古事記 -日本神話-

オオナムチ様の求婚や海幸山幸の神話に、似ている気がします。

故、この神の女、名は 伊豆志袁登売 （ いづしをとめの ） 神坐しき。故、 八十 （ やそ ） 神この伊豆志袁登売を得むと 欲 （ おも ） へども、皆 得婚 （ えまぐは ） ひせざりき。ここに二はしらの神ありき。兄は 秋山 （ あきやま ） の 下氷壮夫 （ したびをとこ ） と 号 （ なづ ） け、弟は春山の 霞壮夫 （ かすみをとこ ） と名づけき。

故、その兄、その弟に謂ひけらく、「 吾 （ われ ） 伊豆志袁登売を乞へども、 得婚 （ えまぐは ） ひせざりき。 汝 （ な ） はこの 嬢子 （ をとめ ） を得むや」といへば、「 易 （ やす ） く得む」と答へて曰ひき。

ここにその兄曰ひけらく、「もし 汝 （ なれ ） 、この嬢子を得ることあらば、 上下 （ かみしも ） の 衣服 （ きもの ） を 避 （ さ ） り、身の 高 （ たけ ） を 量 （ はか ） りて 甕酒 （ はらざけ ） を 醸 （ か ） み、また山河の物を悉に備へ設けて、うれづくをせむ」と云ひき。

ここにその弟、兄の言ひしが如く、 具 （ つぶ ） さにその母に白せば、そなはちその母、 藤葛 （ ふぢかづら ） を取りて、 一宿 （ ひとよ ） の間に、 衣褌 （ きぬはかま ） また 襪沓 （ したくつくつ ） を織り縫ひ、また弓矢を作りて、

その 衣褌等 （ きぬはかまども ） を 服 （ き ） せ、その弓矢を取らしめて、その嬢子の家に遣はせば、その 衣服 （ きもの ） また弓矢、悉に藤の花になりき。

ここにその春山の霞壮夫、その弓矢を嬢子の 厠 （ かはや ） に 繋 （ か ） けき。ここに伊豆志袁登売、その花を 異 （ あや ） しと思ひて、 将 （ も ） ち来る時に、その嬢子の 後 （ しり ） に立ちて、その屋に入る即ち、 婚 （ まぐは ） ひしつ。故、 一 （ ひと ） りの子を生みき。

ここにその兄に白して曰ひしく、「吾は伊豆志袁登売を得つ」といひき。ここにその兄、弟の婚ひしつることを 慷慨 （ うれた ） みて、そのうれづくの物を 償 （ つぐの ） はざりき。

ここに 愁 （ うれ ） ひてその母に白しし時、 御祖 （ みおや ） 答へて曰ひけらく、「我が御世の事、 能 （ よ ） くこそ神習はめ。また 現 （ うつ ） しき 青人草 （ あをひとくさ ） 習へや、その物償はぬ」といひて、その 兄 （ え ） の子を恨みて、すなはちその 伊豆志河 （ いづしかは ） の河島の 一節竹 （ ひとよだけ ） を取りて、

八目 （ やめ ） の 荒篭 （ あらこ ） を作り、その河の石を取り、塩に 合 （ あ ） へてその竹の葉に 裹 （ つつ ） みて、 詛 （ とこ ） はしめて言ひけらく、「この竹の葉の青むが如く、この竹の葉の 萎 （ しな ） ゆるが如く、青み 萎 （ しな ） えよ。またこの塩の 盈 （ み ） ち 乾 （ ふ ） るが如く、 盈 （ み ） ち 乾 （ ひ ） よ。またこの石の沈むが如く、沈み 臥 （ こや ） せ」といひき。

かく 詛 （ とこ ） はしめて、 煙 （ かまど ） の上に置きき。ここをもちてその兄、 八年 （ やとせ ） の間、 干萎 （ ひしな ） え 病 （ や ） み 枯 （ か ） れぬ。故、その兄 患 （ うれ ） ひ泣きて、その御祖に 請 （ こ ） へば、すなはちその 詛戸 （ とこひど ） を返さしめき。ここにその 身本 （ みもと ） の如く安らかに 平 （ たひら ） ぎき。（こは神うれづくの言の本なり。）

またこの品陀天皇の御子、若野毛二俣王、その母の弟、 百師木伊呂弁 （ ももしきいろべ ） 、亦の名は 弟日売真若比売 （ おとひめまわかひめの ） 命を娶して、生める子、 大郎子 （ おほいらつこ ） 。亦の名は 意富富杼 （ おほほどの ） 王。

次に 忍坂 （ おさか ） の大中津比売命。次に田井の 中 （ なか ） 比売。次に田宮の中比売。次に藤原の 琴節 （ ことふしの ） 郎女。次に 取売 （ とりめの ） 王。次に 沙祢 （ さねの ） 王。（七王）

故、意富富杼王は、（三国君、波多君、息長坂君、酒人君、山道君、筑紫の末多君、布勢君等の祖なり。）

また根鳥王、 庶妹 （ ままいも ） 三腹郎女を娶して、生める子、 中 （ なか ） 日子王。次に 伊和島 （ いわじまの ） 王。（二柱）又堅石王之子者、久奴王也。

また 堅石 （ かたしはの ） 王の子は、 久奴 （ くぬの ） 王なり。

凡そこの品陀天皇の御年、 一百三十歳 （ ももあまりみそとせ ） 。（甲午の年の九月九日に崩りましき。）御陵は 川内 （ かふち ） の 恵賀 （ ゑが ） の 裳伏 （ もふし ） の岡にあり。

八十（やそ）神ってオオクニヌシ様のお兄さんたちの ･ ･ ･ ？？

秋山（あきやま）の下氷壮夫（したびをとこ）は？？

春山の霞壮夫（かすみをとこ）は？？

上下（かみしも）の衣服（きもの）を避（さ）りって？？

甕酒（はらざけ）は？？

うれづくは？？

襪沓（したくつくつ）は？？

我が御世の事って？？

能（よ）くこそ神習はめって？？

現（うつ）しき青人草（あをひとくさ）習へやって？？

一節竹（ひとよだけ）は？？

八目（やめ）の荒篭（あらこ）は？？

合（あ）へてって？？

詛（とこ）はしめてって？？

塩の盈（み）ち乾（ふ）るが如くって？？

沈み臥（こや）せって？？

詛戸（とこひど）を返さしめきって？？

川内（かふち）の恵賀（ゑが）の裳伏（もふし）の岡は？？