とか読み方が色々あるから ･ ･ ･ ･

ラノベの中では管理人がフィーリングで選んでいたが、原文では基本的に倉野訳の読み方で統一する。

軽い用語説明のみとする。わからないことがあったら、何でも質問してね。

あとは？

気になることあったら、なんでも聞いていいよ。

ふっっ！！

いやいや。でもそれ言ったら「陛下」も上表の呼び方だし、正式に決まったのも757年の養老律令からだし、微妙だろ。

ははっ、まぁなー。でもそれ気にしちゃうと、一人につき、いくつも名前を覚えなきゃいけなくて、大変だろうから。

原文中は、古事記の表現をそのまま用いるが、解説では漢風諡（かんふうおくりな）で対応することとする。OK？？

じゃ。ここからは原文をそのまま記載するから、中級者向けだ。ラノベ風になっているサイトは、誰かさんの妄想が多分に含まれているから、照らし合わせて原文が確認できる構成にする。

古事記周辺で創作活動を考えてる人なんかは、ぜひ、参考にしてくれ。『オレの時代には既に古事記の原文できてた設定』でいくから、よろしく！

そしたら、阿礼ちゃんが『原文』担当ね。

安万侶は、わからないところを質問して。

んーー。あとは、『読み下し文』の担当がいないか ･ ･ ･ 実質、『原文』だけで完結はしてるんだけど、本居宣長（もとおりのりなが）レベルの相当マニアックな人間じゃないと読めないからな ･ ･ ･ ･ ･ ･

ん？

不比等くぅーん♡

藤原鎌足（ふじわらのかまたり）の息子。

お前、今、暇だよな。

そうか。勤務中ならちょうどいいや。仕事頼むよ。

不比等くんが『読み下し文』担当ね。

今から、古事記の原文の読むんだけど、読者の皆さんが、読み下し文ないと読めないから。読んで。

てか、読め。

大丈夫。今、飛鳥時代。労働基準法なんてオレ知らない。

不比等くん、祝詞（のりと）得意だし、このくらい余裕でしょ。

天児屋根（アメノコヤネ）ゆずりの低音ボイスで読み下し文が聞きたい！！

無理無理。手伝ってくれないと直せない。

じゃ、よろしく。

勅命（ちょくめい）。
※勅命：天皇の命令で断れないやつ。

じゃ、よろしく。

何か？

『読み下し文』担当→

『質問』担当→