古事記の原文『八十神の復讐』

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『八十神の復讐』の原文

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原文の概要

天武天皇

天武天皇

オオナムチは八十神の罠にかかって殺される。カムムスビが遣わした女神の力でオオナムチは生き返る。再び殺されるが、母に生き返らせてもらう。オオヤビコの助けを借りてオオナムチは逃げる。

安万侶

安万侶

二度も殺されるなんてツラいです。

天武天皇

天武天皇

生き返っても狙われるんだからな。

原文&読み下し文

オオナムチ、白ウサギ

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是八上比売、答八十神言、吾者不聞汝等之言。将嫁大穴牟遅神。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに八上比売、八十神に答へて言ひしく、「吾は 汝等 いましたち こと は聞かじ。大穴牟遅神に はむ」といひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故爾八十神怒、欲殺大穴牟遅神、共議而、至伯伎国之手間山本云、赤猪在此山。故、和礼共追下者、汝待取。若不待取者、必将殺汝云而、以火焼似猪大石而転落。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故ここに八十神怒りて、大穴牟遅神を殺さむと共に はか りて、 伯伎 ははきの 国の 手間 てま の山本に至りて云ひしく、「赤き猪この山にあり。 かれ 、われ共に追ひ おろ しなば、 なれ 待ち取れ。もし待ち取らずは、必ず なれ を殺さむ」と云ひて、火をもちて猪に似たる大石を焼きて、 まろ ばし落しき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾追下取時、即於其石所焼著而死。爾其御祖命、哭患而、参上于天、請神産巣日之命時、乃遣𧏛貝比売与蛤貝比売、令作活。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに追ひ おろ すを取る時、すなはちその石に焼き かえて死にき。ここにその 御祖 みおや みこと うれ ひて、 あめ 参上 まゐのぼ りて、 神産巣日之 かみむすひの 命に まを しし時、すなはち 𧏛貝比売 きさがひひめ 蛤貝比売 うむぎひめ とを遣はして、作り かさしめたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾𧏛貝比売岐佐宜集而、蛤貝比売待承而、塗母乳汁者、成麗壮夫而出遊行。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに𧏛貝比売、 ささ げ集めて、蛤貝比売、待ち けて、 おも 乳汁 ちしる を塗りしかば、 うるは しき 壮夫 をとこ に成りて、出で 遊行 あそ びき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是八十神見、且欺率入山而、切伏大樹、茹矢打立其木、令入其中、即打離其氷目矢而拷殺也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに八十神見て、また欺きて山に て入りて、 大樹 おほき を切り伏せ、 茹矢 ひめや をその木に打ち立て、その中に入らしむる即ち、その 氷目矢 ひめや を打ち離ちて、 ち殺しき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾亦其御祖命、哭乍求者、得見、即折其木而取出活、告其子言、汝有此間者、遂為八十神所滅、乃違遣於木国之大屋毘古神之御所。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここにまた、その 御祖 みおや みこと きつつ げば、 見得 みえ て、すなはちその木を りて取り出で かして、その子に告げて言ひしく、「 いまし 此間 ここ にあらば、遂に八十神のために滅ぼさえなむ」といひて、すなはち 木国 きのくに 大屋毘古 おほやびこの 神の 御所 みもと たが りき

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

爾八十神、覓追臻而、矢刺乞時、自木俣漏逃而云、可参向須佐能男命所坐之根堅州国、必其大神議也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに八十神 ぎ追ひ いた りて、 矢刺 やざ 時に、木の また より がして りたまひしく、「 須佐能男 すさのをの 命の します 堅州 かたす 国に 参向 まゐむか ふべし。必ずその大神、 はか りたまひなむ」とのりたまひき。

『系図』スサノオ、クシナダヒメ、八十神、ヤカミヒメ、白兎、オオナムチ、カムムスビ

用語解説

安万侶

安万侶

はむって??

天武天皇

天武天皇

結婚するってこと。

天武天皇

天武天皇

ああ、鳥取県西伯郡南部町あたりね。オオナムチを焼き潰した岩が、赤猪岩神社の境内にあるとされているな。

安万侶

安万侶

女神様2柱の名前の意味は??

天武天皇

天武天皇

𧏛貝きさがひは赤貝、蛤貝うむぎはハマグリ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

復活をさせたってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

削り集めてってこと。

天武天皇

天武天皇

母乳のことだが、ここはウムギヒメがやっていることなので、ハマグリの汁のことだろうな。母乳に似ているのよ。

天武天皇

天武天皇

削った赤貝の粉をハマグリの汁に溶いて、ヤケドした所に塗るっていうのは、古代の民間療法といわれているな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

よくわからないんだけど、たぶん木を割る時に割れ目に挟む、クサビのようなものかな。氷目矢ひめやも同じね。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の和歌山県。のちに字を改めて紀伊の国になったんだ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

人目を避けて行かせたってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

矢をつがえて求めるってとこかな。平たく言えば、武器を構えてオオナムチを出せって脅してるわけよ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

くぐり抜けて逃がしてってこと。

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監修:春比等 Site:いまどき風土記
イラスト:駒碧 Site:わたり雪

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