古事記の原文『スセリビメの嫉妬』
『スセリビメの嫉妬』の原文
現在、古事記の原文は最低限の情報のみでお届けしております。詳細は『古事記の原文更新お休みのお知らせ』をご確認ください。
古事記の原文をそのまま載せても眠くなってしまうので、天武天皇の時代の人たちのセリフと合わせてお届けしています。
原文を記載するにあたってのルールについては、プロローグ内『原文掲載のルール』をご確認ください。
原文の概要
天武天皇
次々と増えるオオクニヌシの妻に、正妻のスセリビメは嫉妬する。出かけようと馬にまたがったオオクニヌシは、スセリビメに歌を贈る。スセリビメは返歌を詠む。
安万侶
歌を詠み合うなんてロマンティックですね。
天武天皇
だな。それに、歌が上手いほうがモテるからな。安万侶も勉強しておいたほうがいいぞ。
安万侶
は、はぁ ・ ・ ・
原文&読み下し文
【原文】稗田阿礼
又其神之嫡后、須勢理毘売命、甚為嫉妬。
【原文】稗田阿礼
故、其日子遅神和備弖、自出雲将上坐倭国而、束装立時、片御手者、繋御馬之鞍、片御足、踏入其御鐙而、歌曰、
【読み下し文】藤原不比等
【原文】稗田阿礼
奴婆多麻能 久路岐美祁斯遠
麻都夫佐爾 登理与曽比
【原文】稗田阿礼
淤岐都登理 牟那美流登岐
波多多芸母 許礼婆布佐波受
【原文】稗田阿礼
幣都那美 曽迩奴岐宇弖
蘇迩杼理能 阿遠岐美祁斯遠
【原文】稗田阿礼
麻都夫佐迩 登理与曽比
淤岐都登理 牟那美流登岐
【読み下し文】藤原不比等
まつぶさに 取り装ひ
沖つ鳥
【原文】稗田阿礼
波多多芸母 許母布佐波受
幣都那美 曽迩奴棄宇弖
【読み下し文】藤原不比等
はたたぎも
辺つ波 そに脱き棄て
【原文】稗田阿礼
夜麻賀多爾 麻岐斯 阿多泥都岐
曽米紀賀斯流迩 斯米許呂母遠
【原文】稗田阿礼
麻都夫佐迩 登理与曽比
淤岐都登理 牟那美流登岐
【読み下し文】藤原不比等
まつぶさに 取り装ひ
沖つ鳥
【原文】稗田阿礼
波多多芸母 許斯与呂志
伊刀古夜能 伊毛能美許等
【原文】稗田阿礼
牟良登理能 和賀牟礼伊那婆
比気登理能 和賀比気伊那婆
【原文】稗田阿礼
那迦士登波 那波伊布登母
夜麻登能 比登母登須須岐
【原文】稗田阿礼
宇那加夫斯 那賀那加佐麻久
阿佐阿米能 疑理迩多多牟叙
【原文】稗田阿礼
和加久佐能 都麻能美許登
許登能 加多理碁登母 許遠婆
【原文】稗田阿礼
爾其后、取大御酒杯、立依指挙而、歌曰、
【読み下し文】藤原不比等
ここにその
【原文】稗田阿礼
夜知富許能 加微能美許登夜
阿賀淤富久迩奴斯
【読み下し文】藤原不比等
八千矛の 神の
【原文】稗田阿礼
那許曽波 遠迩伊麻世婆
宇知微流 斯麻能佐岐邪岐
【原文】稗田阿礼
加岐微流 伊蘇能佐岐淤知受
和加久佐能 都麻母多勢良米
【原文】稗田阿礼
阿波母与 売迩斯阿礼婆
那遠岐弖 遠波那志
【原文】稗田阿礼
那遠岐弖 都麻波那斯
阿夜加岐能 布波夜賀斯多爾
【原文】稗田阿礼
牟斯夫須麻 爾古夜賀斯多爾
多久夫須麻 佐夜具賀斯多爾
【原文】稗田阿礼
阿和由岐能 和加夜流牟泥遠
多久豆怒能 斯路岐多陀牟岐
【読み下し文】藤原不比等
【原文】稗田阿礼
曽陀多岐 多多岐麻那賀理
麻多麻伝 多麻伝佐斯麻岐
【読み下し文】藤原不比等
そだたき たたきまながり
【原文】稗田阿礼
毛毛那賀迩 伊遠斯那世
登与美岐 多弖麻都良世
【原文】稗田阿礼
如此歌、即為宇伎由比而、宇那賀気理弖、至今鎮坐也。此謂之神語也。
用語解説
天武天皇
前妻が後妻をねたむこと。
天武天皇
天武天皇
十分にってこと。
天武天皇
装ってとか支度をしてってこと。
天武天皇
沖にいる鳥のこと。
天武天皇
袖の端を手繰り上げるとか、羽をパタパタさせるとか諸説あって、意味ははっきりわからないんだ。
天武天皇
どっちにしても、着物がこれでいいかなって確認している様子を、表しているんじゃないかな。
天武天皇
浜辺に寄せる波のこと。
天武天皇
「青」にかかる枕詞で、カワセミのこと。
天武天皇
山の畑のこと。
天武天皇
つる植物のアカネかな。根っこから赤色の染料が取れるんだ。
天武天皇
親愛なる子とか愛しい子とかって意味。
天武天皇
妻を敬意を込めて呼んでいるから、奥さんってとこか。
天武天皇
群れをなしている鳥のことで、「むれ」にかかる枕詞よ。
天武天皇
一羽が飛び立つと引かれて一緒に飛ぶ鳥のこと。
天武天皇
ここまで、オオクニヌシが自分のことを鳥に例えた表現が多いよな。
天武天皇
山のあたりのこと。
天武天皇
うなだれてってこと。
天武天皇
「妻」や「新」などにかかる枕詞。
天武天皇
「みる」は巡るって意味。「うち」とその次の「かき」は接頭語。語調を整えたり、意味を強めたりするために付いていて、言葉自体に意味はないな。
天武天皇
いや、ちょっと捻りが利いていて、もらさずとか残らずってこと。ここでは、島や磯の岬のどこででもって感じかな。
天武天皇
さしおいてとか除いてってこと。ここさ、「おきて」の「お」が抜け落ちてるんだよな。
天武天皇
綾織りの絹でできた室内の仕切りのこと。
天武天皇
ふわりとしている下でってこと。
天武天皇
カラムシっていう草で作った寝具。
天武天皇
柔らかなって意味。
天武天皇
カジノキの繊維で織った白い寝具のこと。
天武天皇
さやさやと音がするってこと。
天武天皇
神に供える豊かな酒ってことは、美味しいお酒ってことだな。
天武天皇
召し上がれってとこかな。
天武天皇
杯を交わして心の変わらないことを誓うこと。もう倭国には行かないと約束したわけだ。
天武天皇
手を互いに相手の首にかけ合う、つまり仲睦まじくってこと。