古事記の原文『白鳥の伝説』

『白鳥の伝説』の原文

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原文の概要

天武天皇

天武天皇

玉倉部の湧き水を飲んだヤマトタケルは、正気を取り戻す。しかし足が腫れ、杖を突いてよろよろと歩くほど疲れ、弱っていく。能褒野まで着いたヤマトタケルは、故郷を偲んだ歌を詠み、息を引き取る。訃報を聞いたヤマトタケルの家族は、能褒野へ駆けつけ、御陵を作る。ヤマトタケルの魂は、白鳥となって天へ昇る。

安万侶

安万侶

あんなにお強かったのに ・ ・ ・ 亡くなられてしまうんですね ・ ・ ・

天武天皇

天武天皇

この時、ヤマトタケルや后たちの詠んだ歌の数々には情感が込められているから、意味を噛み締めてほしいな。

原文&読み下し文

白鳥の伝説

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、還下坐之、到玉倉部之清泉以息坐之時、御心稍寤。故、号其清泉、謂居寤清泉也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故、還り くだ りまして、 玉倉部 たまくらべ 清泉 しみづ に到りて いこ ひましし時、御心 やや めましき。故、その 清泉 しみづ を号けて、 居寤 いさめ 清泉 しみづ を謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

自其地発、到当芸野上之時、詔者、吾心恒念自虚翔行。然今吾足不得歩、成当芸当芸斯玖。故、号其地謂当芸也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

其地 そこ より たして、 当芸野 たぎの の上に到りましし時、詔りたまひしく、「吾が心、 つね そら より かけ り行かむと おも ひつ。然るに今吾が足 得歩 えあゆ まず、たぎたぎしくなりぬ」とのりたまひき。故、其地を なづ けて 当芸 たぎ と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

自其地差少幸行、因甚疲衝御杖稍歩。故、号其地謂杖衝坂也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

其地より やや すこ 幸行 でますに、 いと つか れませるによりて、御杖を きて やや に歩みたまひき。故、其地を号けて 杖衝 つゑつき と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

到坐尾津前一松之許、先御食之時、所忘其地御刀、不失猶有。爾御歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

尾津 をつ さき の一つ松の もと に到りまししに、 さき 御食 みをし したまひし時、其地に忘れたまひし 御刀 みはかし せずてなほありき。ここに 御歌 みうた よみしたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

袁波理迩 多陀迩牟迦幣流
袁都能佐岐那流 比登都麻都 阿勢袁

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

尾張 をはり ただ に向へる
尾津 をつ の崎なる 一つ松 あせを

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

比登都麻都 比登迩阿理勢婆
多知波気斯袁 岐奴岐勢麻斯袁
比登都麻都 阿勢袁

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

一つ松 人にありせば
大刀 たち けましを きぬ せましを
一つ松 あせを
とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

自其地幸、到三重村之時、亦詔之、吾足如三重勾而甚疲。故、号其地謂三重。自其幸行而、到能煩野之時、思国以歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

其地より でまして、三重村に到りましし時、また詔りたまひしく、「吾が足は 三重 みへ まがり の如くして いと 疲れたり」とのりたまひき。故、其地を号けて三重と謂ふ。それより 幸行 でまして、 能煩野 のぼの に到りましし時、国を しの ひて歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

夜麻登波 久爾能麻本呂婆
多多那豆久 阿袁加岐
夜麻碁母礼流 夜麻登志宇流波斯

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

やまと は 国のまほろば
たたなづく 青垣 あをかき
山隠 やまごも れる 倭しうるはし
とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

又歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

また歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

伊能知能 麻多祁牟比登波
多多美許母 幣具理能夜麻能
久麻加志賀波袁 宇受爾佐勢曽能古

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

いのち また けむ人
畳薦 たたみこも 平群 へぐり の山の
熊白梼 くまかし が葉を 髻華 うず に挿せその子
とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此歌者、思国歌也。又歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この歌は 国思 くにしの ひ歌なり。また歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

波斯祁夜斯 和岐幣能迦多用
久毛韋多知久母

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

しけやし 吾家 わぎへ かた
雲居 くもゐ
とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

此者片歌也。此時御病甚急。爾御歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

こは 片歌 かたうた なり。この時 御病 みやまひ いと には かになりぬ。ここに御歌よみしたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

袁登売能 登許能弁爾
和賀淤岐斯 都流岐能多知
曽能多知波夜

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

嬢子 をとめ とこ
が置きし つるぎの 大刀 たち
その大刀はや

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

歌竟、即崩。爾貢上駅使。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

と歌ひ ふる即ち かむあが りましき。ここに 駅使 はゆまづかひ 貢上 たてまつ りき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是坐倭后等及御子等、諸下到而、作御陵、即匍匐廻其地之那豆岐田而、哭為歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに倭に坐す 后等 きさきたち また 御子等 みこたち もろもろ くだ り到りて、御陵を作り、すなはち 其地 そこ なづき 匍匐 もとほ りて きまして歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

那豆岐能多能 伊那賀良迩
伊那賀良迩 波比母登富呂布
登許呂豆良

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

なづきの田の 稲幹 いながら
稲幹に もとほ ろふ
野老蔓 ところづら
とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

於是化八尋白智鳥、翔天而向浜飛行。爾其后及御子等、於其小竹之苅杙、雖足䠊破、忘其痛以哭追。此時歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

ここに 八尋白智鳥 やひろしろちどり りて、 あめ かけ りて浜に向きて飛び でましき。ここにその后また御子等、その 小竹 しの 苅杙 かりくひ に、足 り破れども、その いた きを忘れて きて追ひたまひき。この時に歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

阿佐士怒波良 許斯那豆牟
蘇良波由賀受 阿斯用由久那

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

又入其海塩而、那豆美行時歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

またその 海塩 うしほ に入りて、なづみ行きましし時に、歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

宇美賀由気婆 許斯那豆牟
意富迦波良能 宇恵具佐
宇美賀波 伊佐用布

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

又飛居其磯之時歌曰、

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

また飛びてその いそ たまひし時に、歌ひたまひしく、

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

波麻都知登理 波麻用波由迦受
伊蘇豆多布

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

浜つ 千鳥 ちとり 浜はよ行かず
磯伝 いそづた

とうたひたまひき。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

是四歌者、皆歌其御葬也。故、至今其歌者、歌天皇之大御葬也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

この 四歌 ようた は、皆その 御葬 みはふり に歌ひき。故、今に至るまでその歌は、天皇の 大御葬 おほみはふり に歌ふなり。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

故、自其国飛翔行、留河内国之志畿。故、於其地作御陵鎮坐也。即号其御陵、謂白鳥御陵也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

故、その国より飛び翔り行きて、 河内 かふちの 国の 志畿 しき に留まりましき。故、其地に御陵を作りて しづ まり坐さしめき。すなはちその御陵を号けて、 白鳥 しらとり の御陵と謂ふ。

【原文】稗田阿礼

【原文】稗田阿礼

然亦自其地更翔天以飛行。凡此倭建命、平国廻行之時、久米直之祖、名七拳脛、恒為膳夫以従仕奉也。

【読み下し文】藤原不比等

【読み下し文】藤原不比等

然るにまた其地より更に あめ に翔りて飛び でましき。凡そこの倭建命、国を ことむ けに めぐ でましし時、 久米直 くめのあたへ の祖、名は 七拳脛 ななつかはぎ つね 膳夫 かしはで として、 したが ひ仕え奉りき。

ヤマトタケル

用語解説

天武天皇

天武天皇

岐阜県不破郡関ケ原町玉の関ケ原鍾乳洞近くとか、滋賀県米原市醒井の加茂神社とか、あちこち候補があるな。

天武天皇

天武天皇

なんにしても、伊吹山の湧き水は名水ってこった。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の岐阜県養老郡養老町あたりにあった野原のこと。

安万侶

安万侶

たぎたぎしくって??

天武天皇

天武天皇

ぎくしゃくした状態ってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の三重県四日市市釆女町にある坂のこと。

天武天皇

天武天皇

東海道の難所の一つに挙げられるくらい、急な坂なんだ。

天武天皇

天武天皇

三重県桑名市多度町あたりにあった岬のこと。

天武天皇

天武天皇

現在と違って、当時はこの辺まで海が迫っていたんだろうな。

天武天皇

天武天皇

尾張国にまっすぐに向いているってこと。

安万侶

安万侶

あせをって??

天武天皇

天武天皇

歌のはやし言葉としてよく使われていて、『あせ』は男子を親しんで呼ぶ言葉。

天武天皇

天武天皇

ここは「お前よ」ってとこかな。

安万侶

安万侶

人にありせばって??

天武天皇

天武天皇

もし人であったならってこと。

天武天皇

天武天皇

刀を帯びさせてあげたのにってこと。

安万侶

安万侶

三重村は??

天武天皇

天武天皇

現在の三重県四日市市釆女町あたりのこと。

天武天皇

天武天皇

三重のまがり餅のようにねじ曲がって腫れてってこと。

天武天皇

天武天皇

まがり餅というのは、米粉などをこねて伸ばして、ねじって形を整えたのを油で揚げたお菓子。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の三重県鈴鹿市西部から亀山市東部にかけたあたりのこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

故郷を偲んでってこと。

安万侶

安万侶

まほろばは??

天武天皇

天武天皇

優れた良い所のこと。

安万侶

安万侶

たたなづくって??

天武天皇

天武天皇

重なり合っているってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

無事な人のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

畳んだマコモというイネ科の植物の意味で、『へ』にかかる枕詞。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の奈良県生駒郡平群町あたりのこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

髪飾りのこと。

天武天皇

天武天皇

カシの葉を髪に挿すってのは、植物と同じように長寿になるよう祈るおまじないよ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

愛おしいなぁとか懐かしいなぁってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

自分の家のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

五・七・七の音からなる歌のこと。

天武天皇

天武天皇

独立して歌う形式ではなくて、ここは国思ひ歌の片歌になっているんだ。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

危篤になったってこと。

安万侶

安万侶

ヤマトタケルの御陵はどこに??

天武天皇

天武天皇

三重県亀山市田村町の能褒野墓に治定されているな。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

周りに付いている田んぼのことかな。

天武天皇

天武天皇

這い回ってってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

稲の茎のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

ヤマノイモのつるのこと。

天武天皇

天武天皇

大きな白鳥のこと。

天武天皇

天武天皇

古代の人は、魂が白鳥になると考えていたんだ。

天武天皇

天武天皇

細い竹、篠竹の切り株のこと。

天武天皇

天武天皇

丈の低い篠竹が生えている原を行くと、篠が腰にまとわりついて思うように進めないってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

空を飛んでは行けないから、足でトボトボ歩いて行くよってこと。

天武天皇

天武天皇

広い川に生えている草のように、海ではゆらゆら漂っているってこと。

天武天皇

天武天皇

歩きやすい浜を飛んで行かないで、歩きにくい磯伝いに飛んで行くってこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

葬送、お葬式のこと。

安万侶

安万侶

天武天皇

天武天皇

現在の大阪府柏原市あたりのこと。

天武天皇

天武天皇

大阪府羽曳野市軽里の白鳥陵に治定されているな。

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